鎌倉プチ散策(後編)
6月17日(月)朝5:00にスマホのアラームで目覚めた。疲れはあったが寝起きは良かった。シャワーを浴びて、昨日のフルーツ大福の残りを食べ、コーヒーを飲んだ。鶴岡八幡宮まで徒歩1分の好立地で、屋上もあるGEN HOTEL KAMAKURA(源ホテル鎌倉)なので、6:00過ぎに屋上に上がってみた。天気も良く、森からは鳥のさえずりが絶え間なく聞こえる。鶴岡八幡宮にはちらほらと観光客もいたがさすがに空いている。明月院までは歩くつもりなので、途中までは八幡宮のなかを通って行こうと思った。
荷物を片づけたりしていて7:00出発は出来ず、7:30ごろのチェックアウトとなった。チェックアウトは返却ポストに鍵を入れるだけ。簡単であっけない。
鶴岡八幡宮から明月院まではおよそ徒歩30分だ。多少の高低差はあるが知らない道を散策するのは二人とも好きなので途中にある寺院なども眺めながら歩いていた。建長寺のそばに桑田佳祐(サザンオールスターズ)の出身校である鎌倉学園高校があり、ちょうど通学時間帯だったため大量の男子学生が向かってくる。最初は避けながら歩いたが歩道も細いため、押しボタン式の横断歩道で逆側の歩道に移動した。
北鎌倉駅の手前を右に折れるのだが、すでにそこには警備員さんが立っていた。しかし行列はまだない。そのまま歩いていくとついに行列の最後尾が見えてきた。7:57だった。開門(この時期は8:30)まであと33分。最後尾にも警備員さんがいる。「どのくらい並んでいますか」と訪ねてみると「まぁ50人くらいかな。開門すればすぐに入れますよ」とのことだった。
並んでいる間もウグイスやガビチョウが鳴いている。バッタや蛾も見つけた。月曜にして正解だったが、後ろにも次々と行列が出来ていく。
開門すると入場料を払う列が3つに分かれる。A,Bルートは混むが左手のCルートが空いている。ただしCルートは人気撮影スポットの石段からは少し遠い。この辺りのコース取りは何を目指すかで決める必要がありそうだ。私はBルートにした。前の人がお釣りをもらうなどして少し時間がかかった隙に石段の前にはスマホやカメラを構えた人だかりで大渋滞してしまった。
とはいえ、誰もが同じような写真(石段と紫陽花)を撮るわけで、個人的にはそういう写真を撮る群衆というテーマのほうに興味がある。負け惜しみでなく(笑)。私はその群衆のなかに入り群衆と石段と紫陽花の写真を撮ったりした。妻は早々に石段前からは離脱し、まだほとんど誰もいない左側の側道の紫陽花の写真を撮ったりしていた。私も群衆の写真を撮り終えて妻と合流した。
この石段は開門からしばらくの間(おそらく一時間程度)は写真撮影の群衆へのサービスとして立入不可の不文律があるようだ。石段の上下には木製の立入禁止スタンドが立ててある。しかし歩いてはいけない訳ではなさそうだ。群衆の白い目に耐えられれば誰もいない石段を歩くのを誰も止められない(文句は出るかも)。実際、私が上から門越しに群衆を眺めていると、まだ立入禁止スタンドがあるにも関わらず、おじいさんが石段中腹の向かって右手からゆっくり現れ、石段を歩いて上がって来た。かくいう私も「上から門越しに群衆を眺める」という行為は写真待ちの群衆には甚だ迷惑だったかもしれず、そのおじいさんが横にそれたタイミングで私も妻に促されてウサギ小屋の方へとフェードアウトした。
時間を戻そう。側道を歩いていくと悟りの窓と呼ばれる撮影スポットがある。ここも行列になるそうだが、この日はまだ石段で写真を撮っている人が多く丸窓は数人待ちレベルだった。この丸窓も誰もが同じ構図で撮影するスポットなのだが、せっかくなので撮影してみた。もう少し待てば、丸窓の先の庭にも入れる(期間限定)らしいのだが今回はパスして、花想い地蔵(こちらも撮影スポット)を拝んで撮影しウサギ小屋へ。
ウサギ小屋の前に紫陽花との撮影スポットがあり、夫婦で自撮りしようと悪戦苦闘していたら、サングラスをかけて小麦色の肌をしたいかにも湘南っぽい女性が「撮ってあげましょうか」と声をかけてくれていい写真が撮れた。ありがとうございました。
出口を出ると立派な竹林を通って入口方面へ。小一時間もいただろうか。ちょうどこのとき石段下では係員が立入禁止スタンドを撤去していた。これが撤去されると誰もが石段を歩いて登り出す。写真から群衆を消すことが不可能な時間となるのだ。
既に大勢の外国人ツアー客が小旗を振っているガイドとともに並び始めていた。鎌倉にいるとインバウンドは本物だと実感する。様々な外国語が左右から聞こえてくる。
●鎌倉駅前小町通り
ここからは鎌倉駅方面に切通しを通って向かうことにした。結構な高低差があったが木漏れ陽が気持ちいい。途中で寄った寿福寺では大佛次郎や北条政子、源実朝のお墓を拝みに行った。高浜虚子のお墓もあったが大きなアブが飛んできて撮影できず。妻はお墓には興味がなく(虫の多さを嫌がり)階段下で待っていた。
鎌倉駅まで戻って何か食べようとラ・ブティック・ドゥ・ユキノシタ・カマクラの玄関前で開店を待った。以前、テレビで長島一茂さんがここのクッキーを買っていたことを妻が覚えていたのだった。朝から歩きっぱなしで疲れたためイートインでマンゴーのケーキとドリンクを食べた。
窓外には浴衣にブーツといったいで立ちの外国人の女子がいて、せっかくなら履物もちゃんとすればいいのにと話したが、どうやら浴衣にブーツという「浴衣コーデ」が確立されている時代のようで、それもひとつのコスプレとして成立しているとネット検索をしてわかった。なにが正解かわからない時代だ。いや、正解を探す必要はない時代なのかもしれない…。
土産のクッキーを買って店を出た。昼食前の一休みのつもりが結構食べておなかがいっぱいだった。昼食は映画監督小津安二郎も通ったという高級かつ丼を食べようと思っていたが無理なので、お土産屋を一通りまわり、甘味屋で冷やしうどんを食べた。
とりあえず月曜でもあるし存分に楽しんだので早めに帰ろうということになり、鎌倉駅から宇都宮線の普通列車に乗って帰路に着いた。
片道一時間半のプチトリップだが新鮮だった。このくらいの距離だと一泊するのはもったいない気もするが(私たちも最初はそう思っていたが)、旅先で早起きして活動するというのもひとつの楽しみになる。「朝起きたらもうそこは旅先」という感覚は宿泊なしでは味わえない。今回は明月院に開門前に並ぶというミッションがあっての宿泊だったが、ぶらっと近場で泊まるのもたまには良いかもしれない。
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