夏旅2023 夫婦編(7)~ ガンガラーの谷 ~
●歩くガジュマルの樹
待機所のケイブカフェで数杯のドリンクを飲んだ。16:00になりガンガラーの谷ガイドツアー参加者を呼び出すアナウンスが響く。まずツアーガイドさんによる概要の説明がある。夏場は水分補給も大切なのでお茶の入った水筒も一人一本ずつ用意されていた。これを首から下げて出発する。16:00からのコースなので真昼間よりはずいぶん過ごしやすかったが、それでもツアーが終わるころには水筒が空になった。
大きな見どころは大主(ウフシュ)ガジュマル、触れる鍾乳洞のイキガ洞、そして武芸洞で、ガイドさんの語り口も面白くて為になる。
ガジュマルの樹は南国好きには日常のような大樹だが、この樹が歩くというのは初めて聞いた。キジムナーと同じようなファンタジーかと思いきや本当に歩くようなのだ。
ガジュマルの大樹はツルが垂れ下がっているが、あれが長い年月のうちに幹となる。そうするとそれまで幹だった大樹のほうは腐り朽ちていく。その繰り返しで移動するというのだ。悠久の時間のなかでゆっくりとガジュマルが歩を進めていくのを想像しながら眺めた。ウフシュガジュマルが歩きだしたら歩道も再整備だななどと思いながら…。
ガイドルートもうまく作ってあり、ウフシュガジュマルには“遭遇する”感がある。突然目の前に現れて「おーっ!」と見上げることになる。その空間はスタートレックのセットのようにも感じた。カーク船長時代のスタートレックのスタジオセットは作り物感満載だったが、このガジュマルの大樹は本物の自然なのに作り物のような巌に囲まれた空間にそびえていた。惑星を感じる。このウフシュガジュマルの前でガイドさんに記念写真も撮ってもらった。
●3000年前の人類に思いを馳せる
イキガ洞ではランタンに火を灯して一組ずつ渡され、暗い洞窟のなかに入っていく。中では鍾乳洞に触れる。触ってみたらめっちゃ乾いていた。もっと濡れているものだと思っていたのでガイドさんに聞いてみたが、雨が少ないと乾いていることもあるようだ。
そして最後の武芸洞。ここは埋葬されていた3000年前の人骨が地表すぐ(20センチ堀ったレベルで)発見された洞穴だ。その調査の様子は沖縄県立博物館のコラムがあったので武芸洞で検索した結果にリンクしとこう。直接的にはこのコラム。いま歩いている地表から20cmくらいのところに3000年前の墓が出てくるということは、この洞穴がいかに手付かずで自然災害からも逃れてきたかがわよくわかる。ほとんど同じ土の上を3000年前の人類も歩いていたのだ。
ガンガラーの谷は現在も調査研究が進行中で、その保存状態の良さから続々と新発見が出てくる可能性が高い。最初の待機所だったケイブカフェでも調査が進んでいく。昨年は3万5千年前ごろのシカの骨なども見つかっているようで、そのころから古代人が住んでいた可能性もあり、約2万年前の人骨として発見された港川人と呼ばれる古代人の生活の場だったのではないかともいわれているようだ。ワクワクする。
ガンガラーの谷ツアーは2008年にオープンした完全予約制のガイドツアーだが、当日空いていれば予約可能だし行く価値があると思った。洞窟カフェと勘違いしてイロモノだと思っていたら大間違いで実に素晴らしい体験だった。ちなみにカフェはいまガイドツアー参加者だけの待機所として営業していて飲みもの以外は出していなかった。ただ音楽ライブも開催されることがあるようで、そのときはライブハウスになる。それもいいな。
80分程度のツアーだったがあっという間に終わった。暑すぎず天気もよく本当に来て良かった。ガンガラーの谷は超オススメだ。ツアーの出口は隣のおきなわワールド(玉泉洞)の駐車場前だ。この日最後の時間帯だったので玉泉洞は閉館していた。
11年前はここでドライフルーツを買い込んだことを思いだした。玉泉洞の鍾乳洞もなかなかすごいが、山口県人は秋吉台秋芳洞を知っているので対抗意識というわけではないのだが鍾乳洞だけでは驚かない(笑)。
ガンガラーの谷のガイドツアーを解散して、三々五々帰っていくツアー客たち。ほとんどはレンタカーと思われる。我々二人だけが取り残された。さてどうやって帰ろうか。妻がスマホで「新城バス停」を見つけた。ここから1.3km先で徒歩17分だった。
googleMapの高低差の悪夢がよみがえったが、来たことのない土地の散歩は二人とも嫌いじゃない。ガンガラーの谷を歩いた後ではあったが、もう夕方で多少涼しい。テクテク新城バス停まで歩いてみることにした。多少の高低差はあったが、安座間港から斎場御嶽への道のりとは雲泥の差であった。
新城バス停には18:00頃についた。次のバスは18:24だった。バス停に座るイスもある。夕方で裏の建物の影にも入れた。何の問題もない。座っているとタクシーが近づいてきて速度を落とし運転手がこちらに目配せしてくる。こちらは手を振りバス停を指さす。タクシー運転手はちょっと口元を緩めてうなずき速度を上げて走り去った。そう路線バスがある限りはバスに乗るのだ。
ほぼ時間通りに来た琉球バスに乗り那覇市内の県庁南口まで。今朝、安座間港へ行くときに反対方向のバスに乗ったバス停が県庁南口だった。一周して来たわけだ。なんだか盛沢山の一日だった。19:00過ぎごろに着いた。
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