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2019.10.14

王道はないって話 〜 The Third Door 〜

話題のベストセラー的な書籍はあまり読まないのだが、この翻訳本は読んでみた。世の中には3つの扉がある。誰にも開かれた第一の扉、特定のVIPだけに開かれた第二の扉、そしていつでもそこにあるのに誰も教えてくれない第三の扉がある...。

まるで裏口入学みたいな話かオイシイ裏道があるかのようじゃないか(笑)。そんな道があるんなら知ってて損はないでしょ。くらいの感覚で読み始めた。人の行く裏に道あり花の山だ。

コンセプトは「著名人が成功の鍵を掴んだ人生の分かれ道」をインタビューで解き明かすみたいだったから、なるほど目の付け所が面白いと思った。おそらく皆さんサードドアを発見して成功してるんだろう、それをハイティーンの著者もサードドアを見つけてインタビューにこぎつけたんだろう、その成功譚なのかなと。

しかし読み進めていくうちに、これは成功譚というよりも、私小説のようだなという感覚になっていた。ビジネス書だと思って読み始めていたらあまりの内容の落差に驚いただろう。アマゾンのレビューをいま読んでみたが、まったく宣伝と内容が違うという怒りのコメントもいくつかあった。

基本的には成功譚ではなく失敗談だ。8割失敗し続けるバナヤン青年。途中からは「もー、バナやん!」とやんを愛称風に読んでいた。簡単にいえば「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という古くさい格言を実践した若者の私小説なのだ。

つまりサードドアとは苦労した先に開く未来の扉であり、誰にもある人生の選択をしっかり選択して行動しろって話だった。これ、もう何万回も言われ続けたような手垢つきまくりの生き方指南みたいなものなのだけど、それでもこの書籍は面白かった。それは実際に行動した若者の話だったからだと思う。

世の中にはあふれる成功譚は、功なり名を遂げた著名人が人生を振り返りながらする自慢話が多い。行動しろという説教も聞き飽きた。しかしこれを書いたバナヤン青年は若い。そして行動した。失敗の中で何を考えるかを若者が書いた。その同時代的な部分がウケたんじゃないか。

王道はない。あるとすれば行道。そんなの当たり前と思うのは私がそれなりの年齢になってしまったから。「やってみたらやっぱりそうだった」というのは説得力がある。若者がそれをピュアに書くことにも選択と行動の実践をみることもできる。さらに未来は思い描いたとおりでなくてもいいっていう希望(現実)もある。

軽く読める450ページの書物ってのは、それなりに稀有だし後味もいい。ビジネス書としてでなくオイシイ話を求めるのでもなく、ただただ若い著者の奮闘ぶりを楽しむエンターテイメント私小説ってのがこの書物のジャンルなのではなかろうか。この書物をビジネス書棚に置いてる書店は内容を読んでない。そんな書店を仕分けするのにも使える。

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