google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg 白井貴子「北山修/きたやまおさむ」を歌う!: ひとくちメモ

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2016/09/22

白井貴子「北山修/きたやまおさむ」を歌う!

先日、ジャニス・ジョプリンの映画を観てからジャニスのアルバムをずっと聴いていた。ジャニスといえばライブの女王、ライブの女王といえば白井貴子、ボクの妄想脳はそんな連想から白井貴子&クレイジーボーイズのChanceを頭の中で鳴らし始めたのだった。

80年代半ば、ボクは近所の大学の学園祭主催のライブで見た白井貴子さんに夢中になった。その白井貴子さんが今年デビュー35周年で新しいアルバム「涙河」を出されていたと知ったのは、妄想脳によるジャニスからの連想がきっかけだった()。

たぶん80年代のボクはいろんなジャンルの音楽をいろんなミュージシャンを通じて吸収していた時期で、妄想脳もそのころ出来上がった。今年また白井貴子さんの新作に出会ったのは必然のような気がする。

しかし、その内容には驚いた。フォークルの北山修さんの歌詞をロックシンガー白井貴子が歌うというコンセプトアルバムだったのだ。お二人の対談も実に興味深く読んだ。

この二人の組み合わせは正直、妄想すらしたことがなかった。お二人の作品には親しんできたけれど交わることはなかった。それだけに、これは聴いてみなくちゃと思った。

このアルバムで初めて白井貴子を聴いた人は、この歌手が学園祭の女王と言われたロックシンガーだとは気づかないかもしれない。

でも、しっくりくる。白井貴子さんの声はもともとジャニスのようにシャウトしない。クリアトーンで語りかけるような歌い手だった。それはロックシンガーとしてデビューした頃から変らないと思う。許しておくれニューヨークシティ この街にもいられないと歌われると「いさせてあげて!」と願ったものだ(

35年の時を経て北山修さんの歌詞と出会ったこのアルバムを聴くと、言葉がはっきりと届く彼女の歌声がとても心地いい。

●異色な新曲「返信をください」

新曲もカヴァも、スッと楽曲の世界に入っていける。北山修さんの歌詞は普遍的な言葉で時代を超えて歌い継がれるものが多い。そんななかで、新曲の「返信をください」は異色だ。

留守電、携帯電話、ネットの海、バッテリーの赤ランプ、インターネット、そしてスマホ…。これらのワードは時とともに陳腐化していくリスクがある。時代の準拠枠がなければ理解されなくなる。それをあえて持ってきた意図はどこにあるんだろう。

そこにボクは同時代性の挿入という意味付けをしてみたい。このアルバムは新曲3曲と11曲のカヴァで構成されている。北山修作詞の歌謡曲やフォークソングの名曲がいくつもカヴァされ、それらの楽曲の歌詞はほぼ普遍性に満ちている。

普遍的な言葉を選んで大きなメッセージを届ける北山修の詞のなかに「返信をください」を新曲として置くことで、このアルバムがスマホの時代、インターネットという言葉が詞になる時代の作品であるという痕跡が残る。いや、残そうとしたんじゃないかと感じた。

「次世代に歌い継いでもらいたい」という北山修さんのコンセプトがある一方で、21世紀前半の愛情表現やコミュニケーションの危うさを背景とした、こういう時代のアルバムであることを刻印する楽曲「返信をください」は異色だけど印象的。

●あの素晴しい愛をもう一度

北山修さんは今年70歳。吉田拓郎も70歳。戦後の大衆芸能のビッグネームがますます精力的に活動されてると嬉しい。カヴァのなかには「さらば恋人」が入っているが、この曲を歌っていた堺正章さんも70歳だ。皆さん、お元気!

「加藤和彦 北山修」名義の楽曲「あの素晴しい愛をもう一度」も入っている。この曲は誰が歌っても、いつ聴いても、何度聴いても、名曲だと思う。流れるように紡がれた加藤和彦のメロディには隙がない。詞先だと伝え聞く北山修の歌詞の美しさや哀しさがこのメロディを導いたのか。

白井貴子さんが歌う「あの素晴しい愛をもう一度」は原曲に近いアレンジで、彼女のクリアトーンとよくマッチしていた。

「返信をください」という同時代性の楽曲から永遠のスタンダードともいえる「あの素晴しい愛をもう一度」へと続くこの編成にもメッセージを感じる。

というわけで、35周年の白井貴子さんのライブを見たいと思って11月23日の赤坂ブリッツに行くことにした!

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