中島みゆきの絶叫系楽曲に平原綾香という解を得た!
寺尾聰さんが28年ぶりにTBS日曜劇場枠のドラマ主演をされるというニュースをきっかけに「ブラバンキッズ・リターンズ~まさかのドラマ化に寄せて」を書き、それだけで収まらずに、DVD-BOX「優しい時間 」を夜中までかけて全編見直した。ほんとにいいドラマ。淡々と静かに物語が進む。妻の死をきっかけに商社を退社し妻の故郷北海道でカフェ森の時計を経営している涌井(寺尾聰)。毎回、亡くなった妻(大竹しのぶ)と涌井(寺尾聰)との会話で終わるのだが、そこに平原綾香の「明日」という楽曲が流れる。
このドラマによって「明日」という楽曲はボクにとってエバーグリーンな一曲となった。今回ドラマを全編見直しながら、一度もエンディング曲を省略せずに見た。ほんとにいい曲。そして平原綾香という稀有なボーカリストの存在に感謝したのだ。
それで今日、「LOVE」という最新アルバムを再び大音量で聴いてみた。愛をテーマに豪華な作家陣を起用したアルバム。そのなかに中島みゆき作詞作曲の「アリア」がある。
中島みゆきさんの作家性についていまさら語る必要はないと思うが、前に「中島みゆきのアイドル歌謡への想い」を書いたときの心境に通じる感覚。他のアーティストへの楽曲提供を楽しむ中島みゆきのこころを察しながら(妄想しながらともいう)聴く愉しみが「アリア」にもある。
ただその提供先が今回はアイドルではなく、平原綾香という希代の歌姫であったということが特筆に値するわけだ。「ついに出会ったかこの二人が!」と思わずにいられない。
それもこの楽曲。中島みゆき節のなかでも昨今の絶叫系楽曲に分類したくなる「アリア」は、そんじょそこらの歌手には歌えない。このタイプの楽曲を提供できる相手はほとんどいなかったと思う。しかしヴォーカリスト平原綾香は違った。平原綾香の楽曲として歌い切った。
このアルバムに添えられた中島みゆきからのメッセージに重要な言葉がある。
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歌ってくださる方にめぐり逢えて、この楽曲は幸せ者です。
(中略)
尊敬してます、平原綾香さま。
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これをボクの妄想解釈脳は「歌える方にめぐり逢えて~」と読んでしまう。中島みゆきは、この楽曲を歌いこなせる歌姫を見つけた喜びを表明しているのではないだろうか。
「作ってはみたものの、この音域、この勢い、このドラマツルギー、(あたしを含めて)誰か歌えますかしら?」
そんな葛藤があったのではないだろうか。絶叫系を歌いあげたい中島さん自身もビビるほどの愛の絶叫歌。それを歌える歌手がいたわけだ。技巧も音楽的感性も申し分ない平原綾香がいた。
平原綾香の実力も語る必要がない。中島みゆき×平原綾香=絶叫系楽曲の完成度無限大という解を得た気分だ。
ついでに言えば、ボクはピアニシモで歌う中島みゆきが好きだった。これも前に「世情からピアニシモへ 中島みゆきの『常夜灯』を聴く」に書いた。そういう意味では、中島みゆきさんのピアニシモ系の楽曲も平原綾香の解釈で聴いてみたい。「明日」に通じるエバーグリーンな気分に浸れる素晴らしい音楽の創造につながる気がする。
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