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2015.09.23

安藤サクラの女優魂!百円の恋

自堕落の極みのように過ぎ去ったシルバーウィーク(bearing)。思えばゴールデンウイークからずっとそんな気分のまま生活していたかもしれない。そんな自分を投影できそうな映画「百円の恋」の一子(安藤サクラ)を思い出した flair 山口県ゆかりの映画だ。徳山動物園がロケ地のひとつになってる。J-COMオンデマンドに無いかなと探したら運よくあった。貧乏性なので2回目を見ながら書いてる。

「愛のむきだし」のとこでも書いたけど、安藤サクラの何が好きかってまず顔が好き。なにか才能が詰まってそうな。そしてアングラな感じ。ある種の狂気も感じさせるような。「僕らは歩く、ただそれだけ」とか「かぞくのくに」も好きな映画だった。起伏のないなかに精神だけが高ぶっていくような演技。

「百円の恋」も前半はあまり起伏がない。とにかく自堕落な生活の32歳の一子。実家でテレビゲームのボクシングをダラダラやってる安藤サクラ。離婚して戻ってきたと思われる妹ともめて一人暮らしを始めるがその資金も甘い母親に出してもらう。

コンビニで働き始め、その通勤途中にあるボクシングジムとそこで練習する男に目が留まる。ここから生活が少しずつ変化し始める。まだ自堕落感を引きずっているが、ボクサー男の引退試合に魅せられて始めたボクシングが一子の救いになっていく。

それにしてもこの映画に登場する男は本当にクズばかりだ。一子が惹かれたボクサーの男もクズだった。だが女はクズ男によって成長するのかもしれない。愛があるうちは母性によって、別れたあとは自分磨きによって。その落差の大きさを安藤サクラが完璧に表現する。

自堕落だった女から本気でプロテストを目指すボクサーに。このあたりのフォーマットは「ベストキッド」のようでもある。安藤サクラはその表情だけでなく肉体もボクサーに変化していった。かなり特訓したんじゃないかな。女優として本気だよってオーラがハンパなく出ていた。前半と後半とでまったく別人のようになってる。映画冒頭のボクシングゲームをやりながらぼりぼり掻いている背中とプロになって初の試合に挑む締まった身体との落差がすごい。

ボクシングジムのトレーナーからはプロテストに合格してもまぐれと言われ、試合がしたいと言えば「ボクシングは自己満足の道具じゃないんだよ」と言われる。それでも動じない。トレーナーはダイエット目的だろうと思っていたが、一子はボクシングを始めるときから試合にこだわった。それはなぜだろうと考えてみる。もしかすると一子は殴り合った後のハグに救いを求めたのではないだろうか。

初めて見たボクサー男の試合後に相手は知り合いかと聞いた一子。殴り合った後に称えあうその光景に心のスイッチが入ったような気がする。その後、ボクサー男と付き合い始めた頃はなんでボクシングをやるのかと聞かれて「さぁ…」としか応えられなかった。ボクサー男に振られて本気でボクシングに取り組み始めた後、別れたボクサー男と偶然再会しボクシングを始めた動機をあらためて聞かれると「殴り合ったり、肩たたきあったりなんか、なんかそういうのが、なんかそういうのが、なんだろう…」と応えた。

コミュニケーションが決して得意でない一子は自堕落な生活のなかでも妹と殴り合うことでしか感情を現せなかった。しかし殴り合うことで対話するボクシングと出会い、痛めつけながらもその先に肩をたたきあいハグをして称えあえる世界を見つけたのではないか。だからこそ完膚なきまでに打ち込まれノックダウンされた試合でも正気を取り戻して相手とハグすることでようやく救われたのだ。

それでも一子は「勝ちたかった」と号泣する。それはこの試合の感想だったんだろうか。もちろんそれはそうなのだが、「勝ちたかった。一度でいいから勝ってみたかった」とボクサー男に打ち明け泣きじゃくる一子からはもっとたくさんの感情が聴こえてくる。その痛さをクリープハイプのエンディング曲「百八円の恋」が全力で代弁しているようだった。

ボクシングとハグの味を知った一子はボクシングを続けるだろうか。これで区切りをつけてまた日常に戻っていくのだろうか。試合後、飯食いに行ったその先を映画は描かなかったが、いずれにしてもこんなクズ男とよりを戻してほしくないと思った(think)。成長した女にクズ男はもういらない。だけど母性はやっぱりクズを求めてしまうものなのかな…。

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