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2015.05.03

お笑い向上委員会の映し出すフジテレビの現在

うーむ、我ながら大きく出たな。このタイトル。いつものヨタ話なんだけど。

さんまのお笑い向上委員会」を第3回まで見た。このあとのドラマが松岡茉優初主演ドラマ「She」なので、その第1話から予約録画しようと操作していてたまたまお笑い向上委員会も第1回だったから失礼ながらついでに録画したわけだ。そして第3回まで釘付けに…。

決してこの番組がお笑いを向上させることはないだろう。冷静に見てしまうとただの馬鹿騒ぎだ。出演者はひな壇と思えないレベルの芸人たちであり、何が起こるんだろうという期待感を持たせてくれる。そしてその期待を良くも悪くも裏切ったライブなドタバタ脱線トークの応酬。

初回ゲストという名のスケープゴートとなった若手芸人流れ星は初回放送では登場できず(裏で出待ちしてる緊張の顔のみ)。本来は流れ星を肴に先輩芸人がいじり倒す番組のようなのだが、登場前にひな壇だけで盛り上がり30分番組1本分の収録が済んでしまった。

司会明石家さんまのテレビ的なカンが働いて往時のフジテレビを彷彿とさせる爆発力が見える。これが意図した演出だとしたらものすごく特殊なバラエティ番組だがどうなんだろう。途中までは編集で切っていこうと考えていたけれど、途中からはこの永遠に終わらない脱線トークをそのまま使おうと方針転換したのかもしれない。

いずれにしてもこの混沌としたギャンブルのような番組はいまのフジテレビだからこそ放送できた“作品”のような気がする。番組として成立するかしないかのギリギリのところで、たぶん明石家さんまが仕切っていなければ途中でストップがかかって撮り直しじゃないだろうか。この現象を編集もそこそこにドキュメンタリー感覚の緊張感で放映したことが、今後吉と出るか凶と出るかはギャンブルだ。ただこのライブ感覚は昨今のテレビには希少価値になっているように思う。

何がウケるかわからない現在のテレビ番組のなかでフジテレビは大苦戦中だ。かつてはサンケイグループのゴリゴリ右翼だったが芸能分野では韓流への傾斜でいまどきのネトウヨ(=サブカルや御用メディアのお得意様)に嫌われた。一方で「楽しくなければテレビじゃない」を標榜してお笑い番組を長くリードしてきたが、笑っていいともの終焉とともに潮が引くように視聴者も離れていった。視聴者に区切りがついた感覚かもしれない。

制作力の衰えともいわれるが、それはCXに限らないだろう。人気商売に潮の満ち引きはつきものだ。それでも放送を止めるわけにはいかないのだから、何かを放送しなきゃならない。何がウケるか誰にもわからないことを認めてしまえば、作り手側の制約が少しずつゆるくなる。番組に口出しして本当に数字が取れなければ口出しした人間に責任が転嫁されるからお偉いさんもだんまりを決め込む。だから通常なら通らない番組が間違って放送される。それが逆に新鮮…。お笑い向上委員会はそんな妄想を満たしてくれるドタバタ加減でアナーキーなドキュメント番組だったのだ。

ひな壇のなかでもっとも光っていたのは意外にも(失敬!)ずん飯尾だった。混沌のなかにくさびを刺す滑舌の良さ。そのカウンターパンチのような堂々とした芸風がこの場にはまった。もしかしたら流れ星にとって本当に向上委員会だったのはずん飯尾かもしれない。

また流れ星についていえば、ギャグを手の甲に書き出してくるなんてのは素人だ。血肉となってない。それをこのドタバタ脱線トークが流れ星に教えたかったことなのかもしれない。あの完全アウェイのなかでそれでも場の空気をもっていくアナーキーさこそが流れ星ちゅうえいに必要なスキルなのかもしれない。それは第3回に登場したウド鈴木を見れば一目瞭然だ。あそこに出て来てあの迫力は尋常じゃない。さすがとしか言いようがない。ウド鈴木がかっこよかった。

次週の第4回からはひな壇メンバーも若干かわる。今後もこのドキュメント感覚が続くのかどうか。続いたとして面白いのかどうか。見逃すわけにはいかない潮目を我々は目撃するのである。

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