コレステロールにまつわるメモ
昨日に引き続き大櫛陽一先生の講演『脂肪とコレステロールは、あなたの体にいいですよ』から。今日の聴講メモはコレステロールだ。私にとってコレステロールはすでに「気にする必要なし」と結論が出ているので、今回の講演会はそれを裏付けるものだった。
しかし産業医はコレステロール値の高さただ一点だけを突いてくる。他の数値がすべてA(良好)であってもコレステロールを下げる薬(リピトールなどのスタチン類)を飲ませようとする。それはなぜかという疑問にしか興味はない。
今回の講演会でもっとも興味をそそった部分から書いてみる。「世界でのコレステロール仮説の終焉状況」だ。
・米国では2003年以降、コレステロール値に関するガイドラインは出していない。米国内科医師会(ACP)では遺伝病(家族性高脂血症)の疑いがある人のみ測定の必要があるが、遺伝病でないとわかればコレステロール値の測定自体が不要だという。
・米国心臓病学会(AHA)も低リスクの人は血圧・コレステロールの測定は5年に1度でよく、大きさや密度などの測定は不要。LDLコレステロール(通称悪玉コレステロール)の正常値は189以下であり、遺伝病検査対象は190以上、さらに悪玉コレステロールの低下治療目標値は廃止された(2013年11月現在)。ちなみに日本動脈硬化学会の正常値は119以下である。
・英国では2011年に科学的根拠に基づくガイドラインが示され、低リスク者に対してコレステロール低下薬を出さないよう注意喚起。大櫛先生によると、その基準での日本の低リスク者は男性96.1%、女性99.8%である。
・トルコに至っては2011年12月、法律で一般医と家庭医のコレステロール低下薬処方を禁止したという。
・そもそもコレステロールは細胞膜の材料だ。また脳神経細胞、生体ホルモン、消化液、ビタミンDの原料でもあり、人体には欠かすことのできない物質といえる。
・体内コレステロールは通常、食品から2割、肝臓で8割が作られる。肝臓はコレステロールの製造に忙しい。ケトン体も作って各組織に供給してくれているのが肝臓だ。肝臓を悪くするとケトン体もコレステロールも作られにくくなる。逆に食品由来のコレステロールを増やせば、肝臓はそれだけ休むことができる。つまりコレステロールは積極的に食べるべきだといえる。特に酒飲みはコレステロールを食べたほうが肝臓に優しい。炭水化物を制限しコレステロールをたくさん食べるべきだ。「まったく非常識な!」と思った人が多いだろうか。健康のために真逆の生活をしている人が多数派だと思う。
・コレステロール値低下薬とは何かといえば肝臓の機能を制御する薬だ。肝臓に介入して機能を低下させコレステロールの製造を阻止する。さらにこういう薬を飲む人は食品からもコレステロールを減らす。肝臓でのコレステロール生成を止め食品からの摂取も減少させては体が衰弱するだろう。グローバルな正常値に照らして正常な肝機能を薬によって機能低下させる日本の基準値はあまりにリスキーだ。
・コレステロールの多い食品を食べても血中濃度は変わらない。なぜならLDL受容体が調節しているからだ。卵を少々(5~14個)食べてもLDLコレステロールの血中濃度は変化しないという実験結果がある。
・LDLコレステロール値が高いほど死亡率が低い。日本では要治療(=薬)とされる140~159あたりの男性が一番死亡率が低いという。このレベルであえて薬を飲んで寿命を縮める必要はなく、もっと高い値(~190)でも投薬の必然性はない。日本以外では。
・なぜ世界の流れに逆らって日本だけがコレステロール値の正常値をここまで低く設定しているのだろうか。ひとつの切り口として製薬業界の思惑が考えられる。メバロチン(プラバスタチン)を発売していた製薬会社(三共)は大阪大学第二内科の奨学寄附金として2000~2005年の6年間で1億1000万円程度提供していた。ダントツ1位で、2位の武田薬品の約3倍だ。上位20社で約8億円が流れている。
・各国が取扱い注意としているスタチン。日本ではほとんど何の説明もなく真っ先に手渡される薬だ。無作為化試験で判明したコレステロール低下薬の副作用は筋肉融解、糖尿病、肝臓がん発症率増加、出血性脳卒中増加、認知症、睡眠障害などが挙げられた。英国医薬品庁による副作用報告では、うつ状態、睡眠障害、記憶喪失、性機能障害、間質性肺炎、発がん、多発性神経炎、催奇性が挙げられた。糖尿病の発症率は1.7倍だという。
脳の障害が目につくのは偶然じゃないと思う。肝臓の機能を抑圧するコレステロール低下薬はケトン体やコレステロール(脳神経細胞の原料)を激減させるため、これらをもっとも必要としている脳に異常が発生しやすくなるのだろう。筋肉融解もよく聞くが、これも肝臓の機能低下の影響だ。コレステロールを抑制しすぎて肝臓を悪くすれば肝臓の薬もまた売れるんだろう。
そんな日本では日本動脈硬化学会による2012年の(恥ずかしい)ガイドラインがあり、LDLコレステロールは120mg/dl以上を脂質異常症としている。世界の常識では正常以外の何ものでもない人間を病人にしているのが健康診断の基準値といえる。ちなみに製薬会社から大量の寄付金を貰ってた人はメタボリックシンドロームの提唱者として有名な医師だった。ズブズブとはこういうことを言うのだろう。
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