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2014.09.21

祝・第18弾「ローカル路線バスの旅」後に攻略本を読み解く!?

ローカル路線バスの旅攻略本

テレビ東京「ローカル路線バスの旅」の第18弾が放送されてから早くも一週間が経ってしまった。本放送時にはツイッターで呟きながら視聴していたが、この第18回は番組ファンの間でも語り継がれるのではないだろうか。録画して2回見たが飽きない(笑)。

第18弾の野村真美さんは最高のマドンナのひとりだったといえる。第17弾のときに番組を西遊記として捉えマドンナを三蔵法師に見立てて適当なことを書き飛ばした私だが、西遊記との一番の違いは三蔵法師のモチベーション、参加意識にあると思う。

西遊記で天竺に一番行きたいのは三蔵法師だ。だがローカル路線バスでのマドンナはお客さん的なポジションといえる。しかし時にお客さんではなく、まさしくメンバーとなって働き、ともに苦しみともに楽しめるマドンナがいる。野村真美さんはそういうタイプのマドンナだった。少なくとも画面からそれを伝える力を持っていたと思う。

レギュラー陣の意見を尊重しながら、しかし蛭子さんを質問攻めにして眠らせない(笑)。これがどれほど困難なことかは、毎回車中で眠ってる蛭子さんをイジる太川陽介リーダーを見慣れたファンはよく知っているのだ。

そうかと思えば、他人に自分の食事を分け与えることが異常に嫌いな蛭子さんの皿から野村真美さんがハンバーグを自家箸で取っても蛭子さんが怒らなかった(注文しすぎて腹いっぱいだったからという意見もあるが)。

そんな存在感抜群なところを見せた野村真美さんとともにローカル路線バスそのものも綱渡りな乗り継ぎでスリリングな展開だった。太川陽介リーダーが地元の人に投げかける質問のしかたも、これまでの学習によって確実に向上していて、最後はそんなリーダーの面目躍如といった一手も出た。そりゃビールも美味いって!

そしてエンディング曲に今週発売となる太川陽介32年ぶりの新曲「時の旅人」が流れたのであった。

●ローカル路線バスの旅の名コンビの理由を探る2冊の著書

この番組の大ヒットが出版界にも響き、太川陽介リーダーが書いた初の著書が『ルイルイ仕切り術』(小学館)だ。私が購入したのは9月13日番組放映直後だが、その時点でアマゾンのタレント本ランキング第10位だった。上位にはAKB48関連本と写真集ばかりが並んでいるなかでだ。第11位が『Sexy Zone写真集 Be Sexy!』(予約受付分)だった。なんとジャニーズ越えなのだ(笑)。

第18弾の番組記事を書くにあたって、ここはちゃんと『ルイルイ仕事術』を読んでからにしようと思ってすぐに買ったわけだ。だが読み始めて少し経つと本当にそれでいいのだろうかという思いが強くなってきた。

この番組は太川陽介さんと蛭子能収さんの名コンビ(迷コンビ?)が人気の秘密なのであり、太川さんの著書だけでは片手落ちではないかと思い始めたのであった。

ちょうど蛭子さんの著書『ひとりぼっちを笑うな』(角川ONEテーマ21新書)も今夏に発売されたばかりだ。いまやバラエティ番組で引っ張りだこの蛭子さんだが、こちらも「ローカル路線バスの旅」がブレイクのきっかけであり、いまの思いが綴られているに違いないと思った。

そこでこちらも注文した。駅前の書店で棚ざしの一冊を見つけたのだがオビがこすれて破れていたのでネットで買った。届いたのは9月18日。この記事の最初の写真を見ても分かるようどちらもオビがいい!太川さんの著書には蛭子さんのイラスト入りだ。

また、「ルイルイ仕事術」の奥付は、蛭子さんのイラスト込みで「ルイルイ仕事術 俺だって休みたい」がタイトルなんだと主張するかのような装丁になっていた(笑)。

揃った2冊をザッピング感覚で読んでいった。1冊読み終えて次ではなく、ルイルイを数十ページ読んでは、蛭子さんを数十ページ読み、またルイルイに戻るといった読み方で最後まで読んだ。

いや、面白かったな。まったく性格も考え方も異なると思えた二人だが、この二人だからこそローカル路線バスの旅が長く人気を博しているんだなということがわかったような気もした。

●太川陽介と蛭子能収、実は似ていた(笑)

もちろん二人は見ての通り、番組内での役割がまったく違う。

太川陽介はリーダーでありこの番組の旅の行方に責任を持つ。実は責任はないのだが、太川陽介があきらめたら確実に番組は面白くなくなる。時間的な尺も足りなくなるだろう。その責任を自覚してバスのなかでは一睡もせず地図とにらめっこし、地名を覚え、他のふたりのために選択肢を用意する。ロケの前日にはいつも新しい服と靴を買うそうだ。それも雨や田舎の風景でも画面が暗くならないよう明るめの服を新調するというのだ。それがリーダーの自覚というものだろう。蛭子さんのように履きつぶした革靴の底がロケ中にめくれ上がるようなことはない。そればかりか蛭子さんのそんな事態に備えて接着剤まで常備していたりするのがリーダー太川陽介なのであった。

そんなリーダーに対して蛭子能収は参謀ですらない。嫌なことは嫌だというし、とにかく好き勝手に振る舞っているようにも見える。思ったことがつい口をついて出てくる。それがときに太川陽介をカチンとさせる。バスのなかは寝るところだと考えている。だが歩くのも好きではない。なぜならバスの旅だから。だったらバスで寝るなよと言いたくなるが。夕飯も郷土料理には目もくれずカレーやとんかつ、ラーメンなどを食べる。テレビ的情報には無頓着この上ない。タレントとしてなにかを見せる意識をまるで持っていないかのようなのだ。そこが逆に受けているともいえる。

つまり役者としてリーダーを演じ番組の見え方を意識する太川陽介にたいして、仕事は断らない主義だけど好き勝手に振る舞うだけの蛭子能収は、交わることのないはずのタレントなのであった。

しかし著書を読むにつれて、似てるなと思うところもところどころ見えてきた。まず、二人とも売れない時代を味わっているということ。アイドル歌手として大手事務所から逸材としてデビューし「ルイルイ」を大ヒットさせた太川だが、自らアイドルをやめ俳優を目指して挫折を味わう。かたや蛭子も漫画家になる前は看板屋やサラリーマン生活を経験している。テレビで顔が売れて本業の漫画が売れなくなったとも。これらの経験は他人への視線を厳しくするとともに、他者からの思いやりのありがたみも心底わかっているような気がする。だから他人にも優しくなれる。

また二人とも個性を尊重する。人は人、自分は自分という個人主義的なところがどちらにもあるようだ。特に太川陽介は蛭子に対してイラついても、最後はそれが個性なんだからと受け入れる。蛭子能収は根っからの個人主義だということが著書全体を貫くテーマとすらいえる。そんなベタベタしない関係がたまのバス旅行を新鮮なものにしているのではないだろうか。

そして意外なことに蛭子さんもルールを守りたい人だった。好き勝手するにも自分なりのルールがある。社会生活を送るうえでもギャンブルに熱中するうえでも、社会のルールからは逸脱したくないという絶対的な指針をもっていた。第18弾のなかでも「バスがあるときはバスに乗る。それがルール。」と冷静に言っていた。体言止めで冷静に話すときの蛭子能収にはインテリ風の凄味がある(笑)。それがたとえ歩きたくない言い訳だとしても、その言い訳に「ルール」を持ち込むわけだ。

大切なのは自由とカネだとも言った蛭子だが、この著書を読むとその根底には社会ルールを守り自分で稼いだカネで遊ぶならどんな遊びも自由だし尊重するという思想すら見える。

●テレビ業界におけるガチとは!?

他にも二人とも奥さんについて最後に書いていたりとか、「エビが小さい」発言事件への言及がどちらの著書にも出てきたなど共通点があった(笑)。ただしこの事件が同じ事件のことかどうかは微妙である。蛭子さんは食レポ番組でのエビフライ事件と書いているが、太川さんは路線バス旅のロケで海老の塩焼き事件として報告している。内容はどちらも蛭子さんの不用意な発言なので、もしこれが別々の事件だったとすると蛭子さんはいろんなところでエビが小さいと発言してる可能性がある(wobbly)。

エビフライ事件はともかく、これらの共通点は相手を個人として尊重しつつ大人の付き合いができる二人だということを表していると思う。そして二人とも別の本業を持っているというところがいい。芸人どうしの旅だとこうはいかないだろう。(芸人の旅を否定はしないが、他局が似たようなフォーマットでやろうとするのは面白くないからやめたほうがいいと思う。)

本業があってスケジュールを開けてくれて台本なしでゴールできるかどうかもしれない旅をしてくれる大人なタレントを意図してブッキングするのはおそらく困難を極める。たまたまスケジュールに余裕のあった二人で台本なしのバス旅を企画して、そこに確信を持てたテレビ東京のスタッフの運と実力のたまものともいえる。テレビ業界においてガチはゆるさの裏返しである(笑)。ゆるいテレビ東京だからこそガチで台本のないバス旅行が実現したのだと思う。

最後に余談だが、蛭子能収さんの著書を読んでめっちゃ共感する自分がいた(笑)。考え方がかなり似ていた。蛭子さんも「YOUは何しに日本へ?」が好きらしい。また大企業とか肩書で人を見ないとこも、右翼的な言動に違和感を覚える平和主義なとこも、趣味が人生を豊かにするという主張も、ペットで孤独は癒せないという主張も、どれもこれもまったく同感だ!一見非常識と見える蛭子能収の生き方、現実社会での振る舞いはなかなか自由を体現できない日本人のある種の理想でもあろうし、その徹底した個人主義を貫く姿が異邦人のようでもあろうし、やはり現代日本で漫画家兼タレント以外にはしずらい少数派な生き方かもしれない。でもボクも蛭子さんほどではないかもしれないが、ゆるい個人主義を貫いてガチに生きていければと思うのであった…。

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