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2014.05.18

世界卓球からアニメ『ピンポン』へ興味拡大!

世界卓球を見た後、テレビで卓球のアニメをやっていることを知った。「Animation」を逆さに読んで「Noitamina(ノイタミナ)」というフジテレビのアニメ枠で4月から始まった「ピンポン」だ。

私が見たのは第4話の途中からだったと思う。強烈な原画と構図で、ハゲのごっつい男(風間やアクマ)が出ていた。これが高校生だと気づくまでにずいぶん時間がかかった(笑)。とっつきにくいが何か気になるアニメだった。でも第5話を見て確信した。これは名作だと。

原作は1996年の同名漫画だった。その頃のボクはすでにリアルタイムにマンガを読まなくなっていたし、アニメーションも制作側の技術的な部分ばかりをコンピュータエンジニア的な視点から見るような感じだったから、この「ピンポン」は同時代に楽しんだわけじゃなかった。だから懐かしさはなく、完全に新しい表現に出会った感覚だった。でもクレジットにタツノコプロと表示されたのはうれしかった。昔『タツノコプロインサイダーズ』という書籍を読むくらいには好きだったから。

世界卓球を見なかったら、平野早矢香の大逆転劇がなかったら、もしかしたら出会わなかったアニメかもしれない。だけどこのドラマは(あえてドラマというが)、高校卓球部の青春群像劇を超えて普遍的なかっこよさ(そしてかっこ悪さ)を持ってる。ハードボイルドだな、と思った。原作漫画も大判で復刊されたフルゲームを今日読んだ。アニメの1~4話もフジテレビオンデマンドで見た。

アニメ第5、6話で死ぬほど努力した凡人佐久間学(アクマ)の挫折へ向かう足掻きは響いた。多くの人間がアクマほど努力できない。それでも掴めない場所がある。非情な現実の前に、それでも足掻くアクマ。最後には必ず報われるといったファンタジーはここにはない。だが挫折が人生の終わりかといえばそうでもない。誰もが挫折の重さは違ってもその先に何らかの生き方を見つける。

主要な登場人物のキャラクター設定は個性が際立ち、皆ある種人間社会の典型的モデルのようにも思える。星野(ペコ)、月本(スマイル)、佐久間(アクマ)、風間(ドラゴン)、孔(チャイナ)はそれぞれに違った突出した面を持っているようなキャラだ。しかしパーフェクトな人間はひとりもいない。少ない登場人物だが描かれる精神世界は多様だ。そして深い。

ストーリーからするとペコとスマイルが主人公ではある。しかし主要な脇役の人間像もしっかり描かれる。それぞれの抱える弱さが交錯する。卓球台を通して対戦するときだけでなく。成功する者も挫折する者も、成功を望む者も放棄する者も、誰もが主人公だ。

言葉少なに語りかけるようなセリフ回しもハードボイルドで好きだ。マンガと同じセリフがたくさん出てくるが、アニメで再構成されたそれらの言葉は、さらに凝縮されインパクトが高まっている。名言の宝庫だ。

音楽もいい。牛尾憲輔は電気グルーブのエンジニアだったという。“卓球”つながりか(笑)。ボクも学生時代は石野卓球バリにW-30scを駆使してサンプリング音楽を作っていた。電気グルーブにはなれなかったが、スマイルやアクマほどのストイックさがなかったかもしれない。あっても電グルにはなれなかっただろう。

卓球とテクノは音でつながっているという視点には賛同したい。世界卓球の翌日、おそらくダイジェスト映像を見ていた時に思わずこんな風につぶやいていた。
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5月6日@hitokuchimemo
ポップンポール@hitokuchimemo

試合中に卓球台の真ん中にバイノーラルマイクを置いて録音してみたいなぁ。
posted at 11:28:23

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卓球で打ち合うラリーの音やリズムはプリミティブな躍動にあふれている。過激な静けさだ。戦っている相手なのに、ひとつのノイズミュージックを共同制作しているような錯覚を覚える。

この点ではアニメの第1話「風の音がジャマをしている」が好きだ。中国人選手の孔(コン)がコーチと学校の屋上で話していると卓球をする音が聞こえてくる。ペコとスマイルがラリーをする音だった。その音を聞きながらまだ見ぬ両者の力量や弱点を的確に言い当てる孔とコーチ。それが視聴者や読者への説明にもなっている。原作通りのこの演出はみごとだった。(どうでもいいけど風の音ってほんと録音のジャマなんだよね!)

今週の第6話は季節外れのクリスマスネタだったが、私世代にも胸キュンな回だった。思わずギターと浜田省吾の楽曲集を持ち出して(持ってるんだなこれが confident)、「MIDNIGHT FLIGHT ひとりぼっちのクリスマス・イブ」を練習した。いい曲だなぁ。今度カラオケで絶対歌おう。チャイナに敬意を表してチャイニーズスナックで(なんだそりゃ)。

来週からは後半戦となり、ついに天才ペコが復活してくる。キレッキレのハードボイルドな演出を楽しみたい。それと来週は『卓球王国』7月号が発売される。世界卓球の全結果が載っているはずなので買おう。人生で初めて買う卓球雑誌になる。

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Comments

ご無沙汰してます。僕も今期の深夜アニメでハマっているのは、「ピンポン」なんです。映像も音楽も、声優もいい(特にオババの野沢雅子)。タツノコプロ、いい仕事です。
窪塚洋介主演の実写映画が好きで(こちらもサントラはテクノ満載)興味があったので見ました。
ポップンさんおっしゃるクリスマスの場面、まさかの浜田省吾とそれぞれの思いが黙って映される映像には泣けました。今後が楽しみです。

Posted by: tak | 2014.06.09 at 12:36

ピンポン、ハイキュー!、暴れん坊力士!!松太郎と、スポ根系アニメがいま熱いですね。

実写映画のピンポンもようやく見ましたが、原作通りの描写の多さに驚きました。原作がこれだけ影響を残しているのを見て、その普遍性に驚いた次第です。

そんな偉大な原作の間隙を縫ってアニメオリジナルであそこまで情感豊かに作られたクリスマスの光景は秀逸でしたね。

また、オババからペコへの愛情表現はハードボイルで、原作の想いを100%伝えきれた稀有な瞬間だったと私も思いました。

「ピンポン」は、アニメにはアニメにしかできない表現があるってことを思い知らせてくれる最高級のジャパニメーションですわ。

Posted by: ポップンポール | 2014.06.09 at 22:50

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