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2014.05.14

中島みゆきのアイドル歌謡への想い

まず初めに言っておきたいことは「中島みゆきはミーハーである」ということだ。間違いない。それはいまに始まったことじゃなく歌手になる前、吉田拓郎を追っかけていたころからずっとミーハーだったんだと思う。

ボクは中島みゆきファンをかれこれ30年以上続けているが、ようやく言えた(笑)。実はずっと思ってたんだ。いまやなんだか重厚感漂う大御所アーティストになってしまったが、基本はミーハーなお姐さんだった。

そんなことを書き留めておこうと思ったのは、ももクロの新曲「泣いてもいいんだよ」が中島みゆきの楽曲で、ももクロ史上初のオリコン1位になったというニュースを読んだから。

この曲、もう全編中島みゆき節で突っ走ってる。ももクロの歌を聴きながらも、中島みゆきの声が頭のなかで鳴ってしまうくらいにストレートなみゆき節だ。ツインギターのフレーズなんかもまさに中島&瀬尾フレーズっつーか。

多少みゆき節から外れているなと思ったのはサビがメジャーキーに転調してるとこ。このアイデアがどういう根拠なのかにはちょっと興味がある。ももクロらしいアイドル歌謡のフックとリフレインを意識したのか、彼女たちの歌えるキーの問題があったのか、そのあたりはボクにはわからないけれど、その違和感も含めていい曲だ!

ストレートなみゆき節と書いてしまったが、しかし実際のところ中島みゆき自身で歌う楽曲よりも、ほかの歌手への提供曲のほうにより中島みゆきらしさを感じてしまうのはボクだけだろうか。

うまく言えないが、中島みゆきの楽曲は誰が歌っても中島みゆきを感じる。そういう意味では作家性の強いアーティストだといえる。発注側もそのエッセンスを求めているだろうし、みゆきさん自身も応えようとして過剰に中島みゆき的なソングライティングをしているというと穿ちすぎだろうか。

特にアイドルへのアップテンポな提供曲は楽しんで作っているんじゃないかと思ったり(実際はもちろん生みの苦しみもあると思いますが)。筆が走ってるようなメロディラインが自然とみゆき節の表出につながっているみたいな気もする。妄想ですけど。

で、妄想ついでに中島みゆきミーハー説ですが。アイドル歌謡のときに表出するソングライティングの自然さ、これってたぶんみゆきさんは自分自身がアイドルになった気分で(ミーハー感覚で)作っていると思うわけです(笑)。

ジャニーズのときはジャニーズの一員として、ももクロのときはももクロの一員として、常にきらびやかなスポットライトを浴びて踊り歌う自分自身のイメージで作ってる。そしてそのマスな感覚と(作家としての)客観的な立場とがちょうどいい塩梅に調和して、無理のない「無の心境」が生み出されている。そう思うわけ。

「無の心境」というのは、いま中島みゆきさんの大きなテーマのひとつですよね。SONGSのときのインタビューで語られていたように。しかし自分で歌うときに無でいられることはほぼ不可能に近いわけです。ところがアイドル歌謡の歌詞というのは、まさに無が許される楽園だと思うのです。

それは歌詞が無意味ということではまったくなく、抽象的なフレーズのテンコ盛りによる普遍化を臆面もなく出来る分野であり、それがアイドルという存在を媒介にして抽象的かつ感覚的なメッセージとしてファンの胸に届いちゃう。それは言葉の意味じゃなく、躍動する波として伝わる。アイドルは巫女のような立場となり、そこに乗せる言葉は呪文のようなものになるわけです。大げさにいえば。

アイドル歌謡を作ることによって「無の心境」を体現できるのは、中島みゆきにとって快感に違いない。ボクのように歌詞の深読みなんかをして頭でっかちに聴くのではなく、ただただアイドルファンの熱狂と愛だけのなかでスッと心に残る。それも若者の。

そうやって覚えた大好きなアイドル歌謡って死ぬまで忘れなかったりする。ボクだってキャンディーズや聖子の楽曲は忘れないし。そうやって記憶に残っていく歌になることが嬉しくないポップソングのライターっていないと思うし、みゆきさんはそういう歌本来の伝わり方を人一倍求め続けていると思うのだ。ミーハーだから(笑)。

ボク自身も昔から頭でっかちに聴いてきたわけじゃなく、中島みゆきの楽曲を感覚的に聴いてきた。でも長いキャリアを生きてくるとどうしても何らかの「意味」は生まれてしまう。アーティストには嫌でも何らかのイメージがまとわりつく。それをどうはぐらかしながらサプライズを生み出せるかがアーティストのセルフプロデュース力でもある。

中島みゆきにとってほかの歌手への楽曲提供はひとつのサプライズでもあるし、シンガーとしての縦軸にライターという横軸が交わる「糸」かもしれない。その両輪を保ちつつ歌を末永く紡いでもらえるのは、ファンとしてもまた楽しみが増えてありがたい。

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