google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg 世界卓球2014の女子銀メダルを思い出に追加: ひとくちメモ

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2014/05/06

世界卓球2014の女子銀メダルを思い出に追加

名作ドラマは最終回のひとつ前が出色の出来栄えであるというのが私の持論だが、今回の世界卓球女子団体にもこのドラマ論があてはまるような大会だった。よく筋書きのないドラマといわれるスポーツの世界だが、最終回のひとつ前とはつまり準決勝を指す。そう思えば納得がいく。決勝を目指すエネルギーの沸点がもっとも高まる試合だ。

古くは当時珍しかった女子ジャンプサーブの益子直美を擁する共栄学園の春高バレー。大林素子のいる八王子実践に準決勝で勝ったときには鳥肌が立った(決勝では四天王寺に敗れた)。また準決勝ですべての力を使い果たし決勝は棄権するしかなかった「キャプテン」における墨谷二中(マンガだけどね)。そんな準決勝ドラマにまたひとつ、世界卓球2014東京大会の女子団体の対香港戦を加えたい。

●ゾーンに入った平野早矢香の粘りにシビれた!

圧巻だったのは中堅(3番手)に出てきた平野早矢香だ。私も小学生時代は剣道の団体戦で中堅をやることが多かった。先鋒、次鋒が1-1で来たときの中堅は試合の流れを呼び込む役割だし、0-2で負けているときは絶対負けるわけにいかない責任重大の立場だ。2-0で勝ってるとその後に副将、大将がいて気楽そうだが、相手はがむしゃらに来るのでタフな試合になる。大将や副将の器じゃないが参謀的な視点とムードメーカー的な役割と粘り強さを求められる、それが中堅だ(小学生時代の自分を若干美化してるが)。

今回の世界卓球団体の場合、両チームとも3人で5戦だが、各チームはABCABの順番かXYZYXの順番かを事前にコイントスで決められる(アルファベットが3人の選手を表す)。この並び順がどちらになるかは運次第だが3選手のうち中堅だけはどちらの場合も1回しかチャンスがない。準決勝・決勝ともにXYZYXとなった日本の3番手を任されたのが平野早矢香だった。

準々決勝のオランダ戦は日本がABCABで中堅はカットマンの石垣優香(ゆうかじゃなくゆか)だった。このときの石垣の粘りがあったからこそ準決勝進出できたことも忘れられない。相手のリー・ジエもカットマンでカットマンどうしの対決。途中で促進ルール(延々ラリーが続くことを防止するためにサーブ権を持つ側が13回レシーブされたら1点失うというルール)が適用されたが石垣が勝ってくれた。この1勝がターニングポイントになったと思う。このときから世界卓球にくぎ付けとなってしまった。

そして準決勝。相手は香港。XYZYXになった日本は石垣・石川・平野・石川・石垣という布陣。1-1で平野の出番となる。2ゲームを取られて後がない平野の第3ゲーム。4-9まで追い込まれた平野にスイッチが入る。いや、テレビ画面にアップで映った平野の表情はその逆と言ってもいい。非常に平穏な表情になっていた。焦りの色もない。そこから1点1点積み重ね10-10のデュースに持ち込みこのゲームを制した。

このときの平穏な表情を見て「あ、平野はゾーンに入ってる」と直感してツイートした。私自身はゾーンという言葉を相場用語としてしか知らなかったがスポーツの世界にもあるようだ。というよりスポーツのほうがたくさん書籍が出ていた。

考え方の基本は相場もスポーツも同じようだ。一言でいえばメンタルの強さなのだが、数多の書籍にあるような「ゾーンに入る技術」というものは存在しない。ゾーンに入れる人は日々の生活が違う。ゾーンとは、その日常の積み重ねが極限状態での対処の瞬間に滲み出てくる無意識の領域だ。日常を変えるという広義では技術といえるかもしれないがマニュアル化できる方法があるわけではないのだ。意識の持ち方といえるかもしれない。

テレビ東京は平野早矢香が桜井章一さんから会場で花束を贈られたという情報を流した。雀鬼会との交流は卓球ファンの間では数年前から知られていた情報だったようで、雀鬼会のHPにもちょいちょい登場している。桜井章一さんの著書を読んで会いに行って以来の交流だという。それで腑に落ちた。私も桜井章一さんの考え方に影響を受けてる。香港戦でゾーンに入った平野早矢香がもっと好きになった。

●素人目に直感した中国の強さ

準決勝は平野早矢香の大逆転劇から場の空気が一変し、日本のエース石川佳純も接戦の末に勝った。この日の日本は薄氷の勝利といっていいと思う。だが内容の濃い試合だった。

前回書いた通り、準決勝の勝利を見て決勝は会場で観たいと思った。31年ぶりに日本が出場する決勝戦だ。決勝の相手は最強の中国。世界ランクトップ3の選手ばかりのチームだ。日本は石川佳純の世界ランク9位が最高位だ。

いったい中国のなにがそこまで強いのかにも興味があった。そういう意味では男子決勝の中国vsドイツも非常に有意義な試合だった。

もっとも卓球素人の私だから直感でしかない。それはフィギュアスケートのキムヨナをはじめて観たときと同じだ。この直感を記録しておくこともこのブログの(個人的な)役割でもある。妄想だと思っていただいてかまわない。

中国は男女ともに技術があるのは言うまでもないが、その使い方と使いどころの厳しさがズバ抜けて攻撃的だ。攻撃への意志が非常に強い。常に先手必勝を考えているし、それを実現できる思考回路と技術を持ってるように見えた。

それを感じたのはプッシュで返すときの球筋と強さ。スマッシュとかチキータレシーブとか、そういう目立つところももちろんコースをついてくるし、もし先手(攻撃による場の支配)が取れなかった局面でも、将棋における怒涛の寄せのように徐々にコースを寄せてくる。死に筋に打ち返すことがほとんど無いように見える。それがプッシュや壁で返すしかないときにも出来る。どんな局面でも先手必勝の局面にアレンジできる強さを持っているように見えるのだ。

サーブ権を持っているとき、サービスエースを除けば先手必勝のチャンスは相手のレシーブ後の3球目になる。サーブ権がないときはレシーブ(2球目)から先手必勝の機会が来る。これらをことごとく貪欲に使っていく。遊ばないし休まない。ここで一回でも休めば相手に手を渡すことになるが、そういうムダな動きをしない。

相手のサーブがいい場合には不本意にも返すだけになりそうなことはある。だが守りに回る気は一切ない。たぶん「返すだけ」という動きはほぼない。何か一手間入れてくる。転んでもただでは起きないという感じだ。それを狙いでやるのではなく日常からそういう球筋をつくようにコントロールできてるような気がする。

●中国に勝つにはメンタルよりフィジカルか

カットマンは相手のミスが出るまでひたすら守り続ける専守防衛的な戦い方だが、中国は攻撃こそ最大の防御と言わんばかりの戦い方で、そこに技術がついてくるから延々と攻撃し続けられる。相手が打ち合いに乗ってくれたらしめたと思っている(ように見える)。

おそらくほとんどのチームも同じようにやってるんだとは思う。一手間の違いとは結局、どんな態勢からもコースをつくことを(変な言い方だが)義務付けられているような動きをするのが中国だ、という感覚だ。どうすればそんなことが出来るようになるのか。動的な技術の正確さをアップさせる訓練方法があるのだろうか。

これはメンタルじゃない。もっとフィジカルなものじゃないだろうか。体格差はどうしようもないが、柔かい筋力や平衡感覚はトレーニングでも作れる。最近はサッカーの長友の秘密と言われる体幹トレーニングもブームだがそれもひとつだろう。そうやって作った筋肉や平衡感覚がコントロールできないと崩れた態勢から瞬時にコースをつくことは物理的に不可能だ。

そのフィジカルにメンタルが乗っかって場数を踏むとようやく中国の強さに対抗できるかもしれない。中国を慌てさせるには先手必勝のパターンに乗っても打ち負けしないフィジカルが最優先になると思う。中国のなかにもラリーの中でも場を支配しようとリセットし始める(フラットな打ち合いにいったん戻して先手を探る)選手もいた。団体戦なら勝ち目はあると思った。

ともかく初めて会場でみた世界卓球だったが、卓球って競技自体が面白いとわかったので、今度は事前にチケット取っていこうかな。バレーボールに卓球にと、何気に着々と2020年東京オリンピックを目指して応援の下準備を始めてる私なのであった(笑)。

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