パリ12区ベルシー公園散策
ベルシー体育館はセーヌ川に沿って作られたベルシー公園のもっとも北側にあり、メトロのベルシー駅やターミナル駅のリヨン駅に近い。見どころ満載の観光都市パリに短期滞在して、ベルシー公園まで足を運ぶ人はあまりいないかもしれない。日曜もやってるベルシー・ヴィラージュに買い物に来るとか、シネマテーク・フランセーズを見学する映画ファンとか、それこそベルシー体育館になにかイベントを見に来るくらいか。
昔のこの辺りは「パリの中の田舎」と言われていたそうだ(地球の歩き方より)。私もベルシー体育館にエリック・ボンパール杯を見に来るという目的でなければこのあたりのホテルに泊まる理由はなかったが、毎日(といっても4日間)ベルシー公園のなかやその周辺を歩いて、なかなか気持ちがよかった。
●パリに生きる動物たちの性格
綺麗に整備された公園だ。もちろん落書きはある。パリの公共施設で落書きを逃れることは出来ない。そういうところはあるが、しかし地域住人の憩いの場であり、ジョギングや散策の場であり、イベントの場でもある。結構大きな公園なので、走り甲斐はありそうだ。
ツイッターにも思わず書いたが、ここに生息している水鳥の平和ボケ加減は、日本のドバト以上だ。ナポレオンの辞書には不可能という文字はなかったというが、ここの水鳥の辞書には逃げるという文字がない。
そういえば散歩中の犬(公園のなかではロープを外して走り回っている)なども、かなり懐いてくる(というか珍しい東洋人の匂いに反応してるのかついてくる)し、フォンテーヌブロー城で出会った野良猫も近寄ってくるし、ノートルダム寺院名物の高速鳩も突進してくる。パリで出会った動物たちは、日本の動物よりも明らかに人懐っこいのだ。突進力がすごい(笑)。
これはフランス人の議論好きな性格がペットや都市生活する獣・鳥にも響いていて、共生しているのかもしれないと思った。まったく立証できない仮説ではあるが、あの知らない人間に近寄る好奇心はそうとしか思えない
子どもたちも人懐っこい。ある朝、散歩していたら「ボンジュー!」と男の子の声がした。そちらを見ると金髪の男の子がオレにあいさつをしている。その距離約30メートル。いったいどういうことだ?誰かと間違えたのか?オレのファッションが気に入ったのか(笑)。そんな状況に不慣れな東洋人の私は、ちょこっと会釈をして、まったく相手に聞こえない低い声で「ボンジュ...」と口だけ動かして立ち去った。男の子も会釈をしてくれた(ように見えた)。
●シモーヌ・ド・ボーヴォワール橋
ベルシー公園は美しいけれど、せっかく歩くなら、ぜひセーヌ川沿いの階段を上ってほしい。階段を上がらないとセーヌ川は見えないし、その先に広がるドミニク・ペロー設計の国立図書館の全体像も見えない。そしてちょうどベルシー公園の中央にかかるシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋も必見だ。名前の通り、とても女性的な曲線の美しい橋だと思う。
この橋は2006年に完成した新しい鋼鉄製の橋だが床には全面に木製の板が貼られている。ベルシー公園は12区だけどセーヌ川を渡ると13区に入る。橋はその先にある高層の国立図書館の敷地へとつながっているのだが、図書館のあたりも木製の床が続いていて、この木の感覚がとてもいい。現代的な高層ビル群との対比も面白い。また、橋に行く手前に、わけのわからない人形のオブジェがたくさん立っている。
世界中の公園に不思議なオブジェはあるけれど、この落書き文化の延長のようなオブジェはどうだ。結構好き。特に一番手前に写した帽子を被ったオブジェはこの日のボクのファッションにそっくり(笑)で超気に入った。目元も似てる?
朝も気持ちよかったけれど、夜は夜で趣きが違って美しい。ベルシー体育館からの帰り道に、またボーヴォワール橋を渡ってみた。女性的な橋という意味は夜の美しさからも分かってもらえるだろう。サルトルもびっくりの妖艶さだ。
思わず渡り切って図書館の下をぐるっとまわり、もう一本下流にあるトルビアック橋を渡って遠回りしつつホテルまで戻った。
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