アカショウビンに誘われて
サガリバナの撮影を終えた7月1日の深夜2時ごろ、石垣島は雨が振ったりやんだりといった天気でした。しかし夜中の雨はバードリスニングにとっては恵みの雨といえます。これは早朝の森に入って野鳥の声を録音するしかないと思いました。
波照間島と石垣島で、常に相棒の録音機(ZOOM H2)とリアルヘッドバイノーラルマイクを持ち歩き、ここはという場所で波の音の録音にトライしました。しかし連日天気はいいものの風が強く、波の音の録音には厳しい環境でした。
それでも帰宅して聴いてみると、波照間島の毛ビーチで録音してきた音などは、多少フィルターをかけたりするとそれなりに聴ける音にはなっていました。しかしそもそも録音したときに我慢が足りず、短時間で停止していたため波の音としてはあまり良い仕上がりとは思えませんでした。
南国で波の音がダメなら野鳥がいます。バードリスニングの世界というのも非常に奥が深く、また楽しいものです。私がバードリスニングという世界を知ったのは2009年のことでした。そのときの記事はこちら。それ以来、フィールド録音に欠かせないのが野鳥ですわ。
『日本の野鳥図鑑』にはCDもついていてとても重宝してます。最近ではWebにもバードリサーチという鳴き声図鑑のようなサイトがあって、これも使い勝手がいいです。これらを使って録音してきた鳥の名前を帰宅してから探すことが出来ます。その謎解き感もまた楽しいです(わからない場合もあるけど)。
特に南の島は野鳥の宝庫です。私が沖縄で好きになったのはアカショウビンの亜種であるリュウキュウアカショウビンでした。早朝に鳴いているその独特な歌声で目を覚ますと、とても気分がいいです。それで今回の石垣島ではリュウキュウアカショウビンの鳴き声を録音したいなぁと思っていました。
リュウキュウアカショウビンは夕方にも良く鳴くそうですが、サガリバナのロケハンに行った朝9時ごろでも鳴き声が聴こえたので、この時期は割りとよく鳴いているんだろうと思います。最終日に宿泊した八重山ヒュッタのマスターも近所で朝夕鳴いているとおっしゃって、お子さんの通う幼稚園で撮影したスマホ写真を見せていただきました。
そして録音したのが下記のYoutubeの音です。これもアカショウビンの鳴き声が聴こえやすいように若干フィルターをかけて加工してます。バイノーラル録音なので、イヤホンで聴くと臨場感が増すと思います。写真も動画もありません。この朝焼けの海岸画像は、八重山ヒュッタの部屋から撮った写真です。この後録音に出かけました。
雨上がりの森は野鳥が鳴くんですよねぇ。小笠原に行ったとき母島の北港でスコールのような状況になったんですが、やみ始めたなと思ったら野鳥が鳴き始めるんです。その声を合図にまた録音を始めたりして。
●チュウダイズアカアオバトの鳴き声も
この録音のとき姿は見えなかったけど、リュウキュウアカショウビンは近くに3羽くらいいたと思います。声が3方向から聴こえるシーンがあります。2羽はちょっと遠くですが、呼応して鳴いてる感じです。鳴き声もちょっと短めなんで若い子かもしれません。
またカラスやキジバトはどこにでもいますから珍しくはないんですけれど、こうしてアカショウビンと一緒に森にいるとそれはそれでまた野鳥らしさを感じます。石垣島はカラスが牛耳ってますから(笑)、カラスから逃れることは出来ません。
そして30秒目あたりから遠くでズアカアオバトの鳴き声が聴こえます。後からわかったんですが、これは今回のサプライズでしたね。石垣島にいるズアカアオバトなのでおそらくチュウダイズアカアオバトだと思います。
編集段階で、どこのおじぃがこんな朝から森の中で尺八の練習してるんだ!?と思いました。まさかこれが鳥の鳴き声とは思えなかったんです。でもよく考えてみるとこんな森のなかで尺八の練習はしないだろうと思い直し、「石垣島 尺八のような鳴き声」で検索した結果、ズアカアオバトの鳴き声だとわかったんです。途中で録音停止しなくて良かった...。
以前、日本テレビの「音のソノリテ」という番組でもとりあげられたというリュウキュウズアカアオバトの鳴き声は確かに変わってます。ドバトは大嫌いな私ですが、このハトは一度姿を見てみたいと思いましたね。アカショウビンちゃんもまだ声しか知らないんで、今度は姿を見に行きたいと思う今日この頃です。
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