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2013.05.03

もはやダイエットは実質的な意味を持たない 『ヒトはなぜ太るのか?』

発売当日に一週間待ちとなっていたゲーリー・トーベス著『ヒトはなぜ太るのか?そして,どうすればいいか』(メディカルトリビューン刊)が連休の谷間に届いた。医学書分野で予約段階から売れ筋1位だった書物だ。

連休中は大量の書籍が届いているのだが、真っ先に読み始めた一冊だ。現在もamazonでは9~12日程度の待ちになっている。

入手するなら早いほうがいいと思う。

なぜならこの書物は現在の(というより旧来のというべきだが)医学界や製薬業界の常識と真っ向から対立する科学研究をベースにしている書物だからだ。版元も医学書系出版社だから業界圧力で増刷しない可能性もないとはいえない。

●一般人は後ろから読むと読みやすい

パラパラとめくっていたら、終わりのほうの第2部18章にLDLコレステロール問題への言及を見つけたのでそこから読み始めた。そしてそのまま最終章の19章までを夢中で読んだ。いやはやすごい書物だよこれは!

医者や研究者なら初めから読み始めてもいいのかもしれないが、肥満研究の歴史的経緯など割と堅めの内容から入るので一般読者にはちょっととっつきにくい。個人的には18章「健康的な食事の本質」から読み始めると、とっつきやすいように思う。この内容に懐疑的・否定的な方もそうでない方も含めて。

18章と19章「結末」を読んでから第1部に戻ると、批判的であれ肯定的であれ、一般人の問題意識に近いところから読み始められそうだと感じた。第1章から読み始めて、その固さ(語弊を恐れず言えば退屈さ)で途中棄権するにはもったいない書物だ。

推理小説ではないので、結末の冒頭部分を引用しておきたい。この問題提起こそが基本的な認識といえるからだ。

pen 引用ここから ----------

 これはダイエット本ではない。なぜなら私たちが議論しているのはダイエットではないからである。過食や座りがちな生活ではなく炭水化物が私たちを太らせるという事実を、あなたがいったん受け入れれば、体重を減らすために「ダイエットを始める」という考えや健康の専門家が「食事療法による肥満の治療」と呼ぶものは、もはや実質的な意味をもたない。今や、議論する価値がある唯一の話題は、原因である炭水化物(精製された穀物、デンプン類、糖類)を避ける最適な方法と、健康へのベネフィットを最大にするために他に何を行うかである。

pen 引用ここまで ----------

うーん、すばらしい(happy01)。暗誦できそうだよ。

●常識はときにカルトに似ている

一般的にダイエットでは何十年も前から「①摂取カロリーを減らし、②運動量を増やす」というのがセオリーだが、この書物は①も②も完全否定する。その根拠は読んで各自で判断してほしい。

もちろん私自身が糖質制限をして七か月になり、そこそこ成功していると思えることや、反コレステロールマフィアが跋扈する世の中の現状に懐疑的だから、すんなり受け入れられたのかもしれない。

でもこの内容に懐疑的・否定的だからとやり過ごすには惜しい書物だと思う。特に医者の言いなりでまったく効果がない(あるいは逆効果の)ダイエットで苦労している人や、途中で(必然的に)挫折するダイエットを続けるよりは、この一冊を読むために時間を割くほうがずっと効果があるはずだ。

著者は科学・薬学・健康などを専門とするサイエンスライターだが、その専門性と論理構築力はさすがだ。様々な分野でいつも思うのだが、米国の専門性の高いライターの取材力や構築力には驚く。様々な分野のライターでこうした訓練が出来ている背景には、日米の大学教育に構造的な格差があるのではないかと思ってしまうが、論点がずれるので深入りしない。

カロリーを減らし運動量を増やす。それが常識としてある時期から広まり、素人だけでなく医者や栄養学の専門家までが盲信してきた。なんだかミルトン・フリードマンの新自由主義の拡散と似ている。

カロリーを減らし運動量を増やすことへの検証は、第2章「食べる量を減らすことのあいまいな利益」と第3章「運動のあいまいな利益」あたりから展開される。その起源がどこにあったのか、このカルト宗教の“教祖”が誰なのか、確かな取材力で検証していく。

経済学でいうところの「合成の誤謬」にも似た現象が医学や栄養学の世界にも発生し、肥満治療とかダイエットの具体的な方法論が次々と生み出されては消えていったということかもしれない。いや、すべてが製薬業界に仕組まれた罠なのかもしれない。いずれにしろ科学ではなく宗教に近いから、生化学的な存在であるヒトの肉体的健康には効果がないわけだ。

想像してみよう。全世界の大多数の人々が麻薬でラリっているところを。新興宗教やスピリチュアルに嵌り盲信している世界を。そんな社会は気持ちが悪いが、まさに現代社会は、“カロリーを減らし運動量を増やす教”によって無意味な壺(薬)を買わされ、無用な修行(運動)を強いられているのだ。

「壺を買わないなら修行しろ。修行が続かないなら薬を買え」
「金がないなら死ね。死にたくなければ金儲けしろ」

まさにメタボリックシンドロームは新自由主義とともに、もっとも成功した新興宗教だと思える。マッチポンプともいえるか。

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