「昼下がりの情事」でオードリー再発見
先月の「ティファニーで朝食を」に続き、オードリー・ヘップバーンの「昼下りの情事」を見た。オードリーのイメージは華奢で清楚で妖精のような女優だったのだが、この2本でみる彼女は発展家で物怖じしない女性。持っていたイメージとは異なる。もっともそんな役をオードリーがやっているというギャップがいいのかもしれないが。
それにしても「昼下がりの情事」だ。下世話だねぇ(笑)。これロマンチック・コメディって言われてるけど、そうかな?単なるエロオヤジの妄想映画じゃないのか(笑)。いや面白い映画でしたよ。しかしこの内容で2時間を超える映画になってるんだからいい時代だと思う。
ビリー・ワイルダーは「アパートの鍵貸します」のような面白いアカデミー賞映画も撮ってる監督だけど、基本的に下世話だ。そこがいい。やっぱ娯楽は下世話なくらいでちょうどいいんだよ。
「昼下がりの情事」を撮っていた前後、マリリン・モンローの「七年目の浮気」や「お熱いのがお好き」も監督してるし、オードリーの「麗しのサブリナ」も撮ってヒットさせてる人気の監督だ。またタイプの異なるこの2大女優が火花を散らしていた時代でもある。
「ティファニーで朝食を」の主演がオードリーになるかマリリンになるか、どっちに転んでもおかしくなかった時代背景をビビッドに感じる。おそらく「昼下がりの情事」も、どちらが演じても可能な映画だったと思う。もっともマリリンのほうが3歳年上だし、音楽学校の学生という設定はオードリー向きか。
この映画でのオードリーは眉毛がイモトのように太い。だからどうということはないがそんな感想だ。
若い娘のお転婆加減も、女学生の好奇心も、大人のちょい悪男に惹かれていく過程も、すべてが男の妄想の産物としか思えない。脚本もビリー・ワイルダーだからそれも納得か。1950年代はワイルダーの娯楽映画全盛期といえるが、それはおそらくこの妄想パワーゆえだと思う。
オードリーの父親は私立探偵で、住居兼事務所にはクライアントの下世話な資料が満載された資料棚がある。オードリーはそれらを盗み見ては友人に話すことを趣味としている女学生。ある日、その下世話な資料の常連浮気オヤジ(ゲーリー・クーパー)の命を救ったことから奇妙な関係が始まる。そしてオードリーはその浮気常連オヤジに恋心を抱いてしまう。
もうありえないっしょ(笑)。まぁありえないことが起こるから映画は面白いんだけど。
ウィキペディアによると、ゲーリー・クーパーのやった浮気男の役はケーリー・グラントにもオファされたそうだが、オードリーと年齢が違いすぎると断ったそうだ。当時としてはそれくらいロリータ趣味を醸し出す映画だったんだろうか。そんなケーリー・グラントも後に「シャレード」でオードリーと共演するわけだけど。
ただ女優はこれくらい様々な役をこなすべき時期というのもあるような気がする。オードリーは当時すでにトップ女優ではあったと思うが、下世話な娯楽映画をその気品と魅力でおしゃれな映画として記憶に残させてしまう女優のオーラはあっぱれだ。もっといろいろ観たくなった。
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