新たな趣味は糖質制限ダイエットなり
ずいぶん長く生きてきて、だいたい自分の性格もわかってきたと思っているのだが、どうやら2年おきくらいに新しい趣味を見つけてははまってしまう性癖がある。
2年前は言わずもがなの韓国語学習とK-POPだ(笑)。これは今年の夏、釜山旅行したことでひとつの区切りを迎えたような気分もある。もちろん語学という趣味は初めてだし、たかが2年でものになるなんて思っていないので今後も続けていくつもりだ。
しかし今年また新たな趣味を見つけた。それがまさかのダイエットだ(笑)。これまでダイエットなんてまったく考えたこともなかった。
その第一の理由は猫も杓子もダイエットでブームにすらなっているこの世相への反発()、第二に数少ない友人どもの過剰すぎる大食・B級グルメ
へのこだわり、そして第三に初診からクスリでどうにかしようとする産業医への懐疑心(
)などから、「ダイエットなんてケッ!」という感情に凝り固まっていたのだ。
●健康診断という名のタイトルマッチ
健康志向もほとんどない。もちろん健康診断の数値が悪いことはままある()。大腸ポリープで検査入院したこともある。だが正直な話、日常生活に支障を来たしたことなんてなかった。これまで健康診断でもっとも気にかかるのは視力低下だった。
ただ、そうは言いながらも健康診断の日をタイトルマッチのような気分で迎える自分もいる 。敵はまさしく産業医どもである。アイツらの言うようになんかやらないぞと。クスリなんか飲まないぞと。
思い通りなんか動かない(by 中島みゆき「彼女の生き方」より)が、なんとか数値改善して目にもの見せてくれるぞと。
そういう歪んだ反抗心が原動力となり、タイトルマッチの前などは多少節制したりしてきた。ここまで第三者的に読むと、完全に小市民的なただのわがままだと思うがな。
そして今年もまたタイトルマッチの日が近づいて来る。一昨年まで負け続きだったが、昨年、「要精密検査」とコンピュータがはじき出しているのに、産業医が「経過観察」に手書きで書き直した結果が戻ってきた。
つまり奴等はオレを挑発しているのだ。「そんなにクスリが嫌なら一年様子を見てやろうじゃないか。どうせダメだろうけど。ふふふ」と自信満々で書き直しているのだ。この挑戦受けて立とうじゃないかと思った。
●メタボシンドロームに懐疑的な医師と出会う
しかしオレには武器がなかった。やれカロリー計算しろだの、一駅歩けだの、くそまずいダイエット食を食い続けろだの、最終的にはクスリでコレステロールを抑えるだの、それでどんだけの人が失敗してるか統計取ったことはないが、巷にあふれるダイエット話は次から次に新手法が出てきてはブームになり、あとには常にリバウンドという荒野が広がっているではないか。
オレはそれは危険だと思った。ここだけは野生の勘としか言いようがない(飽食の言い訳ともいえるが)。別に無理して食べているわけでもなく、自然に生活しているだけなのになぜ太っていくのか。そこの原理がよくわからなかったし、こういう人間は運動しても使ったカロリー以上を必ず摂取してしまうのだ。これはサガなのだ。
それにムリせず太ったんだからムリせずやせればいいくらいに思っていた。産業医が「いつまでに何キロやせるのか目標を言え!」というから「現状維持が最高!」と常に応えて来た。本当は「10年で8kg程度」というゆるーい目標はあったのだが、タイムスパンの異なる産業医には言えなかった。どうせまた押し問答になるだけだ。トレンドフォロワーの考えはデイトレーダーには伝わらないのだ(笑)。
そんなときに最初に出会ったのはメタボシンドロームに警鐘を鳴らす医師、柴田博先生の雑誌『選択』での連載記事だった。最初は雑誌そのものの信用性が高いのが良かったんだと思う。柴田先生の言説に興味を持ち著書を検索したら、若い頃より10~15kgアップが健康という著書に出会って、なんだか面白いこと言うなぁと思った。
柴田博先生の言葉で印象に残っていたのは「食事を制限するなら米を外して肉を食べなさい」というものだった。そしてそれを昨年の試合(健康診断)前に一週間だけ実践してみた。その結果が、先に書いた「経過観察手書き挑発事件」につながっている。つまりノックダウン寸前でオレは立ち上がったのだった。米を減らすことの効果を身体で覚えた瞬間だった。
●そして糖質制限ダイエットを知る
とはいうものの、試合が終わればこっちのもの。またラーメン(二郎ほか)、カレー(もうやんカレーほか)、鉄板麺(by 東中野「大盛軒」)、ロメスパ(銀座ジャポネ)と炭水化物を食べまくる日々に戻っていった。それでも食いすぎた翌日、米を抜けば最低限体重は現状維持可能だった。それで満足していた。しかし気がつけば体重は徐々に増加の一途を辿っていた。
転機はひょんなところから訪れる。先の連休中、友人宅のエアコン付け替えに伴い大型テレビの移動作業要員としてはせ参じたときのことだった。すべての作業が終わり新しいエアコンの風に吹かれながら、元の位置に戻した大型テレビを見て休憩していたら、TBSで糖質制限なるものの特集をやっていた。
最初は糖尿病患者の治療の話だったので特に見るともなしにつけっぱなしだったのだが、作家の宮本輝さんが出てきたところでちゃんと見始めた。宮本輝さんは好きな作家だったから。すると宮本輝さんが糖尿病で苦しみ、食卓からご飯を抜く「糖質制限」をはじめて絶大な効果を上げているという話だった。そしてこれがダイエットにも役立つという話だったのだ。
そこからは番組に釘付けになった。さらに見ていた友人から「こういうダイエット法も出てきたのか」的な発言があり、米を減らすことの効果は身をもって知っていた私が「ご飯を食べないってのは効果あるよ」と知ったかぶりしたことで、スイッチが入った。
自分はこれをやったことがある。米を抜いたら実際に効果があった。信頼している柴田博先生もそういっていた。それが実は「糖質制限」というシロモノであった。それをいま友人に知ったかぶりして話している。頭のなかでこういう論理展開のもと、俄然「糖質制限」をもっと知りたくなってしまったのだった。
●ドクター江部の著書で武器を手に入れた気分に
ここまでこんな長文になったことを見ても、これがオレの新しい趣味になったことを示しているように思う。既に「糖質制限」の書物は4冊読み終えている。昨日もまた別の4冊を注文した。趣味の世界に入る一番手っ取り早い方法はその分野の先達の書物を一気に読むことだ。そしてポイントとなる部分を実践することに尽きる。
今回もまさにその流れで、書物を読み、人体実験よろしく自分の身体で実験してみた。自宅で食べる夕飯は主食(炭水化物)を抜いて、その分野菜・肉・魚・チーズをガンガン食らう。朝食はこれまでどおり食べない、昼食はご飯も含め普通に食べる。食後の甘いカフェラテも飲んでしまう。
実験は夕飯だけでやるので、江部先生のカテゴリで言えば「プチ糖質制限」というやり方だ。朝食もないから「スタンダード糖質制限」にも近いかもしれない。
これを始めてまず驚いたのは、スーパーに売っている惣菜や美味しいソース類などがいかに糖質頼みかということだった。さらに一食の糖質摂取量を20g以下に抑えることの難しさと、これまでいかに炭水化物に甘えたメニューばかりを食べてきていたのかということだった。
過去の食事を思い返すとき、おそらく一食たりとも炭水化物(糖質)の少ない食事などしていなかった。昼のカフェラテなど、一本で糖質20gになってしまう。ご飯が角砂糖11個分だとか、まったく意識しなければ糖質はいくらでも身体に入ってくる。
またキューピーマヨネーズを何年ぶりかに購入した。これまでは多少身体のことも考えてコレステロールを下げる効果があるといううたい文句のやや高価なマヨネーズもどきを買い続けていたのだが、それらには砂糖が入っていた。それを見た瞬間、大げさでなく戦慄が走ったのだった。「世の中、真逆じゃん!」と思った。
そしてカロリー制限ダイエットがリバウンドしやすいからだを作ることや、糖質制限のやり方など実践面での知識を増やし始めた。実践するのはプチ糖質制限でしかないが、それでも趣味として続けることを楽しめるように思う。
●はじめてから2週間の実績
まだやると思い立って本を読み始めてから一ヶ月も立ってない。TBSの番組から今日でちょうど2週間だ。それでも効果は見えていて、いまどうしてもブレイクできなかった体重の壁をいとも簡単に突破し、2006年3月14日につけた値にまで下がった。プチ糖質制限2週間で約2kg減だ!
体重グラフをつけ始めたのは2005年のことでした。あの頃の相場は景気良かったなぁ。それはともかく、体重グラフをつけ始めただけで効果がありました。そのときの最低体重になったのは2006年4月15日で、グラフをつけ始めて以降、7ヶ月で6kg減でした。特に運動も何もしてません。グラフをつけただけです。
しかし2006年4月に底を打ったオレの体重相場は、みるみる値を戻して行った。体重グラフをつけることに慣れてしまい気が緩んだのかもしれない。一度もその底値をつけることなくつけ始めた2005年9月に戻ってしまった。体重グラフも2009年2月末で付けることすらやめてしまった。
それから3年と7ヶ月が経過し、多少の上下動はあるものの高値安定のボックス相場と化したオレの体重…。そこに「糖質制限」というサプライズなツールが登場したわけだ。あれほど落ちなかった体重がこうも簡単に落ちてしまうのか。しかも牛肉、豚肉、鶏肉、チーズ、サラミ、コンビーフなど食べ放題で。
2006年4月につけた直近底値まで後1.2kg減のところまで来た。ほんの2週間で。健康診断というタイトルマッチまではまだ一ヶ月以上もある。これはブレイクするしかないだろう。クスリなど使わなくても出来るんだというところを産業医に見せつけてやるのだ!
糖質制限のメカニズムを知って、特に糖尿病でもないのに安易にクスリで解決しようということの間違いにも気づいた。そもそも食生活によって悪化した体内環境をクスリの力で捻じ曲げて元に戻そうとするのは急激なバブル相場と同じで、体内環境を痛めつけるように思う。それよりはやはり身体の本来持っている機能を活用させることでダイエット効果もあるほうが良いと思うようになった。
以前メタボ云々を指導する産業医に「みんなマスコミに踊らされて…」と口走って怒らせてしまい、「私はマスコミに踊らされていません!そういうならもっと医学書を読んでください」と叱られたことがある。そのときのことが今も脳裏に焼きついている。
その答えが出たような気もしている。クスリ大好き産業医とは異なる流派だとは思うが、私はこの糖質制限という流派が好きだし、実際に効果が見える初めての体験だったし、この流派で戦いたいと思っているところだ。
昼だけ何でも食べるというのは逃げかもしれない。本当は全食事で糖質制限する「スーパー糖質制限」のほうが効果はあるはずだ。でもB級グルメな友人関係もあるし、そもそも10年で8kgなんて言ってるオレなので、そこだけは現状のまま趣味の人体実験をしてみたい。
オレが糖質制限ダイエットについて熱く語ったB級グルメの友人は一応聴く耳を持ってくれたが、その電話の日の夕食に東中野の鉄板麺を食いに行き、うまかったという挑戦的なメールをしてきた(笑)。
仕方がないと思う。こういう反応については、自身も糖質制限で蘇った桐山秀樹さんによる『おやじダイエット部の奇跡』というとても面白くて参考になる書物に出ていた。桐山さんの場合、目に見えて効果が出た後の本人が話し説得しても、ダイエットをやった人もいればやらない人もいた。それは各自の問題だからとやかく言えない。生き方の問題だろう。
ただオレ自身が逆の立場になったと考えてみる。大食いの友人がこんなダイエット始めたぞと言ってきたところで、オレも同調してやろうなどとは思わない。逆にその軟弱さ(笑)をさげすみ、意固地になって食べ続けていたことだろう。そういう意味では自分自身で気づき実践し実感し、いいタイミングで情報を得られたことは幸せだった。
このチャンスを逃す手はない。2010年にキム・ヨナが金メダルを取ってオレが韓国語をはじめたのも、まさにタイミングが合ったということだった。世の中はすべてチャンスとタイミングだ。その流れに乗るかどうか、選択するのは自分自身なのだ。
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