昔々日本には技術のソニーという立派な会社がありました。 #sony
ぎりぎりの理性を保って言えば「反吐が出るような会社」でしょうか。まさかあのソニーがこんな会社に成り下がっていたとは。
「さよなら!僕らのソニー」(立石泰則著、文春新書)は、ライターとして常にソニーを見守ってきた著者による決別の書といえるかもしれません。
ひとくちメモでも何度かソニーのことを書いた書籍を採り上げてきましたが、結局そのたびに失望が大きくなっていたように思います。
それでも若き出井社長が出てきたときには、新しいソニーを印象付けられましたし期待もしました。でもこの新書を読む限り、出井社長誕生のときがターニングポイントだったようです。まるでいまの民主党のようです...。
企業というものは生き物ですから、常に変化していくのは仕方がありません。しかしその変化の方向性が重要でしょう。オリジナリティあふれる独自技術のソニーが失われ、凡百のハードメーカーのひとつになってしまったことも寂しいです。
ただそれだけならあのソニーもただの会社になっちゃったんだぁで終わってました。ここにわざわざ書くこともありません。
●キャリア開発室という闇
ボク自身がもっとも驚愕したのは、ソニーのなかに、あのソニーのなかに、リストラ部屋という非人道的な機能があったことでした。この一点において「反吐が出る会社」に転落しました。
新書の234ページから出てくる「キャリア開発室」がリストラ部屋です。ここまで読み進めてきて「ソニーも普通の会社になっちゃった」と思っていた自分の間違いに気付きました。ソニーは普通を通り越して異常な会社になってしまっていました。
リストラ部屋は名作ドラマ「彼女たちの時代」で椎名桔平が閉じ込められたような人格否定部屋です。間接的な退職強要のための装置であり、いわばナチスのガス室のようなものです。
このような部屋に人を閉じ込めて退職を迫ることが出来るサラリーマンは既に人ではありません。ただの首切りロボットです。ナチスの党員のようなもの、内ゲバで粛清をしてしまう兵士のようなものです。家族にも言えないような仕事ですからきっと言ってないでしょうね。
このキャリア開発室については月刊誌『選択』の3月号がさらに詳細に書いています(P.70 ソニーを蝕む陰湿リストラ -禁じ手の「産業医」まで動員)。リストラ部屋に入れても辞めない人をやめさせるために、産業医に「環境を変えるのが一番ですよ」などと言わせてるそうです。この産業医たちも「悪魔の飽食」における丸太(=人体)実験の医師のように思えてなりません。
こんなおぞましいリストラ技術ばかり話題になってしまう会社がソニーの名を騙っているんです。もうSONYという社名は捨てるべきでしょう。ソニーという会社は既にありません。ソニーを騙る集団がいるだけです。
私は語学のために使うウォークマンを礼賛したりもしてました。そこからアフィリエイトを辿ってウォークマンを買ってくれた方もいらっしゃいます。でも個人的にはもうウォークマンを触るのも気分が悪いです。次のハードを探そうと思っています。
ソニーがただの会社になるだけならまだ良かった。まさかこんな気色の悪い組織に堕していたとは思いませんでした。書いてるだけで本当に反吐が出そうなのでこのあたりでやめます。
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