google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg 原発ジプシーが復刊される!: ひとくちメモ

« ゴガクル皆勤賞揃い踏み | トップページ | "김연아처럼"을 읽다 (1) »

2011/05/07

原発ジプシーが復刊される!

個人的に浜岡原発の運転停止ニュースよりも驚いたのが、『原発ジプシー 新装改訂版』(堀江邦夫著・現代書館刊)が今月発売されること。3・11以前には考えられない快挙といえる。5・25発売とのこと。予約しよう。

今年の連休はルポライター鎌田慧さんの『原発暴走列島』(アストラ刊)を読んでいた。鎌田さんのルポは何冊も読んでいるけれど、原発本を読むのは恥ずかしながらはじめてだ。

“金子力発電”といわれる原発。日本にあるすべての原発建設地域を歩いてきた鎌田慧さんが、1977年から2009年までに出版された原発関連の記事を改稿され、今回の福島原発におけるレベル7の事故をうけて若干の加筆をされた本で、30年以上にわたる原発の問題点をコンパクトに読めた。

今回の大事故によってこれまで隠蔽されていた情報や実態が市民の知りたい欲求に後押しされて続々出てくるだろう。その一端に、こうして地道に警鐘を鳴らされてきた筆者の仕事が再度注目される。原発ジプシーの復刊もいまでなければありえない。

●無限の利権装置としての原発

なぜありえなかったかといえば、反原発は巨大権力からあらゆる圧力を受けてきたからだ。御用マスコミも御用芸能人も御用学者も、原発推進に加担すればそちらにカネが流れる仕組みを中曽根が創り出し、連綿と受け継いできたのだろう。最終処分場すら決まらない、いつまで経っても終わらない無限の利権を生み出せる夢の装置こそ原発だったように思う。そして利権だけが吸い上げられ、あとにはぺんぺん草も生えない。

だが原発推進派は推進派で被害者面していた。旧動燃が作っていた原発推進アニメ「プルト君」は、プルトニウムは飲んでも大丈夫といいながら、原発推進派のほうが脅しの道具にされていると訴えていた。

とりあえず、プルト君の主張も聞いてみよう。4分後くらいからはじまる「第二の誤解」あたりからに注目。7分半あたりにはプルトニウムを飲んでる子どもも登場する。

頼れる仲間プルト君

かわいいプルト君が「脅しの道具」なんていう言葉を吐くだけで、あまりにも不自然な広報だとわかる。プルト君は「皆さん、ボクはお化けではありません。ボクの本当の姿をよく見てください」とも言っているが、まさにいま、お化けでなく現実の脅威となってしまった。

鎌田慧さんの1976年の取材のとき、すでに「事故の隠蔽、労働者の被曝、障がい児の出産、原発周辺の汚染など、炉心溶融事故に至るまで、福島第一原発は、あらゆる矛盾を隠して操業し続けてきた。」とある。35年経っても東電は変わらないし、福島第一原発の事故が人災であることがよくわかる。復刊される「原発ジプシー」はそのなかの労働者の報告といえる。

「事故が起こってからでは遅い」という絶望的な思いを鎌田さんや反原発活動をされてきた人は思われているかもしれないが、しかしまだ世界は破滅していない。破滅させようとした組織もまだ延命を画策しているし、それに乗っからなければ生きられないと思わせられている市民もたくさんいる。まだ遅くない。

原発から利権をとったら不可避のリスクしか残らない。カネで自治体をシャブ漬けにし、事故は出来る限り隠し、労働者の被曝を前提にして運営し、周辺住民は何も知らされずに、花まるマーケットなんて平和そうな番組を楽しむわけだ。

ウルトラリスク・ハイリターンの賭けのリターンだけ懐に入れ、ウルトラリスクは地域住民にカネで引き受けさせようとした人々がいる。そしてカネが切れそうになると原発誘致させ、また適当にカネを注入してやる。まさに麻薬だ。これを永遠に繰り返そうという魂胆だ。オール電化住宅の住人などもその片棒を担がされていたわけだ。

日本が疲弊すれば、わずかなカネで転ぶ自治体はいくらでも出てくる。ウルトラリスクをまた差別的に引き受けさせる人々がまだ延命してしまうのか。政治もそれに加担するのか(いや主犯か?)。

日本という国家が再生できるかどうか。正念場ではある。ただスローガン的な「がんばろう日本」の受け取り方にも絶望的にベクトルが違う人々がいて、彼らにがんばって延命されては意味が無い。ご退場願う人々が巨大権力を持っている限り再生は出来ない。

| |

« ゴガクル皆勤賞揃い踏み | トップページ | "김연아처럼"을 읽다 (1) »

コメント

お初ですぅ

堀江さんが出版した「原発ジプシー」が今回の福島第一原発爆発事故をキッカケに、復刊又は再復刊することを訊いて驚きました。
昨日、地元の図書館へ行ったら、「原発ジプシー」と云う本があったので、中身を拝見しました。
福島原発も含まれてたので、東電社員と下請け会社の待遇と差別も明らかに書いてたので、やはり東電は全部嘘ばかりでしたね。
下請け会社の中にはせっかく稼いだ金を暴力団にピンはねされたり、待遇差別されて理と悲しい現実もあったんですね。
この本を、現在問わず元の東電関係者や政府・政治家・官僚どもに読ませたいですね。

投稿: えみり | 2011/05/18 04:33

えみりさん、コメントありがとうございました。

東電関係者は読んでるはずですよ。彼らは原発には無知でも原発反対派の研究には余念が無いですから...。

東電は最後まで本当のことを隠し通す覚悟でしょう。いや覚悟というとかっこよすぎるな。誰もが思考停止してしまって罪に問われないよう保身に走る傾向が強まると思います。もちろんこの最後とは日本国の最後までという意味です。

(はじめから人災で)制御不能の原発事故が今回発表された復旧工程表の最終期限に放り出されないことを祈るばかりです。復旧工程表が破滅へのカウントダウンだったら悔しすぎる...。

地震からは立ち直れても、人災によっていまこの瞬間もダダ漏れの放射性物質からは逃れられない日本では、これからが修羅場ですね。国土が蝕まれてどうやって生きていくか、どうやって彼らを断罪するか、そのための知識を蓄えなければと思ってます。

投稿: ポップンポール | 2011/05/20 01:14

原発ジプシーが届きました。取り急ぎオビだけ引用しておきます。一人でも多くの日本人に原発を理解するうえでの参考図書としていただければと思います。

斎藤美奈子氏
三〇年前、私はこの本で、
原発労働者の実態を知った。
人命を危機にさらさなければ
維持できない「先端技術」。
これ以上「野蛮な技術」が
あるだろうか。
福島第一原発で
復旧にあたる作業員の
原点ともいえる姿がここにある。

森達也氏
きっとあなたは絶句する。
原発下請け労働者の視点から
描写される放射能管理の実態に。
言葉にすれば杜撰と欺瞞、
隠蔽に差別、そして無知と驕り。
こうしてこの国の
最先端技術は支えられ、
安全神話が唱えられてきた。

投稿: ポップンポール | 2011/05/27 08:04

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 原発ジプシーが復刊される!:

« ゴガクル皆勤賞揃い踏み | トップページ | "김연아처럼"을 읽다 (1) »