google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg エクリチュールをめぐる知的探訪の新書「ハングルの誕生」: ひとくちメモ

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2010/06/06

エクリチュールをめぐる知的探訪の新書「ハングルの誕生」

書店で平積みになっていた「ハングルの誕生」(平凡社新書)を購入した。まだ第一章と索引や参考文献を読んだだけだが、これはできるだけ早めに紹介したいと思ってご紹介。2010年5月14日初版発行の新書だ。

オビには「奇跡の<文字>、その秘密に迫る。 한글의 탄생」とある。最後のハングル文字は“ハングル(한글)の(의)誕生(탄생)”と書かれている。語順も助詞もそのまま日本語と同じだってことが、まさに日本語母語話者の私にとって韓国語の面白いところだった。ハングルの読みだけならほとんどの日本人が一週間以内に習得できると思う。そのうえで「한글의 탄생」という文字を読めるとほんのり楽しいはず()。

また副題には“音から文字を創る”とあり、わざわざ「音」に「おん」とルビが振ってある。音という文字と読み方へのこだわりが感じられるだけでなく、日本語における音訓読みへの示唆も端的に表されている、と考えるのは深読みだろうか。

私がハングル文字や韓国語に俄然興味を持ったのはキムヨナの自伝が読みたいからだったが、実際に韓国語学習を始めて三ヶ月、敬語が出てきたりして徐々に難しくなっているものの、日々日本語との親和性やそのシステマチックなハングルの魅力にはまってきている。学校英語に打ちのめされ苦労しっぱなしで外国語嫌悪だったのに(笑)。

韓国語をはじめて3週間目に千野栄一先生の「外国語上達法」を紹介した。最初の半年はがむしゃらにやれとのことだったが、すでにその半分が過ぎてしまった。がむしゃらだったかと振り返ればまったくのダメ学習者ではあるが、それでも時間を見つけてはハングルに触れるようにしている。先日のIRISイベントでもイビョンホンが「イーシビル(이십일)」と言ったときに「二十日」とわかってうれしいとか(笑)、そんなレベルだ。

ただ不満だったのはハングルの文化的・歴史的背景や逸話のような裏話を読める本が非常に少ないことだった。千野先生の本でいえば「レアリア」にあたる部分だ。

同じアジア圏でも中国に比べると圧倒的に少ない。韓流ブームやK-POPブームで最新韓国エンタメ事情はたくさん入手できるし、最新ソウル観光情報もあふれている。しかし朝鮮文学とかハングルそのものへの興味を満たす日本語の書籍はとにかく少ない。

歴史を語れば常に不幸な歴史か反韓系のトンデモ書籍ばかり。「もっと、こう、読んでて楽しい教養情報バラエティ風な本はないものかね?」と思っていた。それも子どもの絵本のようなイラストばかりの本じゃなく、それなりの読み物(まさに新書や選書レベルの)が欲しかった。

これまでは『ハングルの歴史』(白水社)という専門書だけが唯一の入手しやすい書籍だった。MOOKでは「韓国語ジャーナル」(アルク)くらいか。たった三ヶ月ではあるが、このふたつを読んでいたわけだ。あと韓国語文法書の名著「韓国語文法辞典」(三修社)をテキストの横においてたまに見るという感じ。

そんななか、新書で野間秀樹先生の「ハングルの誕生」が発行されたことは、個人的なタイミングとしてもちょうどよかった。学習開始後三ヶ月なんて中だるみの時期だし(笑)。

「レアリア」という意味とは異なるかもしれないが、ハングルという特殊な歴史を持つ文字の魅力を徹底的に探る試みが日本語母語話者と思われる言語学者によって書かれたことが快挙だと思う。文字を持たないチアチア語の少数民族が昨年ハングル文字を採用した時事ネタもしっかり入っていて新鮮。音声をシステマチックに文字にできるハングルらしい特性を伝えるニュースだった。

そもそも「文字を創る」という試みそのものが語学学習を超えて非常に興味深い。この新書には年表も付いていて、それによると1446年に『訓民正音』が公けにされたとある。それからたった560年ほどしか経っていない。この偉業の成立過程そのものがドキュメンタリー的な面白さを持っているように思う。

つらつら書いてきたが、まだ一章しか読んでないのであまりすばらしさは伝わらなかったと思うけど、年表にしろ索引にしろ、通常の新書とはあきらかに異なる力の入り方が伝わってくる。索引に柄谷行人の名前などを見つけただけでもワクワクしたし。エクリチュールって言うだけでカッコいいし(笑)。知的探訪にオススメの一冊です!

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コメント

他にもいくつか並行して読んでいるのでまだ第二章までだけど面白い。

子音文字(アルファベット)から子音母音文字=全面的単音文字(フル・アルファベット)へというシステム完成のくだりは爽快!

---引用---
西方からやって来たアルファベット・システムの、一千年以上も朧であった母音の空隙を、母音字母という鮮明なゲシュタルトで満たすのである。(中略)史上空前の全面的単音文字(フル・アルファベット)システムとして完成する。
---引用---

これってバーコードがQRコードに進化する過程に似てる。

投稿: ポップンポール | 2010/06/09 07:41

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