文治さん!「八日目の蝉」最終回
「待ってください。もう少し待って!その子まだ、朝ごはん食べてないの」
希和子(檀れい)が警察官につかまれながら薫との別れ際に放った最後の言葉です。ドラマ「八日目の蝉」がとうとう最終回を迎えました。思えば薫はいつも「お腹すいた」と言ってる子どもでしたねぇ。
大人になった薫(北乃きい)が小豆島を訪れ、そこで文治さん(岸谷五朗)と再会して、文治さんから聞いた希和子の最後の言葉。希和子と引き離されたときの映像だけが心の奥に残っていた薫にとって、その映像と言葉がようやく一致した瞬間でした。
逮捕される瞬間、自分のことより薫の日常を最後まで心配した母としての希和子。「からっぽのガランドウ」と罵られた日から始まった希和子の逃避行は薫の朝ごはんの心配で終焉を迎えました。からっぽなんかじゃなかった。希和子の中には母性が薫っていました。
薫ははっきりとその瞬間を思い出し、「お母さん、お母さん」と号泣します。このときの「お母さん」とは希和子のことだったのでしょうか?そうとも言えるし違うともいえそうです。私にはそれが母性そのものへの叫びだったようにも思えます。薫が宿した赤ん坊の声だったのかもしれません。そして薫は子どもを生む決意をし、実の母の了解を得ようと前向きになるのです。あらゆる困難を超えて生かそうとする母性の萌芽を見ました。
それにしても薫が文治さんと出会えたのは良かった。フェリーで去ってゆく薫に文治さんが叫んだ「がんばりやぁー!」は涙なくして見れませんでしたねぇ()。文治さんという近しい第三者を思い出すことが出来、出会えたことが、未婚の母として生きる決意をした薫にとっては心強かったのではないでしょうか。自分を応援してくれる人がここにいるという事実は大きな支えになると思えるのです。
フェリーに乗った薫は無意識に島の言葉で話し始めます。ここで方言ってのはいい演出だったなぁ。過去と現在がようやくつながった薫はきっと困難を乗り越えて生きていけるんじゃないでしょうか。
出所した希和子はフェリーのりばの岡山県側で売店の売り子をしています。いつか島の人に出会うこともあるんじゃないかな。そのとき薫を知っている文治さんの存在がきっと大きいはず。
希和子も岡山港で薫の存在に気付き追いかけました。薫が振り返ったとき、希和子を認識できたかどうだったのかは曖昧なままです。しかしそのうちマロンちゃん(高橋真唯)がこの親子のルポを出版するでしょうし、二人が再会する日がくるかも知れません。
エンゼルさんの家のスタディで「一番欲しいものは?」との問いに希和子は「未来が欲しい」と応えていました。望んだ未来とは違っても、その未来まであと一歩のところに希和子も立っています。いつか文治さんと再会して新しい生活を始めてほしい。
ドラマはもう終わってしまったわけですが、この先のパラレルワールドをいくつも夢想してしまいます()。ドラマが終わっても夢想し続ける私はまるで八日目の蝉のようなものかも!?続編が頭の中で始まってます。
●これまでの「八日目の蝉」関連記事
2010/04/14:ドラマ「八日目の蝉」
2010/04/24:最終回を待てず小説「八日目の蝉」購入
2010/04/27:「八日目の蝉」第5話視聴直後のドキドキ感のまま書いてみる
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コメント
初めまして田村と申します。
突然の訪問者です。久しぶりに心して
観たドラマ。続編があれば・・・と
思っていたのですが、それは私たちが
温かな視線で心描くのが、最良なのでしょうか?
小さなピリオドを見つけました。
素敵なブログを見させて頂き、ありがとう
ございました。
重ねて、突然失礼しました。
田村夕美子
投稿: 田村夕美子 | 2010/05/14 23:12
田村夕美子さん、ごめんなさい!!
こんな素敵なコメントいただいていたのに、ココログのスパムチェックにひっかっかっていて今日までアップされていませんでした。調べたところ昔スパムの多かったあるキーワードをブロックしていたことが分かりました。大変失礼いたしました。
> 小さなピリオドを見つけました。
続編は望めなさそうですが、ここでひとつのピリオドを打って、それぞれの続編を思い描ければ、それはきっとすばらしいドラマになると思います!そんな風に心に残るドラマって貴重ですよねぇ。
投稿: ポップンポール | 2010/06/05 21:57