google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg ザ・スター!欽ちゃん芸能生活50周年: ひとくちメモ

« キムヨナへの道 序章 | トップページ | 大仏開眼で石原さとみにも開眼 »

2010/04/03

ザ・スター!欽ちゃん芸能生活50周年

昨日たまたまNHK BS-hiにチャンネルを合わせたら、萩本欽一の特集番組をやっていた。先行放送された番組「ザ・スター」の第一回放送だった。本放送は本日BS2で。思わぬ拾い物で本放送の録画予約をした。先日もテレビ東京で欽ちゃんと伊東四郎とのビッグ対談番組をたまたま観た。そっちも録画したかったなぁ。芸能生活50周年!半世紀だよ。

個人的には“たまたまテレビで欽ちゃんを観た”というこの引きの強さが自慢だ テレビをザッピングしていれば常に誰かが何かしている番組にたまたま遭遇してしまうものだが、萩本欽一の運命論に強い関心のある私には、たまたま欽ちゃんだったことがうれしい。

ザ・スターで得られた共演者からのいくつもの証言は、欽ちゃんの運命論研究を補強するうえで重要だった。欽どこ見栄晴(藤本正則)の最終オーディションのジャンケンや大道具さんを悩ませた朝令暮改な“気まぐれ”他、論理を排したメタ論理の運命論の数々。そのまさにテレビの申し子ともいえる運命論の引力に引き寄せられた人々が語る萩本“大将”欽一像。

テレビは魑魅魍魎の世界だ。洞察力と判断力が秒単位で試されている。過酷な競争社会の現場(ミクロな世界)の満足とカメラの向こうにある視聴者(マクロな世界)の満足とを同時に成立させないと成功しない。テレビ界に君臨していた当時の萩本欽一という人は、冷徹な意志と人懐こさを両輪にテレビの波を常につかんでいた。そもそも相容れない両輪を動かす原動力、時々刻々と示現する矛盾を乗り越える武器、それが欽ちゃんの運命論だったように思う。

昨日考えて決めたことは昨日のことであり、今日の本番ではいまこの瞬間の感性だけを信じる。だから昨日いいと思っても今日ちょっとでもいやな印象を持てば変更させる。結婚が決まったスタッフを番組から外させる。徹夜で過酷な現場のなかにひとりだけ幸せな人間がいると良くないという理由で。

欽ちゃんの運命論は願掛けとかそういうレベルではなく、徹頭徹尾瞬間風速的な判断の連続だったのではないか。矛盾や論理なんてハナから問題視しない。その場の感性だけでビジョンを描く建築家のようなものだ。極端に言えば欽ちゃん教の教祖だ。それをカタチにしたり布教できるスタッフがそろっていたともいえる。

振り回されるスタッフや共演者は大変だっただろう。普通ならソッポを向かれてもおかしくない。しかし数字を持っている強さや付き合ったらとことん面倒見る度量の大きさを併せ持つ萩本欽一の番組づくり。全部飲み込めた人間だけが残ったのかもしれない。

そんな運命論はテレビという特殊な世界だったからこそ威力を発揮したのではないか。そういう意味ではテレビは魔法の箱だと思う。欽ちゃんは「ザ・スター」のなかで、大きな野球場のベンチに座って「結局残ったのはマイクだけだったねぇ」とシミジミ語った。テレビスタジオという小さな世界の覇者が現実社会に向けて語った言葉だったと思う。

だが萩本欽一の運命論は魅力的だ。論理ではどうしようもない瞬間が多い。それをなんとか論理で解決しようとすれば哲学者にでもなるしかないだろう。その究極がヴィトゲンシュタインだと私は思う。真逆に見える両者だが、例えばヴィトゲンシュタインの「反哲学的断章(新装版)」の訳者あとがき(1981年)で、「ヴィトゲンシュタイン」を「萩本欽一」に置き換えても通じるくらい両者は似ている。

私がどちらにも惹かれるのはなぜなんだろう。矛盾を矛盾のまま乗り越えようとする姿勢、そして言葉。生きずらい世の中を生きる武器として論理から解き放たれた言葉の羅列。そこに新しい意味や価値を付加できる人間力。あえていえばそんなところか。

一方でこんな思いもある。パーソナルなつながりであるテレビスタジオや劇団とマスメディアの化け物としてのテレビと、どちらにも通用した運命論だが、その中間にある現実社会を動かすにはやはり論理が必要だ。

政治や経済に論理がなくなったらモラルハザードだけが残る。運命論(言い換えればエゴイズム)は矛盾を拡散してゆく。核を発電と爆弾とのどちらに使うか。そこに運命論を持ち込むことは出来ない。運命論の使いどころを間違わないくらいには論理的である必要がある。そこが難しい。

| |

« キムヨナへの道 序章 | トップページ | 大仏開眼で石原さとみにも開眼 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ザ・スター!欽ちゃん芸能生活50周年:

« キムヨナへの道 序章 | トップページ | 大仏開眼で石原さとみにも開眼 »