google-site-verification=o_3FHJq5VZFg5z2av0CltyPU__BSpMstXTEV1P8dafg 森も海もアイドル!: ひとくちメモ

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2009/05/02

森も海もアイドル!

ちょうど昨年のゴールデンウイークに私は旅する巨人宮本常一関連本をいくつか読んでいた。宮本常一は同郷人かつ民俗学の巨人であり、その圧倒的なフィールドワークと語り部としての才能に惚れた。私はどんな業界でも現場が好きだ。そして現場の言葉で語れるヒトがいると俄然興味が湧く。

「森は海の恋人」という運動がある。三陸の牡蠣士(牡蠣養殖の名人)である畠山重篤さんらが21年前にはじめた「牡蠣の森を慕う会」のキャッチフレーズとして有名だ。

海を豊かに保つには豊かな森が不可欠だと、漁民たちが山に広葉樹を植え始めたのがきっかけ。科学的にもこの運動の意義は証明されており、毎年植林の時期には山に大漁旗が翻る。今年6月にはNPO法人「森は海の恋人」が設立され、環境意識の高まる現代において、ますます運動への期待は高まる。

畠山重篤さんの著書「森は海の恋人」と「リアスの海辺から」は一気に読み終えた。この著書を評する方はみなさん文章力を評価されている。本当に読みやすく、章立ての運びもうまく、読み進むにつれて惹き込まれる。

「リアスの海辺から」のあとがきで「漁民の物書きは少ない」と文藝春秋の編集者に言われ、カチンときて「年中仕事に追われそんなことをしている暇はない」と反論されたことを書かれている畠山さんだが、この文章力は漁民の段取り力の成果ではないかと思う。

自然を相手にしっかり準備をして臨機応変に対応する現場力と観察眼。生まれたときから漁民として生きてきた畠山さんには、豊かな海のごとく書く材料が豊富にあった。それを段取りよく描き出されている。海の幸が育っていくのを楽しみながら生活してきたリズムと徐々に高まる高揚感の記憶が文章に表れているかのようだ。

●民俗学から現場の発信力の時代へ

畠山さんも佐野眞一著「旅する巨人宮本常一」(>文庫化されたぜ!)と宮本常一著「忘れられた日本人」を読まれていたと知りうれしくなった。そして「忘れられた日本人」に心を動かされなかった理由が「(こんな話は)近所にいくらでもころがっていたから」というのでさらにうれしくなった。

民俗学の限界はあくまで旅人目線なのだ。村に溶け込んで一緒に生活しても、やはりそれは“フィールドワーク”を超えられない。

もちろん誰もが様々な土地や環境で同時には生きられないため、その生活を客観的に記録し民俗のルーツを探り残していく民俗学の意義は大きい。それはそれとして、私にはその民俗学が対象としてきた現場の人々のなかから、自分の言葉で語ってくれる畠山重篤さんのような才能が現われ、地球環境へアピールする仕事をされていることがうれしかったのだ。海と森とがつながったように、民俗学の客観と主観とがつながった瞬間だった。

「森は海の恋人」は、海にとって広葉樹の森がいかに大切かを知って居ても立ってもいられなくなり、広葉樹林を作ろうと立ち上がった漁民の思いに満ちている。「リアスの海辺から」では、三陸で初めて帆立貝の養殖に成功した畠山重篤青年の行動力と、そんな帆立貝に導かれるようにスペインはガリシア地方へ息子たちを連れてアポなし取材(笑)を敢行し、本場リアス式海岸の豊かさが都市と共存している姿を報告してくれる。

●山も川も海も人も鉄もつながっている

「森は海の恋人」とは、まさに自然の循環が地球を豊かにし、人々の生活を潤す源であることをしめしている。古来日本には豊かな広葉樹林があって、それが川伝いに海を豊かにしていた。その接点がいわゆる汽水域だ。

広葉樹の森がなければ汽水域が荒れ魚も寄り付かなくなり海が荒れる。都会人には「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話かもしれない。かつては漁民の使う様々な道具類(船や竿や籠など)は山の木だったり、船が目印にするのも山の頂だったり、いろんな意味で山と海とは密接につながっていた。

だが経済優先の近現代社会は、成長の遅い広葉樹林を取り除き針葉樹林の人工林が範囲を広げ、ダムやら道路やらゴルフ場やらで山の風景は一変した。その結果、スギ花粉に悩みながら税金の無駄遣いでおかしなことになっていたりする。だがそんな山の悪影響が確実に海にまで響いている。そしていったん破壊された自然の再生には膨大な時間がかかる。

ガリシア地方のリアス式海岸(google Map)畠山重篤さんはリアス式海岸の「リアス」がスペイン語であることに興味を持ち、三陸リアスの漁民としてスペインへと赴く。そこで「森は海のおふくろ」と現地の漁民が言っているのを聞き、またまた確信を得るのであった。川が流れ込んでくる湾でなければリアスではない。その川の上流には、豊かな森が広がっているのだ。

「森は海の恋人」運動はそんな現実への疑問から導き出されたひとつの答えだ。守るべき自然の姿は広葉樹林と汽水域の充実にある。非常に明快な話だ。

さらに最近の畠山重篤さんは「鉄」にこだわっている。海には鉄が不足しているという。これまた桶屋のような話だが、森が海に供給しているのは鉄分であり、植物プランクトンにはなくてはならない存在が鉄らしいのだ。森、海、鉄の三角関係(?)こそが地球を救う切り札とおっしゃっている。興味深い話で、これから読み始めるところだ。

なにはともあれ、山の民と海の民とが共存共栄していくことが島国日本を豊かにする。では都会の民はどうすればいい?

私はフィールド録音で森や川や海に出かける。まさにアイドルの追っかけのように(笑)。そんな森も川も海も美しくしておきたいし、できることなら豊かな森や川や海に育って欲しいと願う。そして美味しい海の幸山の幸を届けて欲しい。腹は海のパトロン!そう唱えながら今日もまたネット通販で海の幸が届くのを待っているのであった...。まだかなぁ。

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コメント

宮城県 水山養殖場(代表 畠山重篤、牡蠣の森を慕う会)と申します。代表、代表著書に関してコメントいただき誠にありがとうございます。このたび畠山重篤エッセイブログの掲載を開始いたしましたのでご案内いたします。ご覧いただければ幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。(水山養殖場WebStore HP管理者)

投稿: 宮城県 水山養殖場 | 2010/07/08 15:43

宮城県 水山養殖場様、コメントありがとうございました。畠山重篤さんの著書は本当に面白く興味深かったです。ブログも周回軌道とあわせて読ませていただきます!

エッセイブログにも掲載のあったBSご出演情報も超タイムリーです!タイムスケジュール転載します。録画しよう!
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地球ドキュメント ミッション「東京に海水浴場を取り戻す」

7/7「BShi」午前8:00~、7/9「BS2」15:00~、7/11「BShi」21:00~
7/12「BS2」23:00~
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投稿: ポップンポール | 2010/07/09 07:33

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