キアロスタミ監督特集を見逃すな!
自分に言い聞かせているわけだが。見逃すな!来週木曜(3月26日)のシネフィル・イマジカで「アッバス・キアロスタミ監督特集1」が放映される。いま日本でキアロスタミ監督作品DVDを買おうと思ってもなかなか大変だ。
アマゾンでもコレクターズアイテムな値段がついている。今回特集で放映される全作品をDVDで集めると10万円はかかる。特集1ってことは来月特集2もあるわけだ。さすがシネフィル・イマジカだ!
キアロスタミ作品がこんなに流通しないのは、イラン映画だからだろうか。1997年にはカンヌでパルムドールを獲得した監督だぞ。さらにヴェネチア映画祭では北野武監督に続き、2008年第二回監督ばんざい賞も受賞しているのだ。
ま、たけし映画もあまり売れないわけだが...。それにしても初期作品DVDが1本5万円とか、ちょっとおかしい。この何でも手に入りそうな日本で。
イランは人類の文明発祥の地(メソポタミヤ文明)のひとつであり、文化と伝統のある超大国だ。親日的でもあった。日本プロ野球で大活躍中のダルビッシュだって半分イラン人だ。普通にイランに旅行にいければどんなにいいだろうと思う(行けなくはないけどね)。いい温泉があるらしいぞ
そんな親日的だったイランを邪険にして、歴史上ポッと出のアメリカなんぞに現(うつつ)を抜かす現代ニッポン。アメリカなんてたちの悪い愛人みたいなものだ。どん底にいた日本男児を綺麗な衣装(民主主義とか)で気を引いて働かせ、今ではふたことめにはカネカネカネ。カネばっかりせびるどうしようもないアバズレ愛人国家だ。日本がイランから目を背けるよう仕向けるのに必死なのだ。目を覚ませニッポン!
そんな思いもしばし忘れて、キアロスタミ監督作品を楽しもう。キアロスタミ監督のキャリアからして、初期の作品には子どもの出てくる映画が多い。「トラベラー」(1974年)などは、いわばイランのあばれはっちゃく映画だ(違うか...)。「ホームワーク」(1989年)はドキュメンタリーでイランの教育問題を扱う。そして国際的な評価を決定的にした「友だちのうちはどこ?」(1987年)。子どもながらの優しさとか悩みとか焦りとか、子どもの純粋な行動は万国共通なのだ。
現代社会はキアロスタミ監督作品で描かれるこういう子どもたちの頭上にも大人の理屈で爆弾が落とされる。そして反目しあい、イランと聞いただけで嫌悪する日本人を作り出してしまう。哀れなことだ。
●シネフィル・イマジカも絶賛しとく
さて、シネフィル・イマジカについても絶賛しておきたい。非アメリカ映画を多く見せてくれるチャンネルだ。アメリカ映画もあるけどさ。この前マット・ディロンほかヤングアダルト(懐かしい響き!)総動員映画「アウトサイダー」(1983年)をやってた。
いやー、いいなぁ。アメリカの悪童映画も。純粋だなぁ。あの当時アウトサイダーのポスターを模写してましたよボクは。ラルフ・マッチオもトーマス・ハウエルもいい。トム・クルーズがちょい役で出ててビックリした(笑)。最近CMでもおなじみのスティービー・ワンダー「ステイ・ゴールド」もいい味出してる名曲だったなぁ。
アウトサイダーのストーリーって今ではほとんど連続ドラマで出来るんだけど、その素朴なストレートさが逆にいいね。最近のデートムービーってのはギミックに懲りすぎ。まぁ劇場映画として大資本が動いているわけだから仕方ない面もあるけれど。
非アメリカ映画には、かつてアメリカ映画も持っていたテーマの掘り下げと直球勝負な人間ドラマが残ってる。そういう映画を観たいやね。テレビサイズよりちょっと映画的なホームシアターでさ。シネフィル・イマジカはそういうニーズにマッチしまくり!毎日が単館上映って感じよ。毎月送ってもらってる番組表も楽しみでさ。
2月に特集されてたポーランドの巨匠、クシシュトフ・キェシロフスキ監督のドラマ「デカローグ」も全部録画させていただきましたよ。第一話のあの子ども!かわいくて哀しいよぉ...。正直、こういう作品がテレビで観られるなんて思ってなかった。やっぱ日本っていい国だなぁ。アメリカのおかげかなぁ。アメリカがチェンジするといいんだけどなぁ。みーんなお友だち。みたいな。
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