オバマ宣誓やり直しを見習えニッポン!
オバマ大統領の宣誓が再び行なわれたそうだ。大観衆のなかでの宣誓で、オバマ新大統領が途中つっかえたように見えた場面があった。朝のワイドショーなんかは「さすがの新大統領も緊張で...」みたいなコメントばっかりだったが、あの場面の真相は違ったわけだ。
ロバーツ最高裁長官の言ったことをそのまま復唱しなければならないのだが、ロバーツ長官が語順を間違えた。オバマは正しい語順を知っていたため、本当にそれでいいのかという逡巡が、あのつっかかりだったようだ。
このとき「正しい語順で宣誓する」と「最高裁長官の文言を復唱する」とがコンフリクトを起こしたわけだ。そしてオバマは手続きとして後者を優先させた。こういうちょっとした判断にも気を使う必要があるんだな。
この場合、どちらを選択してもやり直しになる可能性はあった。だが正しい語順に直して宣誓したのでは、観衆の面前で最高裁長官の仕事を否定したと受け取られる可能性もあるだろう。禍根を残すかもしれない。さらに「復唱する」というルールからも逸脱しているからやり直す必要性がある。
「復唱する」ルールを選べば、その場は収まる。もちろんこの場合でも語順の正しさは訂正する必要があり、今回やり直しの運びとなった。いずれにしろやり直しリスクがあるなら、あの場では「復唱する」というルールを通しておいて正解だったと思う。長官の仕事を尊重しつつセレモニーを成立させた。
アメリカンSFドラマの金字塔「新スタートレックTNG」でもこういう場面はたまにあったように思う。部下の失敗を衆人の前で叱り飛ばしたり、これ見よがしに訂正したりしない。アメリカン帝王学とでもいうのであろうか。そういう訓練を積んでいれば、自然とそういう選択ができるようになるのかもしれない。
偉そうなおのれを誇示するだけの日本のホワイトカラーや政治家とは意識が異なるようだ。衆人の前だからこそ大声で訂正して自分のすばらしさを宣伝したりする(ただしその自己顕示欲の部分だけが衆人に見抜かれてたりもする)。そういう人かどうかがこういうとっさの判断で出てしまうんだな。
間違いがあった箇所も面白い。「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し」という文言の語順だとか。まさに「復唱する」ことこそ職務の忠実な遂行だったわけだ。大統領も最高裁長官も職務に忠実に仕事をし、たまたま長官が間違えていたということだ。
仕事をした結果が間違っていたときには、間違えた最高裁長官やスタッフが手続きの不備をどう埋め合わせるべきか考えればいい。それも仕事だ。実際やり直しは過去に2回あったらしい。44回のうち2回も?という疑問はさておき。
たった1語の語順の間違い。些細だが重要なやり直しだったと思う。この宣誓がルールどおりでなければ、法的に大統領と認めないなんて輩が出てくるリスクが残る。そこは訴訟社会らしいが、日米の政治に言葉を重要視する姿勢の違いを感じる。
漢字を読み間違えている場合ではないし、そこばかりが話題で本当に重要な放言・失言・暴言がまったく追及されないメディアの貧困はチェンジしないのだろうか?言葉の軽い政治家が霞ヶ関文学を読みこなせるはずがないとも思うが。従米路線じゃなくていいが、オバマに置き去りにされないようにしないと、ニコニコ付き合ってくれる相手じゃないぞ。
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コメント
あの
僕も結婚式の時の誓詞を読み違えたんですけど。
もう一度やり直していいですか?
誓詞だけじゃなくて、全部……
投稿: ピーちゃんの身元引受人 | 2009/01/23 07:36
それって例えばこういうことですよね。新車を買ったときの契約書の不備が30年くらい乗り回したあとに見つかったから、別の新車に取り替えてくれ、みたいな!
それって566や893なら使うかも知れないけど、時間は取り戻せないですからねぇ。オバマが4年後に「最初の宣誓間違ってたから最初からやり直す」っつって選挙せずに続けようとしたら麻生になっちゃいますからねぇ。
でも宣誓だけをやり直すのはいいアイデア。正しい宣誓をあらめていまの奥さんにしてあげれば。もしかするとやり直したいこれまでの思い出がオセロゲームのようにひっくり返っていい思い出に変わるかも。
投稿: ポップンポール | 2009/01/24 08:11