来年はFXのサヤ取りブーム到来か?
外為法が改正され日本で個人FXが始まって10年になります。それはアジア通貨危機から始まり、金融デリバティブバブル崩壊までの10年でした。米ドル円は147円台から90円台へと乱高下しつつも円高傾向にありました。
直近では2007年3月の中国株急落あたりから天井圏の乱高下が始まり、サブプライムローン問題の露呈、それに伴う信用収縮、原油バブルとその崩壊、実体経済への波及、リーマンショック...。今朝の新聞を読むと、日本の株式市場で失われた富は196兆円だとか。
2009年はこのベア傾向が示現して2年目。ざっくりとした話ですが、まだまだ危機が露呈していないデリバティブ商品もあるようですし、疑心暗鬼は続きそうです。実需の冷え込みが底打ちしないと、なかなか投機も大きくは動きずらい。投機が動かないと実態経済も上向かない。
卵が先か鶏が先かわかりませんが、しかし市場がある限り何らかの動きが出て来るのが経済活動というもの。あまり大胆な行動をせず小さな玉で我慢の年になりそうです。
小さな玉で我慢の年にはサヤ取りが有効かと。エンジュクからもそんなセミナーのメールが毎日来てます。本当に有利なサヤポジションは急落時に作るものです。ブルトレンドのときは片張りで、ベアトレンドのときはサヤ取りというのが理想的。
上げ100日下げ3日といわれるように下げトレンドは急激なので、そこで作った売りポジションを決済せず売りの評価益を温存できる有利なサヤポジションに移行させて次のブルトレンドまでゆっくり育てる。もちろんそのためには、日々通貨ペア間のサヤデータを取り準備しておくことが必須です。
とはいえ、いまはパソコンがあるので急ごしらえのサヤチャートも作れます。資金はそれなりに必要なので片張りしかやったことがない人には非効率に見えるかもしれませんが、小さい資金で底が見えない時期を乗り切るなら安全策という考え方もできるのではないかと。
●偏屈な私の変則サヤポジション構築法
私はFXを始めたときからサヤ場帳をつけて来ました。FXの書籍なんてない時代でしたから商品先物の良書で相場を学びました。FXにもそのまま使える方法論と修正が必要な方法論とありますが、その違いを「考える」という部分が非常に大きかったと思っています。だから読書もFXに偏らないほうが視野が広がると思ってます。
現在はExcel VBAで9種類のFXサヤチャート(日足終値ベース)を描いていますが、2009年はMT4でリアルタイムサヤチャートを描きたいと思ってます。それが来年の抱負かな。基準通貨ペアに対してテクニカル指標としてサヤチャートウィンドウを表示している方がいたのでそれをヒントに。サヤチャートにオリジナル指標ワタル線とPRSIをかませられるとさらにいいのですが...。
サヤポジションへの移行でなく両建てで利益温存する人もいるかもしれません。その場合はある意味サヤすべりを利用して回転売買狙いなのかもしれませんが、私は限月のないFXでの両建てを好まないのでほとんどやりません。
充分有利な売りポジションが出来たところで他通貨ペアへ分割仕掛けでつないで、枚数が同数でない変則サヤポジションの時期を通して玉操作を行います。この時期の分割買い玉がキモです。いかに平均値を理想に近づけるかです。結構退屈なサヤ取りですが、私は玉操作をしているときが一番楽しいので、性格的にもこの変則サヤポジションが合ってるんです。
理想とは、現実に一度も示現していないサヤ縮小値に持っていくことです。急落時に売りの評価益が出ている種玉が無ければ作れないサヤポジションです。これができればかなり安心感があります。これが2008年の急落相場では作れました。
買いの種玉から入ることも理論上は可能ですが、先に書いたように「上げ100日下げ3日」といわれるわけで、急上昇はなかなか遭遇できません。特にいまの相場状況では。また上げトレンドは長期に続くとするとサヤ取りでは効率が悪すぎるので、やはり「急落に乗って評価益が出ているとき」が一番やりがいのある仕掛けだと思ってます。もっとも初心者のころは窮地から抜け出すためにサヤポジションへ移行しておりましたが()。それはマイナスをゼロに戻す作業なので楽しくないです...。練習にはいいですけど。そもそも窮地に陥らないやり方(損切りとか)を学ぶのが先です(笑)。変則サヤ取りは「プラスを温存してさらにプラスに持っていきながら次の大トレンドを待つ」のが良いポジションだと思います。
最終局面では、4種類の移動平均(30,60,120,240日)も併用しつつサヤチャートの天底を取りに行くというスタイルです。サヤの動きはゆったりとしているので、天底もとりやすいです(とはいえ素ッ天井はやはり難しいでしょうが)。大きなひとつのサヤ相場が終われば、別のトレンドに入っている可能性があります。そこからは片張りでトレンドについてゆき、その終わり際を感じたらまたサヤにつないでいくといったやり方も出来そうです。そんなにうまくつなげてればサブプライムで泣いたりしてないけどさ()。来年はまだ上がる材料がないですし、サヤ取りというひとつのスキルを身につけるにはいい年かもしれません。
サヤ取りは準備とオリジナルツール(サヤ場帳やサヤグラフ)が必要なのでハードルが高いし、いい相場環境になる機会も少ないです。今回の急落だって4~5年ぶりに到来したわけですから。いまをいい時期というのもはばかられますが、サヤ取りを考えるにはこれほど適した時期はないでしょう。両外しサヤ取りといわれる同時同数仕掛けでも、こういう大トレンド終了の混沌とした時期はやはり適しているような気もします。身につければいつでも使えるわけですから、こういう時期に練習するのもいいのかもと思い、ちょっと書いてみました。もうたぶん書きません(笑)。でもエンジュクでセミナーやるくらいだから、思いもよらない仕掛けを考えつく人がこれから出てくるのではないかと思ったりもしています。
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コメント
追記というか補足:ヒマなのでネットサーフィンしていたら為替王さんのとこに「FXのサヤ取りなんてありえない」みたいな話が書いてありました。そこに書かれていることは確かにその通りなんですが、どうも私のやってるのはサヤ取りといわないのかも知れません。ほとんどつなぎ売買みたいなものなので。
FXのサヤ取りをしているブログをザッとみると、サヤ取りの定義として、
1)両外し(同数同時仕掛け同時手仕舞い)であること
2)スワップを有利にしておくこと
があるような気がします。これは確かにちょっとムリがあり、これをやるなら片張りと同じです。
私のサヤ取りは時間と相撲を取っているみたいなもので、時間の変化のなかで玉操作をしながら分割して仕掛けます。両外しでは示現したサヤしか取れませんし、増し玉を有利に持っていくにも限界があります。
この世に示現したことのないサヤを取るには時間と値動きを味方にする必要があり、そういうチャンスは年に2,3回です(ピンポイントでもありません)。片張り大トレンドも年に2,3回程度で、この両輪によってリスクを抑えて時期の異なるチャンスを狙う、あるいは多少ピンチになってもサヤにつなぐチャンスを探し乗り切る可能性を探れるといったメリットがあります。
もっとも、損切りすればそんなことする必要がないという意見もあると思いますし、そこは流儀の違いって感じで。最終的には利益をいかに残すかだけですからね。人それぞれで、人と同じことやっててもつまらんですから。
投稿: ポップンポール | 2008/12/31 15:22