2008年末のBGM
最近、麻生総理や自民党が出てくるニュース映像を流しながら、加古隆作曲の傑作サントラ「パリは燃えているか」を聞くのが趣味だ。ニュースの内容なんて聞く意味が無いからね。でも麻生による不作為の罪は万死に値するとは思ってる。
「パリは燃えているか」とは、追い詰められつつあったヒトラーが負けるならパリを焦土と化せと急かす電報の文面(同名のノンフィクションも秀逸)だが、表題曲は1995年にNHKで放映された「映像の世紀」の主題曲だった。膨大な記録映像で戦争に明け暮れた20世紀を描ききった傑作ドキュメンタリー「映像の世紀」。いまチャンネル銀河で再放送中だ。このドキュメンタリーの名作性を最大限に引き出している加古隆の音楽も、20世紀の名曲中の名曲だと思う(試聴)。
そしていま、まさに2008年末にふさわしすぎる曲で、壮絶な歴史ドラマのなかにオレもいるんだなぁという気分になれる。ヒトラーに比べれば出演者が小粒すぎるのはいかんともしがたい。まぁ歴史なんて愚か者によって汚されていく時間と空間の記録ではある。麻生の顔を見ながら歴史の愚かさを噛み締める年末です...。
以下余談。
さて、日本時間今朝未明に米国の政策金利(FFレート)が現行の1.00%から0.75~1.00%引き下げられ、0.00~0.25%に決定した。個人的には結構サプライズだった(といいつつドル売りポジションがガンガン下落してて儲かったけど)。
それにしても0%だって。日本ですら0.30%なのに。もう後がない。前代未聞の政策だけど、それだけに思い切った姿勢を評価する声もある。世の中おかしくなってるから、正しい判断能力がなくなってるのかも。
というより、手詰まり感というのは手詰まりだから手詰まるのであって、既に何をやってもどうにもならないのかもしれない。誰もやったことのない未知の領域でなきゃ何も変わらないから、とにかく何かやって進展させてみようってことか。
ソロス曰く、サブプライムローンの次はCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)ってのが怖いらしい。クレジット・デリバティブの一種らしいのだが確かに怖い。
オレ流に理解したところでは、CDSってのは信用リスクの分かち合いみたいなもので、リスクが顕在化しないことを前提にパンパンに膨らませた風船のようなデリバティブだ。顕在化した瞬間、どうしようもなく巨額な損失に膨れ上がっているという仕組みだ。そして顕在化したリスクを背負った者が連鎖的に崩壊していく。
それはまるで、ベアリングス銀行を独りで崩壊させたニック・リーソンの架空口座88888を切り売りしているようなものに思えた。損がいったいどこまで膨らんでいるかわからないが、顕在化しないで自転車操業して隠している間は儲かり続ける。
サブプライムローンは「サブプライム」と名付けているだけあって、回収不能リスクをそれなりに織り込んでいた。でもCDSってのは「お互い、まさか倒産なんてないよねぇ」「ないない(笑)」っていう仲から契約を結ぶ。しかしコイズミではないが、上り坂、下り坂のほかに、マサカがあったのだ。だからそこいま100年に一度の危機といわれ、そのマサカが顕在化しようとしている。
CDSってクライシス・ドミノ・システムの略じゃないの?しかもデリバティブってヤツは1つ商品化できてしまうと、いくらでも派生商品をつくることが可能のようだ。1つの商品の評価をさらに別の基準で評価していけば、いくらでも作ることが出来る。
そうなってくるともうリスクの在り処なんてさっぱりわからなくなり、いったい何を売っているのかさえ理解不能だ。まるで損を触媒で薄めていけばいつか損が損でなくなるという幻想を売っているように思える。そんなヤバそうな商品が世界中にバラまかれているわけだ。
どんなものでもそうだが、破壊するのはたやすく、構築するのは困難だ。再構築はさらに困難だろう。時間もかかる。人類はこの迷路から出られるのだろうか。
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