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2008.10.18

米原万里さんの思い出

エッセイスト米原万里さんの対談集「言葉を育てる」(ちくま文庫)が9月に出ていた。最近私が大好きな星野博美さんとも本書で対談されていると知り購入してきた。興味を持った人どうしがこうしてつながっていくのは対談の楽しさだ。

米原万里さんが亡くなられたのは2006年のことだった。容貌だけでなく生き方も華麗な人だったと思う。ロシア語の会議通訳をされていて、一度だけ実物を拝見したことがある。私がまだ学生の頃だ。

当時の私は大学を卒業するためにレポートを書かなければならなかった。時代はちょうどペレストロイカ後のソ連。ゴルバチョフがグラスノスチ(情報公開)政策を引っさげて民主化を進めている時代だった。

そんな時代背景のもと、ソ連にも全ソビエト連邦世論調査センターという機関が創設され、そこの所長をしていたタチアナ・ザスラフスカヤ女史が来日された。

日比谷公園の近所にある日本記者クラブの会議室だったと思うが、所長は日本のマスメディア向けに講演をされたのだ。そのときの通訳が米原万里さんだった。

私の立場は大学生。その講演に入れるわきゃないのだが、当時就職が内定していた某社が、自社の記者という身分を与えてくれたので潜り込むことができた。バブルの時代って売り手市場のいい時代だったよ。卒業できたのは御社のおかげです!入社しなくてごめんね...。

そのとき初めて見た米原万里さんの印象は「通訳にしては濃いな」だったboutique。しかし非常に優秀、というとおこがましいが、行間を訳せる人といえばいいだろうか。「ザスラフスカヤさんはそんなにしゃべってなさそうだけど」と思うような部分を補足して訳されている感じがした。既に作家の資質が表れはじめていたのかもしれない。

声も非常に特徴があった。最近、お笑い番組によく出る鳥居みゆきの声を聞くと米原万里さんの通訳を思い出す。なんか似てない?声が。

潜り込んだ講演会で無事レポートの取材が出来、そのうえ米原万里さんの通訳をライブで聞く体験まで出来た。そんな学生は他にいないのがちょっと自慢だscissors

私の興味は社会主義国家における世論の存在にあり、レポートのタイトルは「ソ連の世論」に決めていた。語感がいいだろcatface ソレンノヨロン。音楽三昧の生活だったから韻を踏むことが重要だったのだ(>なんだソレ?)。

あの米原万里さんの声がいまも思い出される。いまみたいにリニアPCMレコーダーがあればよかったのになぁ。

その後のご活躍はテレビで度々見た。次々と出版される著作は、華美な通訳という印象しかなかった私に華麗なエッセイスト・作家という顔を見せてくれた。

「言葉を育てる」のオビには「この毒舌がもう、聞けない 言葉の魔術師・米原万里の最初で最後の対談集」と書かれている。対談のなかで硬い話と柔らかい話とが縦横無尽に繰り広げられる。このレンジの広さも魅力だ。

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