救世主レンタルバイクの旅
早朝散歩から宿へ戻って朝食。そこで何度もレンタルバイクについてしつこく聞いてしまった。予約なしで当日いきなりだから不安だったのだ。しかしあっさり借りることが出来た。
宿の駐車場のところで支度していると、いきなりのスコールが!走り始めてからでなくて良かった。スタッフのお二人としばし立ち話していたらやんだ。雲が南へ流れていく。その雲を見て、急遽予定を南から北へ変更した。一応、レインウェアのズボンだけはいて出発することにした。
思えば原チャリなんて20年ぶりだ。あれは確か茅ヶ崎で短大生M嬢のバイクを借りて直線コースを試し乗りしたんだった。そのとき以来の原チャリなのだ。実は中型二輪の免許も持ってるのに、その免許が普通自動二輪と呼ばれるようになっていることすら知らなかった(笑)。ほとんどエンジン始動方法から忘れている!
だが母島のいいところは信号がない。対向車もほとんどこない。ものの2分も走ったら感覚が戻ってきた。スローイン・ファーストアウトだ(笑)。念仏のように唱えつつ、北へ向かったのであった。もちろんペットボトル5本を補充しての出発だ。
なんて気持ちがいいんだろう。この機動力は時間の節約にもなるし、風を切って走る楽しさを、ほんとに20年ぶりくらいに思い出した気分だった。実際自宅に戻って来たいま、台湾製125ccスクーターを購入しそうな勢いだ(マジで)。
北港までバイクで飛ばせば30分くらいで着くらしいが、途中いくつかのポイントで止まりながら北上したので、北港まで2時間程度かかっていた。
私の場合は景色の写真もさることながら、フィールド録音という目的があるので、止まるポイントもさまざまだ。景色がいいところは録音には向かない。パースペクティブの広がりはいい音に結びつかない。どちらかというと、空間的には閉じ加減なとこの方が録音には向いていそう。防風がやはり重要だからだろうか。
走っては止まり、写真を撮ったり自然音を録ったり水分を取ったり。休憩も取ったり(笑)。その繰り返しでも北港まで2時間、まだ午前中だった。もしバイクなしで南へ向けて歩いていたら、おそらくペットボトル3本くらい飲み干してギブーギブーと叫びながら、遊歩道の入り口にも到達できず、引き返すかどうかの検討に入っていたことだろう。まったく!天国と地獄は紙一重だよ(>_<;)。天国を選べてよかった!免許を持っているなら迷わず文明の利器を利用すべきだ。どうしても歩かなきゃ行けない場所はたくさんある。緩急が大切だっちゃ!
●森を感じる桑ノ木山
録音についてはまた後日まとめて書く予定だが一箇所だけ。フィールド録音で良かったなと思うポイントに桑ノ木山がある。自然音録音界の巨匠だった故・中田悟さんのCDでも録音されていたポイントだ。
たしかに何かを感じる森だった。エコツアーなんかだと、夜の桑ノ木山にグリーンペペという光るキノコを見に行ったりするらしい。もっともフィールド録音はひとりで行くのが基本(by ジョー奥田さん)だ。とはいえ夜ひとりでこの森に入る勇気はオレにはない(笑)。
ちょうど桑ノ木山にさしかかったとき雨が少し降り始めた。そこで桑ノ木山の入口にバイクを止めて、レインウェアの上着も着込んだ。正直、持ってて良かったと思ったぞ(笑)。そしてバイノーラル録音の準備もして、森に少しだけ足を踏み入れた。写真は入り口からほんの30mくらいかな。ホントに森だ。
雨の森に立つと、なんともいえないさびしい気持ちになる。入口からたった30mなのだが、はやく青い海と青い空の世界へ戻りたくなる。しかし雨が小降りになるにつれて、鳥たちが歌いだす。鳥も雨上がりとともに元気になることを初めて知った。
スコールのような降り方なので、待てば雨はやむ可能性が高い。雨音が遠ざかり、小鳥のさえずりが空間を満たしていく...。その狭間を録音するために、雨の音をジッとモニターしていた。
結果的に雨の録音は初めてでもあり、マイクゲインの調整がイマイチで、あまり成功したとはいえなかったけれど、この桑ノ木山という森を肌で感じられたことは良かったと思う。妖精がいそうな森だった(柄でもないが^0^;)。
しばし森の音を確かめつつ、またバイクに戻って走り出した。山の空気は湿っていたが、そのぶん気温も低めで快適だった。そしてまたすぐにカラっと晴れる。レインウェアも着たり脱いだり忙しい。そしてバイクの走りはひたすらどこまでも気持ちがいい。めまぐるしい天候の変化が、なんだか好きになっていた。(つづく)
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