バイノーラル録音試し録り
土曜午前中にシネマリウム設置台が届いたので早速設置。ただ置くだけだけど。両サイドにあるルミナステンションラックの天井への突っ張り柱の前面内側をいったん緩めて、そこへ設置台をはめ込み、また天井突っ張り柱を元に戻す。これで作業完了!
右の画像では、わかりやすいように台と見えないテンションラックのポールの位置関係を描いて重ねてみた。まぁ本体そのものがかなり高い位置なので規格外な使い方だけど、音の抜けは確かに変わった。
午後は新宿へ。東急ハンズでやっているバイノーラルマイク「BME-200」の実演販売が目的。雨が降り出していたが、気分がバイノーラルモードになっているので、雨の音をしっかり聴きながら(まだ自分の耳だけでだが^_^;)駅へ向かった。
●日常を“聞く”意識に変化
バイノーラルに興味を持つと、日常の意識が変化するな。あらゆる日常音に敏感になる。「あ、この工事現場の音欲しいな」とか「お、このビルの反響音は空間的に面白いぞ」とか。日常にほとんど興味が無い私が、こういう形で日常にコミットしていくなんて、そのこと自体も面白い。
バイノーラル録音を公開されているサイトやブログもいろいろ聞いてまわった。車の走る音、雨の音、波の音、雑踏の音、そういう日常音や自然音がやはり対象となっている。なんてことない日常を切り取る楽しさ。それはカメラでもそうだし、ビデオでもそうだけど、「音」、「音だけ」という切り取り方はまた新鮮だったりする。
●BME-200はじめて物語
さて、東急ハンズ新宿店5Fへついた。一応オーディオ機器なつもりで赴いたが、そこはいわゆるオーディオ機器的空間ではなかった。カーテンとか掃除用品とかそういうフロアだった。
実演販売員さんがお二人いらっしゃって、いろいろ聞けた。アドフォックス社ってそもそもは補聴器の会社。補聴器って日常の音を自然に増幅することが目的だからこそ、バイノーラルに注目されて開発されてきたわけだ。
しかしある日、展示会場にとある著名なオーディオ評論家氏(名前も聞いたけど忘れた)が訪れて、アドフォックス社のバイノーラルマイクに衝撃を受けられ、持ち帰ったマイクでジャズの演奏を録音し、アドフォックス社にフィードバックされたそうじゃ。それを聴かされた社員はオーディオ分野に新たな販路を見つけ、手軽に生録が楽しめるバイノーラルマイク・イヤホンBME-200を売り出したというわけじゃ。めでたしめでたし。
ハンズでの実演販売ではカラスの鳴き声とか、アドフォックスのサイトでも視聴できるいくつかのファイルを聞かせてもらった。やはりいい。なんで新宿のど真ん中でカラスの音に聞き入っているのだオレは!?とか、そういう疑問もオモロかった(笑)。オーディオマニアは何百万円もするスピーカーで水滴の音を聞いたりしてる。同じだよ!
でもそのカラスの声が、なんの変哲も無い安いボイスレコーダ(MP3)で録音されていて、なんだか匠が木彫りをしているようなイメージが浮かんだ。木彫りの名人がちょちょっと作った置物でも、なんだかめっちゃ味わい深いってことあるじゃん。そういう感じでカラスの鳴き声を聞いたのであった。
いまハンディタイプのリニアPCM録音機もブームになっているし、ハンディ・レコーダとBME-200との組み合わせはかなり楽しい旅行アイテムになるのではないだろうか。即効で購入。BME-200の店頭販売は東急ハンズの渋谷・新宿・池袋店で行ってるそうです。
ウインドスクリーンの裏側に両面テープを貼って装着すると、ウインドスクリーンを失くしにくいって話も聞いて来ました。失くすと結構高い(3000円くらい)。毛糸の帽子なんかでもウインドスクリーン効果は得られるとか。ひとくちメモでしたー(笑)。
●旅行と音の思い出
昔欧州旅行したとき、アインシュタイン博士の生家の近くで、ギターを弾きながらサイモン&ガーファンクルのミセス・ロビンソンを歌っているストリートミュージシャンがいた。私は欧州旅行を音で残そうと(というよりサンプリングシンセに取り込む音を探すため)、録音機能付MDウォークマンとマイク(カラオケマイクみたいなでかいやつ)を持っていたので、彼の横に座って録音した。ほとんど使えるシロモノじゃなかったけれど、思い出としては残ったのだ。
同じ旅行の最中、ドイツの電車のなかで、ボイスレコーダに旅の思い出をしゃべっているドイツ語のおっさんも見た。トーマスクック時刻表を持ってたから、たぶん旅行者だ。そういう楽しみは昔からある。それをバイノーラルな音でリニアPCM録音(CD音質以上)で残せる現在、生録ブームは世の流れなのではないだろうか。
ボイスレコーダといえば、理不尽な要求(異動辞令とか違法要求とか)を呑まされそうな場面で、マイクロテープレコーダを持ち込むみたいな使い方を思い出す。その場限りの口約束なんてすぐ反故にされたり、企業犯罪に巻き込まれそうになったりする危険もある現代社会。証拠を残す武器を常に携帯することが重要となっている。いまやマイクロテープに比べれば音も使い勝手も格段に良くなっている。現代人必携アイテムともいえよう。生き難い世の中だがこれもサバイバルだ。
ま、バイノーラルマイク付イヤホンはそういうしょーもない日常を離れて、ケガレのない心とともに使ってください(笑)。
●部屋で早速録音してみた!
マイクを買ったらすぐにでも録ってみたい。とりあえず自宅でギターを弾きながら歌ってみた。もちろん24bit/96kHzで録音してみて愕然!なんて下手なんだオレ(笑)。こんなに下手だったなんて...。
まるでハイビジョンに吹き出物がドアップで映された女優のような気分だ。だがそのリアルさにも驚いた。下手さに慣れてくれば悪くない(立ち直り速いんです!)。元春のSugartimeを歌った。なぜこの歌かというと、
Do you remember
(あの時の二人)
Do you remember
(あの日の輝き)
って掛け合いがあるじゃんか。ここを一人でやってみたかった(笑)。リニアPCMだとまさにリアルなので、オレが二人で歌っているわけだ。しかもピッチのずれ具合も含め100%オレのグルーブと合っているわけ。こんなに気持ちのいい掛け合いだったりハモリってないぞ。
逆に自分自身とハモってみることで、バンドのグルーブを作り出す(他人とグルーブをあわせる)ことの困難さも発見できる。バンド活動ってのが音楽的にいかに困難な仕事なのかを謙虚に知り、そこからまた練習に戻るという反省材料にも使えるのだ。まじめだなぁ。バンド休止中なのに。
この録音は非公開。著作権料の問題あるから。
●森のクマさん風のコードを弾いて比較
さて、このくらい長文にしとけば、ここまで来る人は少ないだろう。ということで、下手なギターでアルペジオを弾いてみた。ひとつはバイノーラル録音、ひとつはZOOM H2の内蔵マイク(FRONT90度ステレオ)で、音質はCDレベル(44.1kHz/16bit)のWAVファイル。どちらも3MBくらいある。森の熊さんって童謡を口ずさみながら聴いてください(森の熊さんを弾いているわけではありません)。2)のほうが左右逆になってるのは、リスナーポジションで録音したため。どっちもPCに取り込んだ後ノーマライズしてます。
音の違いはわかりますかね?ヘッドフォンで聴くとよくわかるんですが、1)のほうは頭の外で音が鳴ってる。回りの空気感(ノイズ)も聞こえます。2)は指向性の高い内蔵マイクなので、頭の中で音がなっててノイズは少なく感じます。ノイズの有無がどうこうというより、空間の聞こえ方の違いが聞き分けられれば違いがわかると思います。
あと弦をこする音とか、サムピック(親指にプラスチック製のピックをはめて低音弦を弾いてます)の当たる音まで聞こえます。1)ではH2内蔵メトロノームのクリック音も入ってますが、これはバイノーラルマイクで録音する際、モニター音をマイクの裏についているイヤホンで聴きながら録音したから。クリック音のレベルは3です。
オマケでウクレレバージョン(笑)。
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