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2008.03.15

日本のホワイトカラー生産性は最低!?

ちょうど3年前の3月に「ソニーの思い出」という記事を書いた。そしてまた3年後の今日、最近読んだソニー関連本を紹介したくなった。3年ごとに書きたくなるソニー。これもソニータイマーか(笑)。まったくの偶然ですが...。

『ソニーをダメにした「普通」という病』(ゴマブックス刊)は、3年前に紹介した「ソニーを踏み台にした男たち」とは異なる視点を持っている。著者は、ソニーの部品検査員=「倉庫番」(著者が入社直後に同期からからかわれた言葉)として社会人となり、現在はコンサルティング会社を経営。いわゆるソニーの花形部門ではなく、生産現場からのたたき上げ目線なのだ。

私は前にも書いたが、たたき上げが好きだ。そして私自身、クリエイティブな活動と同時に現場の業務フローを重視する。というより業務フローの最適化もクリエイティブな創造性を掻き立てる案件なのである。両方の視点があるからこそ創造性が枯渇しない。そこが私の強みといえば強みだ。職人肌な人種はみんな多かれ少なかれこういう視点を併せ持つ。だが併せ持っていない人々が牛耳っているのが現代ニッポンのサラリーマン社会なわけだ。

●日本のホワイトカラーは非生産的!?

日本のホワイトカラーの生産性って、先進7カ国中最下位だって知ってます?OECD30カ国中でも20位だとか。(財)社会経済生産性本部がレポートを出していて、この書籍執筆時点は2004年のデータですが、いま最新の2005年のデータでも最下位継続中でした。これで12年間連続最下位です。ちなみにブルーカラーの生産性はトップレベルなんです。ここがポイント!

2005年時点での日本の労働生産性(就業者1人あたりの付加価値)は、789万円(購買力平価換算)。これって、これ以上の年収の人は何も富を生み出してないってことなのかな?そう考えるとホワイトカラーエグゼンプションも一理あるかも(^_^;)。

あるいは、いま日本の膨大な借金は838兆円。赤ちゃんまで入れた国民一人あたりにすると656万円換算だとか。これって、労働人口だけで換算したら、みんな借金返済に消えちゃって、誰も富を生み出していないってことなのかな?

日本って、低い生産性のホワイトカラーに惰眠をむさぼられて、生産性の高いブルーカラーの皆さんのご尽力で借金返すだけの国家なのかな?そりゃ少子化も止まらんわな...。

ソニー関連本としては、こうしたホワイトカラーの生産性の低さを「人生の浪費」とまでいう著者の視点で貫かれているところがオリジナルな視点だ。そしてそんなホワイトカラーの「普通」という病を、「普通」からもっとも遠い企業と思われてきたソニーに当てはめること(また当てはめられる経歴の著者が書くこと)で、「普通」が蔓延するその他の日本企業(ソニーと比べ物にならないくらいに普通の会社)を振り返ることも出来る。

「普通」とは寄らば大樹の蔭的な感覚と保守化し特権意識を持ったホワイトカラーの感覚だ。この国は生産性の低い人間ほど偉そうな態度をとる。いわゆる「御本社様」的な感覚のサラリーマン・ヒエラルキー社会だ。むやみにサラリーマンばかり製造してホワイトカラー飽和状態。「いい大学を出ていい会社に入って」という常套句にまさに表れている。そりゃ生産性も落ちるわな。

●ブルーカラーが誇りを持てる社会へ

さらに生産性が高く日本を支えているブルーカラーの価値があまりに抑えられている。給与体系と労働価値とが逆相関を描いているかのようだ。それを「普通」だと考えてしまう。口ばっかりの政治家や官僚ばかりが連日テレビに出て適当な発言を繰り返す。企業トップもだんだんそういう人間ばかりになって来てはいないか?

ホワイトカラーはブルーカラーの働きやすい環境をいかに創出するかを考え仕組みを作り上げる知恵も持たなければならない。対等の立場で生産性を上げる必要がある。ソニーやホンダの創業者はそんな組み合わせのようにも見える。現場の井深・本田に業務の盛田・藤沢。その両輪が仕事の生産性を上げるのかもしれない。

優れた現場(テクノロジー)が優れた仕組み(システム)と出会ったとき、最大のパワーが生まれる。経営者のなかにはテクノロジーもシステムも知らない、ホワイトカラー・ヒエラルキー(社内政治)だけの政局屋もいたりする。まるで政局サイボーグ・コイズミのような。こうなるともう崩壊は目の前だ。いまの日本を観ればわかる。論理的に着実に崩壊へ向かう経営者のあり方だ。

経営者はまずテクノロジーを知り、そしてシステムを創造でき、最後にビジネスにつなげる才覚が不可欠。そういうマルチな才能が必要だからこそインセンティブも高く設定されているはずだ。そのどれもない人間が多い(育ってない)ことが、12年連続最下位の生産性につながっているのではないか。

さらに言えば、いま「カネを活かす」ことばかり考える経営者が増え「人を活かす」ことが出来ない。ソニー本に照らして言えば、投資家気取りの経営者が増えたといえる。役割分担を誤解して人よりカネを考える。人がカネを生むのに、カネしか見えない。順序が見えないということはシステムが理解できていないということだ。ホワイトカラーですらない経営者はいったい何色なのだ?会社色に染まった会社人間なのか。会社人間は会社をダメにするぞ...。獅子身中の虫っていうヤツさ。

●機能価値を使用価値へ

熱くなったのでクールダウン。この本にはもうひとつキーワードがある。それが「使用価値」だ。技術者は最新技術にほれる。そしてそれを商品に投影しようとする。「あれもできます。これもできます。」と、機能中心に考える。だが顧客は使ってナンボなのだ。「あれもこれもできるの?すごいね。でもボクはあんまり使わない機能だな」ってことになると本末転倒だ。

「機能価値」と「使用価値」は巷で言われる“使えない東大生”にもいえるかも。彼らは機能価値は高いんだけど使えないのだ(笑)。だが笑ってばかりいられない。ホワイトカラーにも当てはまるわけだから。ほとんどのサラリーマンは機能価値は高いのかもしれない。でも生産性が低い。どうしてなんだろう。

楽しようとするだろ。そもそも直接利益を生み出す現場を少しでも快適かつ効率的にすることで生産性を高め、間接的に利益に貢献するのがホワイトカラーの仕事だ。そこが楽してたんじゃ現場は不快なまま生産性も落ちる。いま現場の生産性が高いのは現場が自身の知恵で考えているからで、惰眠をむさぼっているホワイトカラーの能力じゃないわけだ。創造の苦労を楽しめないサラリーマン根性が蔓延してるってことか。それはどうして?

結局活かされてないってことなのか。本来働き方を創造するのが仕事なはずのホワイトカラーが働き方を見失っている。仕事にならないのも当然だ。これも学校教育にみられる北朝鮮化と脱北の関係と同じじゃないか。

経営者も機能価値ばかりを見て使用価値が見えない。そもそも自身が機能価値で生きてきたってことなのか。使用価値が見えていれば商品だってヒットするんだろうし。上に行くほど惰眠をむさぼる(笑)。出る杭は打たれる。保守化した特権意識と社内政治。社内で生産性低下競争ばかりをやってる(やらされてる)。現場無視のレポート合戦みたいな(笑)。夢色に染まってるけど絵の具がついてない。

ま、そういうボク自身、若い頃は“出す杭を打たせる”(>M男かよ!)をモットーにして生活してきた。でも、どっちかというと機能価値を重視していた。機能価値は作り手にとって楽しいことこの上ないのだ(^_^;)。

でも最近変わった。“打つ槌を楽しむ”ことにした(>ドMかよ!)。階級はポスターカラー(古井戸の名曲を聴こう)だ。どんな色も生み出せる。機能価値より使用価値重視にもシフトしてきている。言葉を換えれば作品や商品に対して客観性を持てるようになってきた。

「普通」を安全・安定だと思っている人々とは一線を画してこれからも生きていく。普通じゃつまらない。普通じゃつまらないと言っている普通の人になっていないかを常にチェックしていきたい(笑)。普通の対義語は異常ではない。独創だ!

このブログ「ひとくちメモ」は一種のバロメーターだ。確信犯的にフツーの人なこと書く場合以外、普通でなくありたい。でもそれは絶対評価であって、相対評価は読者にゆだねるしかない。今後ともよろしく(って締めでいいのかな?)。

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Comments

書評、ありがとうございます。
この本の著者です。
ここまで読みこなしていただけるとは、
と痛く感動しながら、拝見致しました。

                横田宏信

Posted by: 横田宏信 | 2008.04.04 at 13:41

横田宏信さん、はじめまして。
著者の方からコメントいただけて大変うれしいです!
これからも現場重視で使用価値の高いお仕事を期待してます。

Posted by: ポップンポール | 2008.04.05 at 10:24

先日、脳科学者の茂木健一郎さんがツイッターでこの記事にリンクされていて、その直後からアクセス数が激増しました。

この記事は2008年に書いたもので、ホワイトカラーの労働生産性の低さについては2005年のデータに基づいていました。ではいまはどうなんだろうと思って再び日本生産性本部にアクセスしてみました。2011年のレポートがダウンロードできます。

http://www.jpc-net.jp/annual_trend/

結論だけ書きますと、日本の2011年の労働生産性はOECD先進7カ国中最下位爆進中で18年連続に記録を伸ばしています。

もっとも労働生産性というのは劇的に上下動するものではないのでしっかり取り組めれば徐々に改善していけるのかもしれません。そういうビジョンとアクションがあればですが...

ちなみにソニーですが。「ソニーの労働生産性は2011年度で783万円にとどまり、直近のピークとなる2007年度(2,511万円)の 3割程度にまで落込んでいる。」そうです。

生産性の定義がわからないというツイートも読みました。その気持ちもわかります。購買力平価という考え方への批判も当然あるでしょう。

なんでもそうですが分析結果はひとつの指標として見るに留めていいように思います。そこから自分自身がどう考えどう動くか、そこが大切なのかもしれませんな。

Posted by: ポップンポール | 2013.01.26 at 11:40

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