よい子はマネしないでください?
どーでもいいけど、「メビウスの輪」すら知らないガッコの先生っているのか?伊東美咲主演ドラマ「エジソンの母」は、いわゆる初級編のブルーバックス的教養エピソードがそのまんまちりばめられたドラマだ。
しかしパラドックスとかメビウスの輪とか、ガッコの先生やっててソレ知らないのはあかんやろ!ってレベルの教養にアタフタしている伊東美咲の姿はちょっとわざとらしい。そりゃ大学の准教授(谷原章介)とは話合わんやろなー。
もっともそれは伊東美咲の落ち度ではない。伊東美咲の女優としてのキャリアをウォッチし続けているオレには、小学校の先生役はひとつの登竜門にも見える(?)。保育士の資格も持っておられるわけで、その資格が活かせるドラマかもしれないし。
それはそうと、テロップに「よい子は絶対マネしないでください!」と何度も出る。まぁ視聴者にキケンな実験をマネでもされたらマズイという事情はよーーーくわかる。そんなことにイチャモンをつけるようなオレではない。
だが昔から、この文言だけは許しがたいと思っているので、ひとこと書いておく。ガスを吸ったり校舎から飛び降りたりといった行為は、よい子でなくてもマネすべきでない。
そもそもオトナにとってのよい子はマネしない。面白くもない優等生がよい子だ。多くの子どもは好奇心の塊であり、基本よい子ではないし、よい子をめざす必要も自覚する必要もない。まぁ、よい子はときにキレるので、悪い子以上にキケンな場合があるけれど、そういう文脈にはないだろ?
オレなどは「よい子はマネするな!」といわれれば、確実にマネをして生きてきた(笑)。よい子化拒絶シンドロームだ。よい子でいたいおりこうさんなんてクソくらえって感じで生きている岡林信康チックな子どもにとって、「よい子はマネするな」というステロタイプなメッセージは何の意味も持たないばかりか害悪ですらある。いったい誰が言い始めたのだろう。どーーーせろくでもないPTAなんだろうな。
現実社会にもこういうメッセージがあふれている。工事現場にライオンの絵が描いてあって「キケン!よい子は入るな」なんて書いてあったりするのだ。ライオンがそこにいるのか?いるなら観てみたいじゃないか!よい子である必要なんてまったくないオレたち。この日本にライオンがいて、よい子だけ進入禁止なら、オレは除外だ。そうだろう?
「よい子は」と限定するメッセージには、キケンを知らせるという目的からして、あきらかに矛盾がある。主旨が伝わらない。すくなくとも論理学入門みたいなテロップと同時に「よい子はマネするな」と表示することに、制作側の想像力の欠如が見て取れてしまうのだ。
「どうして?どうして?」と問う子役の疑問がいちいちステロタイプなのは本からの受け売りだからなのか。そこにこのドラマの本質はきっとないのだろうが、ウソつきのパラドックスとか、多少ひねりなさいひねりなさい(笑)。
昔NHK教育テレビの理科番組になんだろうくんがいた。なんだろうくんはボケ役で、あさってのほうを向いたような疑問を持つ。それも予定調和だったのかもしれないが、しかし今となってはなんだろうくんがいたことしか覚えていない(あと主題歌も覚えてる)。裏を返せば、そういう子ども(人形だったが)ほど印象に残るってことだ。
ぜひ「エジソンの母」の花房賢人くん(子役・清水優哉)には、独創的な「どうして?どうして?」で、なんだろうくんを超えて欲しい。
ちなみにいまGoogleで「よい子はマネしない」で検索したら43400件ヒットした。よい子って窮屈ダネ!
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