二大政党志向が対応を遅らせた年金問題
自民党が馬脚を現した。今回の年金問題についての取り繕い方は惨めすぎる。杉村タイゾーが頼もしく見えるほど(笑)、自民党は堕落してしまったようだ。
もともと選挙できれいごとばかり言う体質だったが、不遜な態度だけが個性の町村官房長官は、年金問題への取組みでこの体質を肯定する発言をしてくれた。
華麗に国民をだまし続けてきたこれまでの自民党と官僚のタッグ。しかし年金問題については、民主党の長妻昭議員による丹念な取材活動を我々は平行して見て来た。
自民党と厚生労働省によって年金問題がウソで塗り固められる過程を、長妻議員がその都度報告していた。国家の問題として自民が聞く耳を持っていたら、もう少し違った対応が出来ていたはず。
対立することが政治の目的化してきたのは、小選挙区制最大のデメリットだ。まさに政治がディベートと化している。左右どっちサイドにでも立てる人々が、たまたまいまいる立場で発言する。
まず相手の否定から入る。本質を突かれてもそこから考えようとせず、別解で対応しようとする。あたかも他グループの意見を取り入れることはプライドが許さないと言っているお子ちゃまのようだ。
年金問題に対する長妻議員の仕事は、党派を超えて採用するに値する内容だったし、採用すれば解決への見通しや取組方も精度が上がっていただろう。だが自民党は指摘されればされるほどかたくなになり、大言壮語を繰り返してきた。それがこの結果だ。
二大政党となると、こういう傾向はさらに強まる。
自民党とは、検証の難しい問題についてのらりくらりと批判をかわしながら利権をむさぼってきた集団だその知恵を授けてきたのが官僚機構だ。しかし犯罪組織と化した社会保険庁や防衛施設庁(解体済み)、薬害問題を抱える厚生労働省など、隠し切れない堕落官庁を放置し続けたことで、取り戻せない損失を国民に転化してきた。甘い汁を吸って天下る人々のために。
政権交代は必要だが、一回政権交代を実現できた暁には、やはり政策集団ごとに群雄割拠の時代へ再編して欲しい。小選挙区制も終わりにすべきだ。派閥でない他党政治による中選挙区制ならば自民党独裁政治とは異なる。
常に離合集散を繰り返し流動化していくこと、変化していくことが次代を担う政治の本質のように思う。流動化は悪ではない。二大政党で安定してしまったら、アメリカのようになってしまう。二大政党がもし“手打ち”しまったら、もう権力の闇は二度と国民の前にさらされることはなくなる。
政治にはもっと多角的な視点と緊張感が必要ではないか。YesかNoか、善か悪か、好きか嫌いか。わかりやすさはときに大変危険だ。
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