良質の相場読本!決定力を鍛える
なんだか最近「特捜記者イマイ」へのアクセスがめっちゃ多い。確かに今回の日テレ報道特捜プロジェクトSPでもイマイの活躍はすばらしかった!相場の今井師匠とは別人です(笑)。
さて、それはそうと、今日はついにスタミナ苑に初めて行って来た!いやー、やっぱ美味いわ...。美味すぎっ!腹いっぱい!後輩と二人でタクシー飛ばして行ったのだが、すぐに座れてラッキー。本当に全員そろっているグループから入れてくれるんだぁ。もうちょっと遅かったら大行列だった!
さて、それもそうと、そのとき株を始めたいという後輩に、久々に相場の話をして気分がいいので、今日はそこでも話題にした必読の相場読本のご紹介。ガルリ・カスパロフ著「決定力を鍛える」(NHK出版)だ。
カスパロフとは、チェスの世界チャンピオンだ。22歳で最年少世界チャンピオンとなり15年間君臨した。IBMのスパコン・ディープ・ブルーと対戦したことは有名だ。
そのカスパロフが2005年に引退し、突っ走ってきた現役時代の取組について、回想をまじえてまとめた本なのだが、ビジネス系の講演も多い著者だけあり、その一言一言がすべてビジネス的な言語で語られている。それだけにチェスの世界に閉じこもらない普遍性を持っている。
私は相場に関する多くの書籍を読んできたが、苦手なのは精神分析系である。相場の心理学的な本は説教くさくてなかなか読みこなせない。だがその弱点を補って余りあるのが、相場以外の勝負の世界に生き、成功してきた人々の著書や半生録だった。
羽生義治(将棋)、桜井章一(麻雀)、イチロー(野球)、安藤忠雄(建築)、平尾誠二(ラグビー)、リー・アイアコッカ(ビジネス)、坂井三郎(ゼロ戦搭乗員)、これらの勝負師たちの生き方には共通点がある。勝負の世界における自分自身への視線と取組方だ。それらは凡百の相場心理学本よりも価値があった。読んでて面白いし!
そしてまた一冊、ここにガルリ・カスパロフ(チェス)が加わった。しかもかなり実践的だ。まるで相場について書かれているかのように読める。そしてチェスは西洋人の知的ゲームの象徴であり、やつらの思考について知る必要があるFXのトレーダーにはさらに興味深いだろう。
私は相場師である以前に、アーティスト(シュルレアリスト)であり、システムエンジニアでもある。だからカスパロフがチェスを「スポーツか、芸術か、科学か?」と問うとき、その問いを相場と重ね合わせるだけでなく、あらゆる芸術、勝負、科学は、人間が関われる一面において、すべて同じ真理を持っているのではないかとここでもまた納得したのだ。
人間活動の根源を突き詰める作業、それが勝負であり、芸術であり、科学であると思う。そしてその研究対象は自分自身に他ならない。余談だが文章の中にマルセル・デュシャンが出てきたり、クロード・シャノンが出てきたり、デイトレーダーまで出てくるのも好印象。
人生は自己表現であり自己探求である。そのもっともエッジにあるのが、勝負であり芸術であり科学ではないか?おそらく私が相場に惹かれるのは、それが芸術であり科学であり勝負であるからだと思う。勝負していない私は私でなく、芸術していない私は私でなく、科学していない私は私でない。カスパロフの著書はそのことを雄弁に物語っていて痛快なのだ。
さらに先にも書いたが、ビジネスの言語で書かれている。ビジネスで成功するための戦略と戦術を持て。常に準備し考えろ。あらゆる示唆はすべて自分(内面)に向けられる。勝負に勝つには己に勝つこと。どんな良書もそこに行き着く。シンプルすぎるほどシンプルだ。だがそれを理解し実践し得る人間は大変少ない。それもまたシンプルな話だ。
相場に勝つ方法がひとつだけあるとしたら、それは自分を知ることだ。これは勝負にも、芸術にも、科学にも当てはまる。自分を知り、自分に出来ることを考え抜く作業の繰り返しこそが生きている証しだ。その方法論は誰も与えてはくれない。
ま、こんな簡単なことでも忘れそうになる弱い私だから、たまに強く生きた人々の半生でも読んで思い出さなければならないわけだな。息抜きにもなるし。まだ全部読み終わってはいないが、「決定力を鍛える」がジックリと腰をすえて読みたい相場読本であることは間違いない!
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