年金問題解決へ向けてのメモ
期限のない漠然とした夢ばかり語ってきた安倍首相が、たまに期限を区切って発言したので、そこは評価すると前に書いた。だが、その期限がいったい何の期限を指しているのか、ちょっとメモしておきたい。内閣メールマガジンからの引用です。文字の赤色部分は強調のために私が色付けしてます。
安倍内閣メールマガジン(第31号 2007/05/31)より
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私の内閣においては、年金の「払い損」は絶対に発生させません。
(中略)
そのため、1億人の年金加入者に対して、導入前に3億件あった番号を整
理、統合する作業を始め、導入直後にも2億件が残りました。その後、一つ
ひとつ、統合を進めた結果、今残っているのが5千万件です。これらについ
て、徹底的にチェックを進め、1年以内に全記録の名寄せを完了させます。
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安倍内閣メールマガジン(第32号 2007/06/07)より
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●回答 (厚生労働副大臣 石田祝稔)
(中略)
・約5000万件について、来年5月までに名寄せを確実に実施したうえで、
確認のためのお知らせを、年金を受給しておられる方々については、来
年8月までに、これから年金を受給される方々については、再来年3月
までに完了いたします。これと並行して、社会保険庁のマイクロフィル
ムや市町村が保有する記録と社会保険庁のオンライン記録との突き合せ
を計画的に実施し、進捗状況を半年ごとに公表します。
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ということで、首相が1年以内に名寄せを完了するというのは、厚労副大臣によれば確実に実施するということで、話はそこから始まるということだ。
今週のパックイン・ジャーナル(2007/6/9~7/20Yahoo動画で無料配信中)では、NHKの「クローズアップ現代」(6/7放送)で辻哲夫厚労事務次官も、1年以内に名寄せを開始するという主旨の発言をしていたとの報告があった。
これにはパックインのコメンテータ田岡さんが面白い例え話をされていた。「旅行」というものを考えたとき、旅行を完了するのと旅行準備を完了するのとはまったく意味が違うということだ。旅行準備の完了を持って、旅行が完了するかのような首相発言になっている。
確かに名寄せを完了というのは年金問題の解決ではないと言い張れば間違いとは言い切れない。だが1年半ですべて完了するかのような言い回しは詭弁(目くらまし)にも聞こえる。これも社会不安を増長させない首相の配慮なのか...?
名寄せのためのプログラムが1年後に出来上がって、それで万事解決なんてことはもちろんあり得ない。そこから本当の作業が始まるってことだ。副大臣がいう再来年3月というのも、これから年金受給する人の名寄せがそこまでに実施され、そこから確認作業に入るということじゃないのか。
てことはここから1年半で10億円という発言の中身は、名寄せプログラムの開発費であって、そこから先の本当の人間系作業にかかる予算は、また別に計上する必要があるじゃないか?残業代も含めて...。
更に、この5000万件以外にコンピュータ処理がされていない1430万件が出てきた。民主党の長妻議員によって発表されなければ、政府は気付かなかったか、あるいは知ってても言わない(社会不安に配慮して?)という事態に陥っていたのではないのか?
年金問題は安倍内閣が起こしたわけじゃない。しかしいま、そしてこれから、信頼できるかどうかは安倍内閣の発言にかかっている。
非常事態の社会生活に関わる問題には軽い発言を繰り返し、一方でやれ憲法だ教育だと大言壮語を繰り返す。たしかにマッチョ思想だ。マッチョな脳みそをもう少しストレッチしてほぐしたほうがいい。
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