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2007.03.10

バーター

安倍首相の慰安婦問題への認識「強制性を裏付ける証言はなかった」を米国の大新聞が一面で大きく採り上げた。もともと国粋主義者かつ女性差別主義首相なので、この発言は政治家として一貫性があるわけだが、それに加えてコイズミの助言に従ったのか、状況や発言への“鈍感力”も最高潮に達しているようだ。

しかしこの鈍感さは、アジア情勢を進展させる力になるかもしれない。米国すら怒らせてしまったこの人権への鈍感さは、拉致問題を収束させるバーター材料に出来る。米国の狙いはそこにあるのではないかとすら思えるタイミングだ。

北朝鮮の拉致は重大な国家犯罪であり人権問題だが、日本の首相も実は歴史修正主義者であり人権軽視という意味で五十歩百歩なんだから、ここはひとつ痛み分けということで...。

中国と事を荒立てたくない米国が、日本の非をあえてクローズアップして見せることで、政治的バーター取引を持ちかけてきているのかも。これを水面下で進めつつ核問題をまとめ(日本にもカネを出させ)、中東に専念したいという米国の思惑。脇の甘いタカ派おぼっちゃま首相の鈍感な発言が、思わぬ効果を挙げるかもしれない。

だいたいどの地域でも隣国と仲良しこよしなんてことはない。あらゆる隣国との摩擦は政治カードとして使える。そのタフさがなければ外交は有利に運べないし、国益を守ることも出来ない。国益とは一部の特殊な状況下にある国民の幸福でなく、最大多数の最大幸福(建前上)のことだ。

柳沢発言風に言えば、国家とはそもそも非情な機械・装置といえよう。国を守るためなら民すら捨てるものだ。福祉の劣化、海外移住者への対応、公害訴訟、国策捜査などなど枚挙に暇がない。戦争で兵隊は死ぬ。国家のために死ぬことを美徳とする国粋主義の論理では、不幸な拉致被害者も大きな国益のための美しい死と同列に扱われても不思議ではない。

ただ、安倍の首相としてのアイデンティティは拉致問題にしかない。だから拉致問題を引っ込めることは通常できない。だが今回の鈍感発言によって、支援者には申し訳ないが拉致問題は終わりにして一歩踏み込むという密約を米国と交わしやすくなったかもしれない。ただしそんな思惑が表に出てくることはありえない。政治とはそういうものだ。

もっともそこまで安倍が考えているわけもなく、日本と中国との重要度によって対応が変化する米国の両天秤政策に翻弄されるというのが大筋かもしれない。そして日本の政府には米国に対峙する気はハナからないことも確かだ。本来なら中国との共同声明で「米国債売るぞ!」と脅かすくらいでないと対等外交にならない。

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Comments

とにかく慰安婦問題については、小林よしのり著「戦争論2」の「総括・従軍慰安婦」を読んでみてほしい。
あらゆる関連本の中で一番良い。
この問題の全容も把握できる。

Posted by: a | 2007.03.17 at 11:18

わかった、読んでみる。小林よしのりは才能あるんで、ぜひ「おぼっちゃまくんリターンズ」と題して、安倍の自伝まんがを手がけて欲しい!

Posted by: ポップンポール | 2007.03.17 at 11:41

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