奇人たちの晩餐会
ホームシアターを設置してから、確実にDVD購入頻度が増加しているなぁ。それだけ感度も上昇すればいいのだが。そんな思いで先日HMVでブラッとDVD棚を見ていたら、「奇人たちの晩餐会」のリマスター版に遭遇してしまった!
結構入手困難になっている映画だが、ボクの頭のなかにある物欲キッズの欲しいもの一覧表に載っている作品だ。即GETして観たが、こんなに笑ったのは久しぶりではないかっ!?ネイチャージモン以来と言っても過言じゃない。前もそんなこと書いたような気がするが...。
なんだか最近、オモシロに出会ったときにいつもネイチャージモンと比較している自分がいる(笑)。ポスト・ザ・ネイチャーの時代を生きているオレだ...。しかし“ネイチャージモン以来”という枕詞が付くときは、このオモシロ加減を、かなり信用してもらっていいと思う。奇人たちの晩餐会はそんな映画だ。
前に関根勤さんがテレ東の「ウラ関根TV」でだったかな?絶賛していたこともある作品だ。この主人公ピニョンは例えるならコント55号の二郎さんのようなボケ方で、そこも関根さんのツボだったのかもしれない。オレにも超ツボだった!
普通のオモシロ映画は観ているときはドッと笑って、その後飯でも食いながらそのオモシロさを語り合ったりして、まぁそれで終わりだ。しかしこの映画は数日後でも思い出し笑いしてしまう。いまこれ書きながらも笑ってしまう。思い出し笑いしているオレが奇人のようじゃないか!
この映画でいう奇人とは現代日本語でいえばオタクがもっとも近いだろうか?フランス映画らしく(?)、その奇人ぶりは現代日本からすれば非常に高尚なご趣味ばかりで、特に奇人とも思えない。しかしタダのバカでなく、知性あふれるバカだからこそ、このオモシロさが持続するのかも。
タイトルが「奇人たちの晩餐会」となっているが、これは日本映画「桜の園」(これも名画)と同様に、その晩餐会自体はメインテーマじゃない。この晩餐会そのものはメンバーがバカを招待してナンバー1を決めるという差別的な会で、そんな会を映画にしても面白いわけはない。余談だが、映画の中で医者が「ブスばかりを集めてパーティをしたことはある」と言っていた。フランスでは良くあることなのか?ジダンが怒るのもムリないな。
それはさておき、その会に呼ぶには決定版ともいうべき男=ピニョンに出会ってしまった男=ブロシャンの遭遇する一夜の騒動がこの映画のすべてだ。もっともその一夜の騒動こそを“奇人たちの晩餐会”と呼びたくもなるわけだが。
舞台のように限定された空間だけで展開する。こういうアイデア勝負の映画は大好きだ。前回紹介した「セックスと嘘とビデオテープ」しかり、ヒッチコックの「裏窓」や「ロープ」しかり。ロープなんてコメディとは真逆の映画だけど、ある意味ほんとうに奇人たちの晩餐会だよね(笑)。
ピニョンと遭遇してしまったために、次々と災難に見舞われる男ブロシャン(出版人)。その横にいて、観客と笑うツボが同じなのがブロシャンの妻の元カレで作家のルブラン。このルブランの笑いどころがますますオレを笑いの渦に突き落とした!喜劇で出演者が笑っちゃダメだろと思ったりするが、この映画ではめっちゃ効いてる!
他にもピニョンの友人シュバルとかブロシャンの愛人マルレーヌが、すばらしいタイミングで次々に登場し、さらにブロシャンを追い詰めていく。シチュエーションコメディの連発で、その現場でまたルブランが爆笑の渦に落ち、観客のオレもさらに涙が出るほど笑い転げてしまうのであった!とにかく必見としか言いようがない映画だ(笑)。
ついでに音楽はウラジミール・コスマだ。「ラ・ブーム」や「ディーバ」の!監督のフランシス・ヴェベールとは「メルシィ!人生」でも組んでる。「メルシィ!人生」も絶対観よ。
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