つながるテレビ@デジャブ
先日のジム・ロジャーズ講演会の模様が流されるというのでNHK新番組「つながるテレビ@ヒューマン」を見た。講演会取材をされていた小郷アナをテレビで見て、NHKのライティングってやっぱ強いなって思った(そんな感想はいい?)。
ジム・ロジャーズの特集は短かったけれど、それなりに楽しめた。ご自宅拝見もあったしな。ワインセラーははじめてみた。忍者屋敷のようだったなぁ。飲むためじゃなくて売品の現物倉庫だってところがすごい。
それはそうと、第一回目の番組に関して、まず真っ先に思ったのは、これはNHK版「A」だということだ。「A」っつーてもオウムの映画じゃないよ。日本テレビで即効打ち切られたインターネット情報番組のエースのことだ。
エースについては前に「久米宏A降板後の番組案」で書いた。失敗の原因にはインターネット中継の稚拙さがあったと思う。ニュースの即時性とブログテーマの現代性とを加味した生放送。企画としてはアリだと思う。視聴者参加型でもあるし、良心的ブロガーの口コミが広まれば使えるネタはたくさんありそうだ。
エースのときに感じた「テレビで流すパソコン中継画面の貧乏臭さ」は多少解消されていたと思う。個人的にはまだまだこなれてないし時期尚早だとは思うけど、やってみないとわからんのも事実だし、公共放送ならやってみてもいいかもしれないと思った。またメインキャスターの島津アナもNHKらしい機転の利き方で、久米のカリスマ性ゆえに示現したデメリットも少ないような気がする。
今後の懸念はサポーター陣にあると思う。エースの失敗の原因にもあった、ゲストの散漫さとコンセンサスの取りにくさが生放送で露呈しやすい。
結構アクの強いサポーター陣を揃えている。ひとりひとりは嫌いじゃないし、なかなかの人選だ。コメンテーターとしてだけなら安定感があると思う。ただ素人と絡む上で、久米のカリスマ性と同様のリスクが存在するようにも思った。
第一回目の日比野氏と個人投資家との会話にも既にそれが見て取れたじゃない。相場=カネ儲け=無目的な人生=否定的見解(でもオブラートに包みつつのコメント)というのがアリアリと見て取れた。生放送の醍醐味だ(笑)。その裏には、ボクは好きなアートをやってきて夢のある人生設計してますよ光線がビビビッと発射されていたじゃない。ジムの特集組んだ同じ枠なのに...。
そこを破綻寸前で中断した島津キャスター(やディレクター)は、なんとか胸をなでおろしていたかもしれない(憶測よ憶測!)。テーマによってはそういうことが頻繁に起こるような気がするのだ。
ブログという玉石混交のネタばれの坩堝のなかで、情報の質と量とのバランスをテレビ(それもNHK)としてどう取るのかというところは難しそうだ。ネットは正義の押し付けが似つかわしくない場所でもあるが、個別正義の垂れ流しの最先端でもある。それがブログであり、@ヒューマンな世界だとも思う。
成人式の大騒ぎの取り上げ方にしても難しかったと思う。ただ提示してみるだけでは番組にならないし。でも話題の中心に向かって、テレビをバックにした人々が入っていくことの緊張感はまだ健在だとも思う。だから番組そのものが、世の中にトラックバックを送るような番組作りになればいいと思う。
テレビなんて本来そういう装置だったはずだ。話題を探し出して、実際にテレビが入ることで(意図の有無に関わらず)事象に影響を与え、その結果をマスメディアを使って報告する。そこにブログが介在すれば、手が届かなかった情報ソースを作り手側が手軽に検索できるわけだ。
これってネタのバリエーションが広がっただけで、作り手のイマジネーションがますます試される世の中になったともいえそうだ。ブログは有能なリサーチャーだというだけであってようは裏方の仕事だ。いまはそれを全面に出すのが珍しがられる時代ともいえそうだ。いずれその仕組みだけじゃ面白がれない日が来る。ブログを楽しむならブログを見ればいいわけで。選択肢の数と企画の切り口の面白さとはまったく相関性がないだけに、今後の番組作りも美味しいネタの調理法が問われることに変わりはなさそうだ。
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