サルでも出来る再計算
指定確認検査機関の最大手、日本ERIの社長がテレビ朝日サンデープロジェクトに出ていた。
「再計算には膨大な時間がかかる(だから改ざんは見抜けない)」という業界コンセンサスがあるかのような発言を建築確認会社は繰り返すが、もしそんな検査なら素人のオレにやらせろといいたい。
おそらくコンピュータの検査用アプリケーションによって膨大な計算がされた結果を受け取ってチェックするのだろう。それなら同じ業務アプリに設計された元の変数をぶち込めば、いかに膨大な計算であろうが1日もあれば答えが出てくるだろう。アポロ計画じゃないんだ。
「関数」でほとんどの計算アプリは構成されている。関数とは手順であり、入口と出口があるブラックボックスだ。簡単に言えば「整数の足し算」という関数があり、入り口に「2」と入れて出口に「3」と出てくる関数は、
2 + x = 3
という計算をしてこのxを求めるわけだ。この「+ x =」の部分が関数の仕事だ。この関数の部分が複雑になる可能性はある。というか複雑だからこそ関数化して、誰でも使えるようブラックボックス化するわけだ。人間でこの計算式を作れるヤツ、それが一級建築士ということじゃないか?
入口の2に対して3が耐震強度だとする。これを姉歯は入口に「1」と入れても出口に「3」と出る関数を作ってしまったということじゃないか。もし出口の「3」だけの改ざんなら、すぐわかる。見抜けないということはブラックボックスの計算方法の仕組みがわからないということだ。あるいは出口の「3」だけ見て「正しい!」とハンコを押すような生ぬるい検査をしていたかだ。
決まった入口の数値(柱の数とか太さとか)を入れて出口に耐震強度を出す計算くらい出来るアプリケーションを検査機関なら持っていなきゃおかしい。姉歯がオリジナルのアプリケーションで作ったとしても、物理の法則が変わるわけじゃない。
耐震強度の基準が決められているなら別のアプリでも答えは出る。出なきゃおかしい。だから途中の関数の意味を知らなくてもエラー検知は出来るはずじゃないか。まさか全部人間が手計算しているとでも言うのだろうか?
自分の会社のアプリが改ざんされていない限り、2+x=3なら、x=1だ。だが姉歯は入口の2を1とインプットしているわけで、1+x=3なら、x=2になる。ここに齟齬が生じてるというのは中学生でもわかるだろう。こういう検出ツールを持っているからこそ検査機関に意味があるわけで、出来なければ存在価値はない。
「膨大な計算だから再計算はしなかった」というのは寝言に過ぎない。計算チェックなんてパソコンでも出来る。そのツールを業界統一すれば、こんなチェックなんて誰でも出来るだろう。誰でも出来ちゃうと検査機関はいらなくなる。マンションの買い手が自分でチェックできる。これがIT立国の情報公開だと思うが...。
もっとも素人がやると1.08と1.09の差でギャーギャー文句が出るからな。情報はバラせばいいというもんでもない。だから単なる“お墨付き”でしかないんだから、国家がやってればよかったんだ。民営化の構造設計が間違ってる。今後いろんな業界でたくさん出てくるんだろうな...。がんばれニッポン!
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