その道の権威
土地神話に続いて住宅神話も崩壊中のニッポンだが、神話なんてそんなものさ。
日本は地震・雷・台風・豪雪・津波などなど自然の驚異にさらされる宿命の国。それだけに考え方は2つある。壊れない家に住むか、壊れてもすぐに再建できる家に住むか。昔の日本は圧倒的に後者だったけど、いまやみんなが城持ち大名気分になったのか西洋かぶれになったのか、堅牢性に固執するカルチャーを作り上げてしまった。まさに土建国家というわけだが、バブル崩壊後のデフレ環境において、土建国家の根幹がゆらぎはじめ、その神話を維持することが困難になってきた。あらゆる職業分野においてモラルハザードが進行し、ズルして勝ち逃げすることこそ成功、みたいな倒錯した状況がジワジワと拡大してきており、コイズミ政権はそのシンボルでもあった。この崩壊へのプロセスは、始まったら底を打つまで止まらない。各自、大底で生き延びる方策を考えるしかないわけだ。
さて、能書きはそのくらいにして、今回の構造設計改ざん問題だ。木村建設東京支店長が参考人招致で言っていた「姉歯先生はこの道の権威」というのは、確かにそうだったみたいだな。「この道」というより「その筋」と言ったほうが的確だろうが...。
安く早く弱い建物を売りさばくには絶好の権威。いろんな権威がいるなぁ。安かろう悪かろうの国に戻っちゃったわけだなぁ。ありえない価格帯で買うからには、それなりのリスクがあるってことだなぁ。リスクを取ることが苦手な国民性だけど、リスクは知らない間にやってくるわけで、それもこれも官僚国家に守られつつ、なんでも民営化を許しつつ、寄らば大樹の陰的な国家を作り上げてきた報いのようにも感じる。宝くじにあたる人がいるように、ババを引かされる人も出てくる。いまは民営化の過渡期という一言で片付けるわけにはいかないだろうが、結局は100%保障されるわけもなく、コイズミが言うこれも「イタミ」のひとつなんだろう。国民が選んだ道ってわけだ。土建政治万歳!民営化万歳!コイズミ万歳!構造改革も構造改ざん?(ちょっと妄想が過ぎて説得力が震度2弱でも崩れそうだ...)。
さて、能書きばかりが長くなるが、これをドラマにするならキャスティングはどうなるだろうか。木村建設東京支店長は石橋漣司で決まりだと思う(笑)。イーホームズはアーホームズって社名にして社長は及川光博か海東健あたりか。姉歯は気分的にはビビる大木なのだが、もう少し年齢を上げて高橋克実さんとか。「あのマンションは...改ざんされている」ってトリビアネタってことで(笑)。
問題はフューザー社長だ。あの顔をみていると戸塚ヨットスクール校長にオファーしたいが、きっと断られる。誰かいいひといないかな?本人が出てくれそうな勢いだが...。
木村建設の社長も難しい。無名の素人がいいかもな。権威って話でつなげれば、これほど権威のかけらも感じさせない社長ってのもすごいな。こんな人が社長をやって何億円って土建プロジェクトの一翼を担っているんだ。恐ろしい国になったんだなぁ。謝罪もなし、責任感もなし、社長って子どもでも出来るんだ。雪印問題のときの私は寝てないんだ発言社長もそうだったけど、やっぱニッポンの社長ってのは妥協の産物なんだなって思った。昔はハイ!ハイ!ハーイ!って宮尾すすむのイエスマンぶりが社長を引き立てていたが、いまや社長の方がみんなのイエスマンにならないといけない。倒錯ぶりもきわまれりって感じだなぁ。やっぱ日本社会はちょっと引いて眺めているほうがいいな。あまりコミットしたくない...。
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