読んだよ、康夫ちゃん!
ヤッシー君こと新党日本党首兼長野県知事・田中康夫氏が、選挙速報を伝える選挙ステーション司会の古舘伊知郎氏に対して言いました。「日本で一番売れている月刊誌くらい、キャスターとして読んでください」みたいなことをさ。それがこの「文藝春秋10月号」でございます。
そのコメントを受けて「勉強不足で」なんてポロっと言ってしまうような脇の甘さが、ある意味人間味を感じさせた古舘さん(それがキャスターとして正解かどうかは別)。その動揺を必死でこらえる顔と、康夫ちゃんの敗戦の弁なんだか評論家なんだかわからない立場での最後っ屁みたいなキャスターイジメ発言。
なんだかテレビのお約束(予定調和)がプッツンしてしまう寸前の緊張感みたいなものを感じて、結果的に良かったよ。古舘さんらしさ、康夫ちゃんらしさが100%伝わったよ。で、普通ならそれで終わりなんだけど、ヤッシーの言った内容が興味深かったから、さっそく古舘さんと同じく読んでなかったボクは文藝春秋を買いましたよ(笑)。生涯で確か二度目だな。文藝春秋なんて買うの。
ヤッシーが言った内容ってのは、94ページからの中西輝政京都大学教授による「宰相小泉が国民に与えた生贄 かつて全く同じ事をしたポピュリスト首相がいた」のことでした。これを読むとまさに今のコイズミが、第一次大戦と第二次大戦の合間に現れた英国のデイビッド・ロイド・ジョージ首相のやり口にそっくりだということがよくわかって面白かったです。
コイズミの政局・マスコミ戦術などなどがすべてブッシュのアメリカの模倣だってことはよく知られてますよね。オリジナルな部分はほとんどないわけですけれど、しかし現在のこの状況とロイド・ジョージ英首相時代の英国との符合ってのは、狙ってやったのか、計らずもそうなってしまったのか?
中西教授の文章では、この状況、つまりポピュリズムの大波というのが、民主主義の進化の過程において訪れる必然のような書き方でした。「旧来の利権配分型政治が通用しなくなった段階で、必ず大衆人気に迎合する政治家が出現する」(100ページ)と。そしてポスト・ポピュリズムに向けてやらなければならない条件という自説を述べられています。興味がある方は文藝春秋を読んでください。
ボクはとりあえず、ヤッシーの言っていることは正論だったなと思いました。読んだほうがいいかも(笑)。正しい・正しくないじゃなくて面白い。あえてコイズミとロイド・ジョージとの類似点を見つけ出すように書かれているので、いっそう同じに見えてくるところは、さすが保守の論客の文章です(笑)。
こうやって歴史を学んでいくと、確かに面白い。ちょっと余談になりますが、新しい歴史をつくる会(決して歴史“教科書”だけをつくる会じゃない>_<;)の本作りが、テクニカルな部分では一面正しい気もしました。動機付けは興味深くないとダメってとこだけね。歴史は繰り返すとも言うし。「カノッサの屈辱」の手法を、本物の歴史に使ったような感じの今回の康夫ちゃんオススメ記事は、確かに読み甲斐がありました。古舘さんもぜひ読んでみて(笑)。
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