ITじかけのオレンジ
ドラマ「恋におちたら −僕の成功の秘密−」が俄然面白くなってきた。ほりえもん騒動があってから、完全にその意趣返し(?)のようなポジションで見られてしまうドラマだが、このストーリーのマンガ的な広がりはそういう背景なしに、娯楽ドラマとして面白い。IT企業の新米平取が黒塗りでご出勤なんて、ちょっと時代錯誤でもあった。フジテレビの限界か(笑)。
ドラマの役名とかほんと覚えないボクでさえ覚えてしまった主人公、鈴木島男。「アイランドの島におとこです」のフレーズはビジネスの基本だな(笑)。旧友の貞雄クンが「童貞のテイにオスです」と言っていたのを(というか言われていたのを)思い出したが、こっちはビジネスじゃ使えないフレーズだった。
そんな島男が先週、取締役になって、人格が完全に変わってしまった。いや、もともと持っていた潜在能力が開花したと言ってもいい。いま旬の元横綱・貴ノ花のような変貌ぶりだ。ちょっとそれるが、貴ノ花親方は別に兄弟仲良くならなくてもいいが、あのGS崩れみたいな髪型はやめたほうがいいのでは?
なんでいきなり貴ノ花とつなげたかというと、先週のラストでの怖い島男の顔のアップを見て、「時計じかけのオレンジ」を連想してしまったからだ。カルトな人気を誇る異才キューブリックの映画だが、この映画のひとつのテーマが洗脳だった。ココロをオモチャにしてしまう怖い映画で、主人公はまさに「腐ったミカン」で、極悪非道なヤツだった。若いクリエイタで見てない人は必見中の必見映画でもある。音楽もやたらと電子的だが荘厳だった。
「時計じかけのオレンジ」の主人公の表情と鈴木島男取締役の顔が被って見えるという意見には、結構賛同が得られるのではないか。いわば島男は、ITあるいはビジネスという麻薬によって洗脳されてしまったのだ。洗脳とは適応プログラムとも言える。
ベトナム戦争帰還兵の社会復帰プログラムも一種の洗脳だった。常軌を逸する環境から平穏な環境への適応力を植えつけた。だが現代では、平穏な環境の人間を常軌を逸した産業戦士としてプログラムするという使い方になってしまった。新興宗教や自己開発セミナーなどとなんら変わらない。ビジネスに洗脳されたサイボーグとなってしまった。こういう使い方は悲劇を生み続けるが、鈴木島男がこれからどうなっていくのか、目が離せない。
ついでに抱き合わせ紹介。「時計じかけのオレンジ」がクリエイタ必見なら、「ハートじかけのオレンジ」は必聴だ(笑)。大瀧詠一センセーの「NIAGARA TRIANGLE Vol.2 20th Anniversary Edition」で聴くことが出来る。これから夏に向けて愛聴盤になること間違いなし!これらにドラマ「恋におちたら」を加えて、3大オレンジとしたい。(金八先生第二シリーズも入れたいけどね)
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