5月14日(土)、「カリスマ投資家伝説2005」と題してラリー・ウィリアムズ氏の講演会が人見記念講堂で開かれました。昨年のジム・ロジャーズ氏に続いて聴講しに行きました。
もっとも期待していたのはインフォストック・ドットコムのチーフ・アナリスト鈴木一之氏によるインタビューでした。ジムのときもそうでしたが、キチンと準備して来てくれる鈴木氏の視点は的確で、構成も最初に項目(10の質問)を目次風にお話されてから始まるというオリジナルなスタイルです。
今回の相手はラリーということもあり、その哲学や手法の裏側にある考え方にこそご本人から聞く意味があるはずで、鈴木さんの項目立ての内容はまさにそういう視点、つまり普遍的な相場技術やリスク管理についてでした。もしかすると一生モノの目からウロコ話になったかもしれません。その項目立てを聞いた瞬間、これはすばらしいインタビューになるなと大学ノートを取り出し、4色ペンで記録を始めました。ジムのときは、この大学ノート11ページに渡って記録して帰りましたから。
ちなみに4色ペンを使うのは、鈴木氏の発言(緑)とラリーの発言(青)、なかでも重要な部分(赤)、その他自分の印象など(黒)といった色分けをすると、後から読みやすいためです。これがボクのインタビュー速記の基本です。ひとくちメモでした(笑)。準備万端ととのえて目が輝いてました(たぶん^_^;)。
でもその期待は、最初の雑談のところで、ひとりの聴衆の発言によって、もろくも崩れ去りました。その聴衆は「鈴木さん、鈴木さん」とステージに向かって叫び、本を読めばわかることはいいから、日本経済の見通しや、推奨銘柄などを聞けという趣旨の発言をされました。それに対して拍手する聴衆もいらっしゃいました。
私はこの事態に動揺しました。大切な時間が奪われる危機を感じました。無料セミナー等で何度も感じている危機です。鈴木さんはそれでも後で質問コーナーを設けるからということで制止しようとされましたが、ラリーがその質問を受けてしまったため、そこからは質問大会になってしまいました。ラリー本人は聴衆の聞きたいことには応えてあげようという気持ちの強い方なので、この流れはしかたがない面もありました。しかしその質問の内容が、日本経済の見通しだの銘柄だの、そのレベルの話...。叫ぶ聴衆は我が意を得たりという感じで「銘柄!銘柄!」とも叫んでいました。私はおもわず「そんなアホな...」とつぶやいてペンを置きました。
めったに聞けないラリー・ウィリアムズの有料講演会。いったい銘柄を聞いてどうする気なのでしょうか?経済の見通しを聞いてなんの参考にするんでしょうか?ラリーがトヨタを買えといったら買うんですか。5のつく年(2005年も合致)は当たり年といわれたら買うんですか。アホくさ...。こういう質問が出ると、スピーカーもそのレベルにあった話にシフトしてしまいがちで、それが残念でなりません。
ギャンブルがやりたいんなら競馬場へ行けばいい。買いたい銘柄がわからないなら買わなければいい。投資なんてやめるべきだと思います。どうしても知りたければ「アホなあなたのための銘柄選び」みたいな本を読めばいい。たくさん出版されてます。正直、楽して儲けようという人間を見ると虫唾が走ります。(ま、それで熱くなってる私も修行が足りませんけど^_^;)
鈴木さんのインタビューを制して銘柄を聞いた人は「本に書いてあることは本を読めばいい」といってました。読んでみましょう。「ラリー・ウィリアムズの相場で儲ける法」の1ページ目「日本の読者へ」16行目から18行目です。
「実際に利益をあげられるようになったのは,真剣に研究に取り組み,自分で考えるようになってからであった」
もうこの一言で充分だと思いますが、目先の当てもの売買を他人の意見でする人は、ラリーの話を聞いても本を読んでも実りはないと思います。もちろんそれはその人の勝手ですが、そういう人に有料講演会を粉砕する権利はどこにもない。音楽コンサートのステージに向かって演奏しているバンドに「オレの好きな曲をやれ!」と叫びますか。そういう人は追い出されて当然です(中津川フォークジャンボリーじゃないんだから...)。演者だけでなくほかの聴衆に対しても迷惑でしかない。
鈴木さんのインタビュー継続への拍手の方が大きかったのは、さすがラリー講演会の聴衆だなと思ったけれど、カネはらって聞けるべき話が大学ノート1ページも埋まらなかった。主催者があの聴衆に損害賠償を請求してカネ返して欲しいと思うくらいの事件だと私は思っていますけれど、まあラリーに迷惑がかかるといけないのでここでグチを言うだけにしときます。こんなことになってしまってDVD化できるのかなぁ...。今年の推奨銘柄や見通しを来年DVDで見てもなぁ(笑)。事件の記録として売ったほうが面白い。
無料の超初心者向けセミナーなら推奨銘柄や見通しを聞いてもいいでしょう。でもこれから相場を始めよう、うまくなろうという初心者の皆さんは、いくら相手が有名人であろうと、他人の意見で売買をするようなことはしないようご注意を!相場スキルの向上にはマイナスでしかありませんから。ギャンブルがしたければ他へ行ってください。心からお願いします。
あと主催者も、今後は画一的かつレベルの低い質問である「見通し」「推奨銘柄」「いま買うべきか売るべきか」など、無意味なNGワードを決めておくというルールにして欲しい。まぁそれやったら証券会社などはアホなお客さんが減って困るのでしょうが...。でも長い目での投資家育成には、その方が結局誰にとってもプラスになると思います。生かさず殺さずでアホを引き止めていくのも必要でしょうが、正しく学んでも失敗はするもの(でなきゃ勝者もいないからね)なので、業者はご安心を!高いレベル(というより最低限のマナーが守れる常識的なレベル)での勝負を定着させましょうよ。よろしくお願いします。
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