伝統芸能三者三様
今年は歌舞伎、落語、狂言と伝統芸能の世界のニュースが多い。それほど詳しいわけではないのだが、その中心人物のポジションは三者三様で興味深い。そんなワイドショーの見方をしつつ、オレもナンシー関師匠を襲名したい衝動に駆られる(恐れ多い!)。
なんといっても中村勘九郎さんの勘三郎襲名はビッグニュースだった。勘九郎さんの役者として印象深かった最初は、NHKドラマ「バラ色の人生」だったが、まさにバラ色の人生を地で行っている。息子の酔っ払い事件もあったが大勢に影響なし。それはひとえに勘三郎さんの人柄でもあると思う。
それに比べて狂言の和泉元彌はどうだろう。口を開けば「宗家」「伝統」というワードが飛び出すけれど、伝統を守る責務はアンタにあったのを、伝統に守られようとしている態度が情けない。何年の歴史だか知らないが、創業者の偉業を台無しにしてしまうボンボン息子という構造も、また日本のお家芸だ。君はそっちの伝統を守っているから安心しなさい(笑)。心配なのは奥さんになってしまった羽野晶紀ちゃん。「ムイミダス」の頃からファンなのだが、まさか夫にムイミダスな人を選んでしまうとは...。人生って何だ!?
そして落語の林家こぶ平。林家正蔵を襲名するというのだが、なんでワイドショーで流れる画面から悲壮感が漂っているんだ!?落語だよ落語。笑いだよ笑い!重責に余裕がないのはわかるけれど、そのウルウルした泣き出しそうな瞳と、ものすごい硬い表情や物々しいセレモニーの映像は「落語」にとってどうなのか...。
と、辛口批評してみましたけれど、こぶ平さんの高座がちょっと流れたのをみて安心した。なんか観に行きたくなるオーラが出てた。落語はいわゆるいまどきのコントや漫才とは違った喜怒哀楽の世界があって、時流と異なる時間軸や空間軸を持っている。テレビタレント林家こぶ平が落語家林家正蔵として変身するには、このくらいの物々しさが必要だったのかなと、なんかこっちが説得されてしまったのだ。そのオーラに期待したい。
まだまだ道は長いから、ボンボンキャラは和泉君にバトンタッチして(相手は独走状態だけども)、インターネット時代の伝統芸能を見せて欲しいと思った。歌舞伎の場合はナントカや〜!とか屋号を叫ぶけど、落語もそういうのあるんでしょうか?寄席に行ったらぜひ「ヘイ!ニッキー!」と叫んでみたい。
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