ヴェルヴィル・ランデブー
テアトルタイムズスクェアで「ヴェルヴィル・ランデブー」を観て来た(日本の公式サイトはこちら)。フランス生まれ(フランス・カナダ・ベルギー)のすばらしいアニメーション映画だ。左の画像はパンフレット。紙芝居のようなつくりになっている。また、リンク先の本国サイトも雰囲気のあるサイトで、こういうちょっとしたこだわりが実に良く似合う映画だった。
なんと形容すればいいのだろう。まさにヨーロピアン(フレンチ)テイスト120%で、おしゃれなんだけど猛毒がある。笑いも風刺もアクションもリアリティもデフォルメも音楽もふんだんに盛り込まれた贅沢な映画だ。あえて誤解を恐れずに言えば、フランス人の手塚治虫がルパン三世を作ったらこんな映画になるんじゃないかと思った。音楽も展開も申し分なく見事な映画だった。「ハウルの動く城」もいいが、「ヴェルヴィル・ランデブー」も観といて損はない。その逆は損することがあるかもしんない(^_^;)。
「ヴェルヴィル・ランデブー」の“出演者”は、みんな個性豊かだ。主人公のおばあさんはカンニングの竹山に似ている(笑)。このばあさんのものすごいこと!何者なんだばあさん。マトリックスやスターウォーズみたいに、ばあさんの若かりし頃を映画化しても面白くなりそうじゃないか?これを愛と呼んでもいいのでしょう、ね...。
孫の子ども時代はダチョウ倶楽部の上島に似ている(笑)。だが成人したときの変貌振りはなんなんだ!ものすごい体躯。それなのに、あーそれなのに(笑)。ひきこもり君が成人してツール・ド・フランスで優勝したりするとお決まりのヒーローまんがになっちゃうのだが、最後まで彼は彼であり続けた。変貌した肉体にかかわらず。そこがフランス映画だね。前半は、このまま巨人の星になっちゃったらどうしようかと心配したが、心配無用だった。
そして忘れてならないのが犬。裏主人公と言ってもいいのではないかというほど、この飼い犬には物語がある。ひきこもりの孫が自転車に目覚めた瞬間に出番が終わっても仕方がない立場じゃないか。それが終わらない。終わらないどころか、立場が終わった犬のかわいそうな境遇すらも物語に取り込むうまさ。電車が通るたびにパブロフの犬のごとく条件反射で吠えてしまう犬の悲哀がみごとな情景描写と心理描写になってる。シルヴァン・ショメ監督(脚本・絵コンテ・グラフィックデザインも担当)はすごい作家だな。
その他悪役のいかり肩、ヴェルヴィル3姉妹の大胆不敵さ、酒場のウエイターの頭の垂れ方、などなどこの映画がアニメであることの意味をしっかり見せてくれるし、優れた「映画」にも仕上がっているのだ。
音楽のいかにも大衆的な嗅覚はもう世界中で評価され、2003年度アカデミー賞歌曲賞にノミネートされるくらいだから、私がいまさらとやかくいう必要もない。ひとつ言うなら、サントラはコピーコントロールのある国内版CCCDではなく輸入版を買うべきだ(画像は輸入版にリンクしてます)。
音楽だけでなくカラーリングの緻密さ、造形や描写の細かさなどなど、数え上げればきりがないほど興味深い映画だ。よく上映してくれたと感謝せずにはいられない。今日は朝早くから大変疲れていたのだが観てよかった。大満足だった。
追記)−−−−−
B音で始まるので日本語の統一表記ではベルヴィル・ランデブーが正しいようです。ここで訂正しときます。ヴェルヴィル・ランデブーで検索されると一番にヒットするのでタイトルは変えません(^00^)。でもベルヴィル・ランデブーと本文にいれとかないと正式名称でヒットしないんで訂正してみました。にくいねーこのーど根性ガエル!(カエルつながりで)
そうそう、カエル料理の登場も印象的なんですけど、このカエル表現への賛否(というか好き嫌い)は結構あるようですね。このグロさが日本人の嗜好と一番違う部分かもしれないですね。ど根性があるのは3人姉妹のほうですな(笑)。
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コメント
同じ日に観に行ってますね!
ぐうぜ~ん!
トリプレッツ最高!
投稿: あんどう | 2004/12/23 08:14
クラブCカードで千円だったのですが、水曜日なので全員千円だったみたいです。エンドロールが終わるまで楽しめる映画でしたね(笑)。
書き忘れたことがもうひとつ。カメラアングルの大胆さも、良かったですね。アニメだから何でも出来るといえばそれまでだけど、カメラアングルすらデフォルメされてた。
あとCGと手書きとが自然に調和していて、アメリカンともジャパニメーションとも違うけれど、暗いだけのユーロアニメでもなく、大衆映画になっていたテイストが良かったです。
投稿: ポップンポール | 2004/12/24 08:06