やはり人命は軽かった!
イラクで日本人の民間人の青年がいとも簡単に殺害された。かつて「人命は地球より重い」と言って、超法規的にハイジャック犯の要求を呑んだ通称ダッカ人質事件のときの日本政府とはえらい違いに思える。
人命は地球どころか自衛隊より軽かった。いや、コイズミによるブッシュへの媚びへつらいより軽かったというべきだろう。インターネットで殺害の模様まで流れてしまう異常な地球である。かなり狂ってる。
しかしダッカ人質事件のときに本当に重かったのはただの人命ではなかったという説もある。あのとき重かったのは「アメリカ人の命」だったという説だ。ハイジャック犯はアメリカ人(それも米国の支配層に近い人物)から殺すと言ったのだ。その順番だからこそ、日本政府は飲まざるを得なかった。日本政府が取る方針は当時からアメリカの意向次第だったともいえる。
つまりテロが自衛隊を本気で撤退させる気なら、日本人の民間人ではなく、アメリカの要人を捕らえて日本政府に迫らなければ無意味だ。それなら数時間で日本政府は自衛隊の撤退を決めるだろう。もっともアメリカがその要人を見放す決定をすれば別だが。
コイズミは簡単に「テロに屈しない」というが、単純に撤退しないための屁理屈を、屈しないなどと強弁に置き換えているうちは、テロの脅威は消えない。オレには今回のコイズミによる「テロに屈しない」発言が、テロへの宣戦布告に聞こえる。これにテロが反応して本土攻撃が始まったらどうする気なのだ。
オウムのような国内発のテロ集団に対しても後手後手に回って大惨事を起こしてしまった国である。国内で大惨事が起きても屈しないのか。屈しないとして、そのときいったい何が出来ると言うのか。その具体策がコイズミの口から聞きたい。国民に電車に乗るなとでもコメントするのか?
戦術として一度引いて人質解放を待ってみることも出来なかったのか。それで開放されたなら、再度行けばいいではないか。どうせブッシュのお仲間名簿に載るだけでいいんだから規模も縮小できる。それでも人質を殺すようなテロリストなら、それはもうただの殺戮集団だ。遠慮することはない。大統領選後に殲滅作戦でもなんでもすればいいのだ。
テロに屈して自衛隊を引き上げたとして、それがいったいどれほどテロリストにとってメリットがあったといえるのか。人がひとり死なずにすんだかもしれない。それだけだ。コイズミは「テロに屈して自衛隊を撤退させていたら、どうなっていたか」と心配していたが、完全にイカれてる。どうにもなるわけがない。ブッシュに「弱虫コイズミ、あっち行け!」とハブにされるくらいか?それが怖かったのか?殺された民間人の恐怖はそれ以上だったはずだ。
一度撤退して人質を救助してから、米軍と一緒に総攻撃をかければいいではないか。戦略や戦術には様々な方法論があり、圧倒的なパワーを持っている側には圧倒的な戦局の支配力もあるのだ。ただただパフォーマンスで押していくだけが政治ではないし、パワーゲームは延々と続くのだ。欧州諸国はそれを知っているし、中国も知っている。だからしたたかなのだ。
結局コイズミのやっていることは平和ボケしたアタマで深く考えもせず、空虚なキャッチフレーズを口にするだけだ。それによって無意味に人が死ぬし(ただしアメリカ人は殺さない)、無意味にカネを使いまくるし(ただしアメリカは損しない)、国益にも反する(ただしアメリカの国益は優先される)。何のためにいるのかわからない(アメリカのためにいるのだ)。
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