決定版!はっぴいえんどBOOK
来た来たキターっ!!ついに発売されましたね。「はっぴいえんどBOOK」がっ!
版元のシンコーミュージックさんありがとう!監修の木村ユタカさんありがとう!いやー、たまらん。この一冊で年末まで楽しめます。そしておそらく今後、事あるごとに参照する必須アイテムになること間違いなし!前に「はっぴいえんどBOXの“ながらアイテム”」という記事を書きましたが、このボリュームはまさに“ながらアイテム”の決定版ですっ。「はっぴいえんどBOX」の副読本というコンセプトだそうですが、事典と言ってもいいかも。
さて、このすばらしすぎる「はっぴいえんどBOOK」より少し前に発売された、もう一冊の貴重なムックも紹介せずにはいられません。こちらは音楽出版社さんから発行された「風都市伝説 −1970年代の街とロックの記憶から」です。
風都市というのは、1971年の春、東京・渋谷の百軒店(ひゃっけんだな)と呼ばれる路地で産声を上げた企画集団のことです。「風都市」という命名からして、はっぴいえんどを連想しちゃいますよね。このムックでは、その風都市が作り上げていった日本の音楽シーンを、同時代のミュージシャンやスタッフ、マスコミ関係者等の証言を集めて構成した労作なのです。もう1ページ1ページ、ワクワクしながら読んでます。
ボク自身は1968年生まれなので、当時3歳(笑)。まさにYMO世代なのであります。だからYMOから遡ってはっぴいえんどに辿りついた後発ファンです。そんなボクにとって、このインタビュー集は貴重なドキュメンタリーであり、またひとつの物語として読んでも大変面白いです。はっぴいえんどファンだけでなく、大きなムーブメントをみんなで作り上げていく物語という読み方も出来ると思います。情熱が伝わってくる文章って読んでて気持ちいい。よくまとめてくれたっ!心底そう思いました。
ムックが大好きなボクなので、こんな幸せはないです。とにかくこの興奮は言葉じゃ語りつくせません。読むしかないっ!
出版物をレコード(CDでもいいけど)に例えるなら、雑誌記事はシングル盤(あるいは雑誌はコンピ)、書籍はオリジナルアルバム、そしてムックというのはライブ盤だと思うんです。それも出版業界のサガとして、常に限定版なのです。
出版物の寿命(出版流通に乗っている期間)は大変短いです。これは音楽CDの比じゃないです。だからボクは昔から、「見つけたときに買っておく」をモットーにしてます。特にムックは時代に咲いた一輪の花のような存在で、よっぽどのことがない限り増刷されません。今回のムックの刷り部数はわかりませんが、出版界には5000部売れれば黒字みたいなところがあって、5000部しか刷らないことも日常茶飯事です(1000部ということもある)。1万部作らないことなんてザラです。
ボクの大好きなアートディレクターのミルキィ・イソベさん(スタジオ・パラボリカ)がかつてこんなお話をされてました。「何万部のベストセラーが作れるかどうかはわからないけれど、この本を本当に必要としてくれている5000人に届ける自信はある」。まさにムックというライブ盤を体験できるのは、その時代に生まれたボクたちのなかで、そのムックを本当に必要としている人、そのなかでもそのムックに出会えた人だけなんですね。
「風都市伝説」は、1973年9月21日(金)に今はなき文京公会堂で行われたはっぴいえんどの解散コンサートの回想から始まります。このコンサートを体験できたのはスタッフを除いて2008人。文京公会堂のキャパシティーがそれしかなかったからです。この伝説のライブ、現場で体験できた人はこれだけなのです。
今回ご紹介したムック2冊も、まさにそんなライブと似ています。出会えた人は超ラッキー(笑)。それを手にするかどうかは自己判断です。ボクはこのココログで、その出会いの場をたったひとつだけ増やすことができました。それが本当にうれしくなる。そんなムックです!
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