はっぴいえんどBOXの“ながらアイテム”
ついに発売されました「はっぴいえんどBOX」。待ちに待ったって感じですよねぇ(大瀧詠一センセーのオリジナルほど待たされてはいないという意見もあるだろうがっ)。まだ全部は聴けてないんですけれど、どれから聴こうかなと考えたとき、最初にプレイヤーにセットしたのはディスク6のライブ音源でした。バレンタイン・ブルー時代の「十二月の雨の日」。たまりませんわ。このボックスは、ライブ音源に尽きるといっても過言じゃないです。それぞれのライブ音源をできるだけブツ切りにせず連続して収録することで、ライブの場の雰囲気や緊張感、グルーブを大切にしようという意図が読み取れますね。はっぴいえんどのライブ再評価(および資料としての価値発掘)という大仕事をやってのけた高護さんと湯浅学さんご両人に拍手をください!
そんなはっぴいなボックスをメインディッシュとしますと、これからご紹介するのは前菜でありサイドメニューでもあります。このボックスをより味わいつくすために欠かせなかったボク自身の献立でございます。
まずはこの写真集『SNAPSHOT DIARY:Tokyo 1968‐1973ボックスセット』ですね。写真集2冊のボックスセットです。分冊も売られてますけれど、これはやはり2冊で揃えたいところです。
若き細野晴臣&松本隆のオフショットが表紙になったこの1冊目の表紙のかっこよさはなんなんでしょう。まるでヌーヴェルヴァーグ映画のようじゃないですか。二十歳そこそこでこんな写真が残ってるなんてくやしい(笑)。オレにもその青春クレっ!って感じです(ところどころにマシュー南節がでますが気にしないでください。ボク頭おかしいんで)。この写真集ははっぴいえんどと当時の仲間達のスナップ満載なので、ライブ盤を聴きながらぜひ眺めてください。
次にご紹介する3冊の『ロック画報』は、いわば名聴き手・名書き手によるはっぴいえんどBOXにまつわるエピソード集といえます。例えるならプロレスに対する「紙のプロレス」(ちょっとマニアックな例えですんません)。あるいはでっかいライナーノーツといってもいいでしょう。
まず外せないのは『ロック画報(01)』のはっぴいえんど特集(前編)。ロック画報は20世紀の終わりにはっぴいえんど特集によって創刊されたマイルストーンのような雑誌です。01号のことはこちらの2000.7.30コラムに書いてます。02号にはもちろん特集後編があるんですけれど、現在01号以上に入手困難ですので今回外してます。どっかで見つけたら即効購入をオススメします。
そして『ロック画報(14)』と『ロック画報(15)』の2冊。14号はティン・パン・アレーの特集です。はっぴいえんど以後、ジャパニーズ・ポップス史の中で欠かすことの出来ない集団ですよね。この号で紹介されている名盤の数々はカタログ好きのボクには無上の喜びなのです。付録CDとして細野晴臣「冬越え」「住所不定無職低収入」(どちらもアルバム版とライブ版の2曲収録)ほかが付いてます。
そして最新15号はエンケンこと遠藤賢司特集です。一貫して音楽にまっすぐ対峙するエンケン。そのバックバンドとしてレコーディングに参加していたはっぴいえんど。そのあたりの裏話もうれしいです。ボクはエンケンのライブは何度か行ってますけど、まさに遠藤賢司にしか出来ないステージです。で、このエンケン特集とは別に、はっぴいえんどBOXの発売に合わせて「21世紀最初のはっぴいえんど 孤高なるライブ・バンドが未来の聴き手に遺した音」という記事が載ってます。これも特集といっていい分量じゃないかな。
はっぴいえんどを「ライブ・バンド」といってるとこが挑発的ですよね(笑)。「ライブは良くない」という汚名を、そうじゃないんだと、当時の音響設備が魅力を惹き出しきれていなかったんだと、そういう想いとともにライン録りされた音源を発掘してライブ・バンドとしてのはっぴいえんど再評価の流れを作ってきた人々への筆者の想いがにじみ出てます。この本はいわば今回のCDボックスの一部と断言してもいい!『ロック画報(15)』なしではっぴいえんどボックスは完結しないといいたいですね。15号にも付録CDが付いていて、遠藤賢司の定番「カレーライス」ほか「星空のワルツ」「またいつか会いましょう」そしてこれがまたすごい「外は雨だよ」(19:22のライブ版フルヴァージョン!)などが収録されてます。大瀧詠一の声にソックリな、いちかたいとしまささんによる「朝」「空いろのくれよん」(ともにこの付録用新録音!)もあってお買い得ですぜ。
いかがでしたでしょうか、この献立。これでまーんぞくでーきるかなっ(笑)。満足できないひとには、インディーズバンドによる「はっぴいえんどかばぁぼっくす」というレアなボックスもあります。まだ手に入るのかな?これもものすごいです。その企画魂にツク・ダーン!
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コメント
はっぴいえんどBOXのなかの「バッキング音源集」には高田渡さんとの演奏2曲も収められています。佐野史郎さんの選曲です。佐野さん、わかってるよねぇ。
ライナーノーツに「“変わらないこと”と“変わること”の矛盾を具現化させるこの表現者たちは、また、いち早く“はっぴいえんど”の普遍性を見抜いていた」という部分があります。この表現者というのは高田渡と遠藤賢司のことです。
ちょうどこの文章と呼応するかのように思えたのが、昨日から公開された映画『タカダワタル的』。第2回フォークジャンボリー(1970年)のステージで「ごあいさつ」を歌う高田渡の姿で始まり、2003年のステージでまた「ごあいさつ」を歌う高田渡で終わる。
高田渡ほど変わらない人はいないと思ってしまうけれど、やはりこうして目の前に33年の年月を見ると、その変わらなさゆえに年月の深みが如実ににじみ出てくる。高田渡という本物のミュージシャンの存在が、あたかもビートルズとボブ・ディランとの出会いのようにも感じられる。
昨日ボクの中で、映画『タカダワタル的』も確実にはっぴいえんどBOXの関連アイテムになった。ながらのアイテムにはならないけれど。
それにしてもバッキング音源集の選曲はいいねぇ。ほとんどオリジナルミュージシャンのCDを持っているんだけど、こういう風に並べて聴いたことはなかったわけです。特に3曲あげるなら「夜汽車のブルース」「まちは裸ですわりこんでいる」「ありがとう」かな。高田渡が入ってないのは、はっぴいえんど中心に考えたからかな。また遠藤賢司、友部正人、小坂忠のこの曲が入ってるCDは全部必聴なんだよね。どれも外せない。入手困難になりつつあるけど、見つけたら即GETしときましょう!
友部正人さんの曲はシングルB面からの選曲なのですが、別ヴァージョン(はっぴいえんどは参加してない)がデビューアルバム「大阪へやって来た」に収録されてます。このCDはめちゃめちゃいい!
投稿: タカダワタル的も | 2004/04/04 23:19
今日4月17日と24日の2回にわたって、松本隆以外の3名様ご一同(大瀧詠一、細野晴臣、鈴木茂)が、J-WAVEに23時から登場ですぞ!(K口さん情報大大大サンクスですぅ!)
はっぴいえんどファンの皆さん、千載一遇のこのチャンスをお見逃し、いやお聞き逃しなきよう!
こういうののエアチェックも、まさに関連アイテムでございますな。
投稿: J-WAVEにメンバー登場! | 2004/04/17 02:32
アイドルじゃねーんだからとも思ったけれど、まあ大瀧ファンは20年アルバム待たされてるわけだし(笑)、インタビュー記事とか、そういうのもアイテムとしてアリかなと思いご紹介。
マシュー南ファンご用達のテレビ情報誌といえば?
Say!?
はい、そーです。学研の「TV LIFE」でございます。
マシューファンのボクはマシュー南のマーガレットタイム連載決定から買い続けてるのです(笑)。そこで発見したのが大瀧師匠のインタビューでございます。やってくれるよねー。さすがTV LIFE、普通じゃない!でも嫌いじゃない、むしろ好きっ!
というわけで、4/30までのテレビ欄が載ってる4/17−30号(隔週で水曜発売なので今週なら何とか入手できるかな)では、なんと大瀧師匠のインタビュー記事が載ってます。現在の写真入りで。ファンには貴重な1ページじゃない?
しかもインタビュアーがきくちさん(CXプロデューサー)だからツボを押さえてる。内容はギュッと詰まってます!でも1ページに収まりきるわけない!別冊出してくれー。載せきれない話をWebで公開とかしてよー!
雑誌買いそびれたって方は、一年辛抱して!
そしたらWebで記事が読めるかも。
http://www.fujiint.co.jp/BBS/kikchyfactory.html
http://www.fujiint.co.jp/BBS/LOVEKP/bbs.cgi
投稿: 大瀧詠一インタビュー記事 | 2004/04/19 22:22