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2004.02.28

ジョアン・ジルベルト来日公演CD

joao.jpg昨年9月、奇蹟の初来日を果たしたジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)。このボサノバの生みの親の初来日公演がノーカット・ライブ録音盤「ジョアン・ジルベルト・イン・トーキョー」として発売された。いや2/21に発売されてた!

ボクの人生において本当に夢がかなった一夜が、まさにこのコンサートだった。CD化されたのは2003年9月12日の公演だが、ボクが見に行ったのは初来日初日の9月11日だった。ハワイに発つ前日だった。というより、この初来日初日があったから出発日をずらしたと言える。前から4列目34番。この座席番号を見たとき、一生分の運を使い切ったような気分になった。まさに、ど真ん中のかぶりつきでジョアンの声とギターに浸った。

東京国際フォーラムの大会場で、ギターを抱えて椅子に座り、バックバンドやMCいっさいなし(最初に「コンバンハ」って日本語の挨拶があったけど)。淡々と演奏しては拍手喝さいの繰り返しで、あっという間に二時間経ってしまった!心地よさの極地。ただし会場の3階席あたりは暑さで大変だったのではないだろうか。ジョアンの意向で、空調が切られていたのだ。私は低い位置だったのでそれほどでもなかったが、それでも暑かった。ブラジル育ちのジョアンは暑いのがお好き?なわけではなく、おそらく空調の音を気にしてのことだろう。

そもそもこの初来日までは、とにかく「変人」という噂ばかりが先行していた。演奏中にちょっとでも物音を立てようものなら、とたんに帰ってしまうと誰もが信じていた。それどころか観客の多くは「本当に彼は来るのか?」という疑問を会場に来てさえ持ち続けていたのではないだろうか。そのうえ公演開始も一時間くらい遅れ(空調はこのときも切られており)、そこには暑さのなかでフラストレーションが溜まった観衆がいた。だがジョアンが登場し、ギターの音が出た瞬間、観衆は釘付けになってしまった。

小さなライブハウスで、自分だけに語りかけてくるかのようなジョアンの歌。だがここは東京国際フォーラムのホールAなのだ。ボクの後ろには約5000人の聴衆がいるのだ。信じられない静けさ。この大ホールの5000人が息を飲むようにして聴き入っている。間違ってもケータイを鳴らす客などいないし、咳どころか呼吸すら止めているかのように静かなのだ。ジョアン・ジルベルト変人伝説おそるべし!

だが日本人のこの誠実さ・おとなしさはジョアンの心に通じた。だからこそジョアンは延々とアンコールで演奏してくれたのではないだろうか。長かったよアンコール(笑)。それは観客とジョアン双方にとって至高のひとときだったに違いない。最後の曲の最後のギターストロークにジョアンのやり切った感がにじみ出ていたような気がする。嫌な客だったら本当に即効で帰ってしまう人なのだ。しかし気に入ると何時間でも演奏し続けてしまう人でもある。東京国際フォーラムは22:20でロビー入口を閉めなくてはならないのだが、ギリギリまでアンコールは続いたということだ。

Gilberto.jpgおそらく世界中探しても、このときの日本人の観衆ほど静かに、このジョアンの音楽に没入してくれた観客はいなかったのではないだろうか。ジョアンはこれを求めていたのである。今回のCDは全世界の聴衆に対してジョアンがアピールするための一枚なのではないかとすら思う。「世界の皆さん、これが私の求めていた聴かれ方なんだ!この沈黙の時間を聴いてくれっ!」というメッセージとしてこのCDを発売したのではないか。そう思いたくなるほど、日本公演は特別な時間だったような気がする。歴史に残るライブだったことは間違いない。

かつて、ブラジルの至宝カエターノ・ヴェローゾが、ジョアンの「声とギター」という超名盤(左上写真)をプロデュースした。そのとき「これよりいいものと言ったら、沈黙しかない」」と言ったそうだ。ジョアンの音楽が持つ究極の美しさを表現しきったカエターノ・ヴェローゾの名言だが、このライブ盤はもしかすると、その極限の美にさらに近づいているかもしれない。観客とともに沈黙を作り出した歴史の1ページを記録したものなのだから。この時間を自室で味わえる今回のCD。究極の一枚と言いいたい。

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Comments

ジョアンお父さんの声、生で聞いたんですか~~~~~~~!!!うらやましい~!
あのささやくような声に抱かれて眠りたいよぉ(T_T)なぜか今夜は眠れない。

Posted by: FFへんしゅ~ちょ | 2004.02.29 at 04:10

ナマで聴いちゃいましたねぇ...。

でもジョアンは日本が気に入ったようで、今年も来ると言ってるらしいです!もうご高齢だから、身体に気をつけつつ、でも来て欲しいですね。

昨今のラウンジ、癒し系、ボサノバブーム等々のおかげで、こんなすばらしいコンサートが実現できまして、うれしい限りです。ひとつの確立した音楽ジャンル(ボサノバ)で、正真正銘の生みの親の演奏を聴けるシアワセ。

オヤジどもは若者どもを焚きつけて、大物ブームを巻き起こそう!青年諸君はこの歴史になりつつある同時代性を存分に味わおう。次はムード歌謡ブームの番か?アルゼンチン・タンゴか!?ニニ・ロッソでもいいな。藤山一郎も捨てがたい。

Posted by: ポップンポール | 2004.02.29 at 11:32

フリオ・イグレシアスをキボンヌ(笑)。

スペイン行くと、今でもあちこちにポスターが貼ってありミュージックテープ(CDは少ない)が売られてます。
まだまだオヤジの時代はあるぞ!

Posted by: まりあ | 2004.02.29 at 12:36

なたりーー!

そういえば広島のナタリーがなくなってしまってた。
子どものころは毎年ナタリーの流れるプールに行ってたのに!
広島の知人に聞いてショック!

ジョン・レノンを霊界から呼び戻すイベントもどっかの新興宗教にやってみて欲しいな。いまマスコミは宗教ブームだし、どんな人が集まってくるか楽しみ!

Posted by: ポップンポール | 2004.02.29 at 19:30

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